藤田和日郎の「うしおととら」のストーリーの凄さと演出のうまさについて語ってみようと思う

藤田和日郎作品の中でも一番好きな作品がうしおととら。仲が悪いようでいい二人の関係性(「二人で一匹の獣」という表現が好きだった)もよかったんですが、それよりもストーリーの緻密さにやられてしまいましたね。

2015年の夏期でアニメ化がされるということで、今のうちに原作は読んでおいて損はない面白さです!

全33巻とボリュームがあるんですが、多分数巻読めばうしととらの魅力にはまると思います。

特に、ハンターハンターが好きならおすすめです。なぜって、ぼくがどちらも好きだから。ただそれだけ。

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獣の槍の秘密

うしおととらでは、主人公の潮(うしお)が偶然見つけた「獣の槍」との出会いから物語がはじまっていくのですが、この獣の槍の正体について藤田先生はけっこうひっぱてくる。

うしおととら
出典:うしおととら三 藤田和日郎 p29

そもそもこの獣の槍というのは、妖怪を殺すためだけの槍。どこから生まれ、そして、何のためにこんな恐ろしい槍を創ったのかという疑問がしばらく残ります。

うしおが獣を槍を使うときは、髪の毛が伸び、運動能力が飛躍的上がり、人間離れした動きへと変貌する。

うしおととら
出典:うしおととら三 藤田和日郎 p136

使いこなしていくうちに、次第に獣の槍の内なる声が聞こえるようなっていくうしおですが、それと同時に、次第に人間というよりも「妖怪」と形容しようしまうほどの能力と容姿へと変わっていく。

ここらあたりが、獣の槍の謎の根幹へとつながっていきます。最後はホント感動もんです。

とらの正体

獣の槍と同じくらい謎としてあるのが、「とら」という妖怪の存在。獣の槍によって400年も封印されていた中で、はじめの段階では、過去の記憶をあまり覚えていない模様。

そもそも、とらとはうしおが勝手につけたあだ名みたいなもので、獣の槍に封印される前までは、長飛丸(ながとびまる)などの名前で呼ばれていた。

うしおととの生活の中で、次第に人間=エサという考えがなくなっていき、人間に自ら進んで味方していくような行動もとっていく。

とらの正体もストーリー上かなり重要な部分。ちなにみ、人間界で生活するようになって、好きになった食べ物はハンバーガー

うしおの母親と白面の者

うしおととらの最大の魅力は、最初から最後まで、一つのストーリーによって進んでいくところ。

そして、その伏線というか、ヒントとしては既に単行本3巻の段階で描かれていたりするんですよね。だから、ワンピースみたいに○○編みたいなくくりがないので、一度読んだら、最後まで読み終えないと気が済まないわけです。

父親との二人暮らしで、母親は亡くなったと聞かされていたんですが、ある事件をきっかけに、生きていることを知らされるうしお。

うしおととら
出典:うしおととら③ 藤田和日郎 p187

ここから、次第にこの作品の本筋が明らかになってきます。その中で「獣の槍」や「母親」「とら」の謎も分かっていくことになります。

ただ、なんせ33巻にも及ぶ大ストーリーなわけですから、最後の最後まで読まないと結局は明らかにならないわけです。よくもまぁ、ここまでしっかりとストーリーを組み立てたものです。ホント凄すぎ。

うしおととら
出典:うしおととら③ 藤田和日郎 p188

序盤からこうした伏線をちょこちょこ入れてくるだけでも、ストーリーの緻密さ、面白さを感じませんか?ぼくは感じます。

その後の展開についてちょっとばかり話すと、母親が生きていることを知ったうしおは、とらと共に母親に会う旅に出かけていくのですが、そこで白面の者という大妖怪の存在を知ることになっていきます。

そして、この白面の者の描き方がまたうまいんです!

まず、序盤では妖怪や白面の者を追っている坊主たちのセリフに「白面の者」というキーワードが出てくるんですが、言葉だけでシルエットは見せないんです。藤田先生が渋っている訳ではなく演出。

怪談話って、はじめは噂話のあやふやな情報から、次第にその正体を知るといった展開が多いように思うんですよ。ジワジワくる恐怖っていいますか、日本の怪談話はそんなのが多い。

たとえば、映画『リング』の演出がまさにそれですよね。はじめは曖昧な噂話で、信じていないんだけど、真相に近づくにつれて、「貞子」というこの世のものではない存在が明らかになってくるように、白面の者も、噂からはじまって、そのモヤモヤした恐怖がだんだんと現実味が帯びてくるようなストーリーになっているんです。

うしおたちが白面の者とはじめて対面したときは、凄い緊張感だったのを覚えている(ある意味フリーザ的な感じ・笑)。あと、あまりネタバレはしたくないけど、うしおの母親とのシーンには泣きました。

あぁ、だからうしおが獣の槍を見つけたのも必然だったんだなと思いました。構成といい、演出といい、ホント最高。

ちなみに、白面の者がどんな姿をしているのか、ネットでググッて調べたとしても、その恐怖は一切伝わらない。そんな勿体無い調べ方をするよりも、実際に読んで、その怖さを体感すべき!