千年万年りんごの子 古くから村に伝わる「おぼすな様」の呪いとは

田中相『千年万年りんごの木』は第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した漫画。

だから面白いのはもちろんなんですが、これはちょっとぼくの名作コレクションに入る作品になるかもしれない。

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暗く寂しい雪の夜

親の顔を知らないまま育った雪之丞(ゆきのじょう)。赤ちゃんの頃、親に捨てられたのだ。雪が降る静かすぎる夜のこと。

千年万年りんごの子
千年万年りんごの子(1)[kindle] 田中相 P10

やさしい義親に大切に育てられたのだが、どこか居心地が悪い思いがあり、はやく家を出たいと思っていた。そんな矢先、大学卒業を間近にひかえたある日、お見合いをすることになる。

相手は、りんご農家の娘さん。家業を継ぐために、婿入りしてくれる男性を探していたのだ。

千年万年りんごの木
千年万年りんごの子(1)[kindle] 田中相 P16

実家を出たい男と、家業を継ぐため婿入りを探していた女。二人は夫婦になることをその日に決めてしまう。

りんごの子

雪之丞は朝日家に入り、家業のりんご農家を継ぐこととなる。代々りんごを育ててきた家系のため、りんごを世話し、そして育てらてきたこの家族は、まさに「りんごの子」なのだ。

千年万年りんごの木
千年万年りんごの子(1)[kindle] 田中相 P28

この村では、りんごのおかげで生活できていることに感謝をし、古くからこの村に根付いているりんごの老木を崇めていた。

そんな村で、雪之丞ははじめての農業ということもあり、大変な毎日を送るものの、平穏な毎日を送っていた。

おぼすなさま

日本には、古くからそこでしかおこなわれない儀式や風習がある。それは、五穀豊穣を祈願するため、その土地に住まう土地の神様を崇めた儀式のようなもの。全国各地で催される神輿や祭りもそんな風習のなごり。

しかし、村には決してしてはいけない禁忌というものもある。迷信の類なのかもしれないが、それでも人々は何かを恐れ、それに触れず、近寄らず、決して口にしようとしない。

千年万年りんごの木
千年万年りんごの子(1)[kindle] 田中相 P65

雪之丞が婿入りしたこの村にも、村人が絶対に口にしない禁断の風習が隠されていた。村人しか知らなかった悪魔のような習慣が、ある日を境に蘇ってしまう。

千年万年りんごの木
千年万年りんごの子(1)[kindle] 田中相 P68

おぼすなさまとりんごのこ  せんねんまんねん選ばれた

りんご食うたら福がくる  福が来たならひかれてく

よっつかぞえてもういちど

―――村に古くから伝わる歌

千年万年りんごの子(1)田中相
雪深いりんごの国に婿入りした雪之丞。昭和の激動から離れ、北の家族と静かに巡る四季は親を知らない彼の中になにかを降り積もらせてゆく。それは冬、妻の朝日が寝込んだ日。雪之丞の行動が、りんごの村に衝撃を与えた。
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