斜めから読む『孤独のグルメ』の新しい読み方|孤独のグルメ

孤独のグルメ

今回はあらゆるサイトでネタにされまくっている『孤独のグルメ』を取り上げようかと思います。

ただ、単行本の最後のページにある増刷数を確認してみると、すでに41刷にも上っているわけです。

そうなると問題になるのが、ありきたりの紹介では読まれないんじゃないかという危惧、いや危機です!

そこで、井之頭五郎の食べるリアクションやセリフを取り上げるのではなく、彼のもっと内面を読み取ってみようと思います。つまりは、井之頭さんの心のうちを暴いてやろうという試みです。

もちろん、これはあくまでも僕の個人的な考察ですので真に受けなくでもいいのですが、根拠はすべて作品からになります。

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グルメだけじゃない!五郎の恋愛遍歴にも注目したい!

個人輸入雑貨を生業にしている井之頭五郎。独り身である上、店舗を持たないためいつも一人で飯を食うことが多い五郎であるが、そこがまた誰にも邪魔されない自由さがあり、どこか楽しんでいる雰囲気も感じられる。

そんな五郎さんも実は恋愛に関してはかなりプレイボーイなご様子。ここでも二人ほど彼女の話が登場してきますが、その中でも第5話・高崎市の焼きまんじゅうの回で凄い恋愛遍歴が暴露される。

なんと!当時付き合っていた彼女というのが女優の小雪(こゆき)。日本のシガラミに嫌気がさし、当時五郎が住んでいたパリで二人で暮らしたいと話を持ち出すが、五郎は結局話をはぐらかし、そのまま小雪とは別れてしまう。

孤独のグルメ
出典:孤独のグルメ[文庫版] 久往昌之×谷口ジロー p48

そんな昔のことを思い出す五郎さん。いまだ独身なのは、もしかしたら彼女のことが心にあるからかもしれない。そんな、彼女への未練を思わせる一コマが実はこの作品には隠されているように思う。

それが、次に紹介する第11話『東京都練馬区石神井公園のカレー丼とおでん』の回。

五郎の悲しい恋愛感を思わせる一コマ

日曜日に練馬区石神井公園に立ち寄った五郎さん。日曜ということもあって家族連れの往来が多い。この公園でカレー丼とおでんを堪能する五郎さんであるが、ここでたまたま隣り合わせになった家族へ向ける五郎の視線の一コマがなんとも思わせぶりなのである。

孤独のグルメ
出典:孤独のグルメ[文庫版] 久往昌之×谷口ジロー p113

母親と子供の家族連れ。子供がラーメンだろうか、つゆをこぼしてしまい、母親が叱っている。そして、次の彼の視線の一コマに注目してほしい。

孤独のグルメ
出典:孤独のグルメ[文庫版] 久往昌之×谷口ジロー p113

タバコを吹かしながら、隣の母親のお尻あたりを見ている一コマが入るのがわかります。

なんなんだ!この意味深なコマは!!

はじめは母親に欲情してエロ目線で見ていたのではないか?と読み取ったのですが、いやいや五郎さんはそんな人ではありません。とすると、この一コマは何なのか?ただの作者の気まぐれか?

ぼくが思ったのはこの母親、どうも先ほど説明した元恋人の小雪にどこか似ている。髪型もロングだし、見た目もどことなく。

思いっきり想像力を飛躍させて考えてみると、この一コマからまだ五郎はパリで別れた小雪のことを思ったのかもしれない。そして、五郎はまだ彼女のことが好きなのではないだろうか?

本当は家族がほしいの?五郎さん

第16話『東京都豊島区池袋のデパート屋上のさぬきうどん』の回では五郎さんの本当の意味での「孤独感」を味わったような気がする。この回は休日にデパートの屋上のフードコートでさぬきうどんを食べる話。

五郎さんは自営業のため、日曜も休日もほとんど関係ない生活のため、どうも世間とズれた生活習慣になってしまうようです。そこが、サラリーマンとの違いかもしれない。

この回では五郎さんの孤独な様子にスポットを当てているように思う。

孤独のグルメ
出典:孤独のグルメ[文庫版] 久往昌之×谷口ジロー p162

まずはこのシーン。さぬきうどんを食べて昼飯をすませた五郎さんがタバコを一服しているところ。その目線の先には、家族連れがいます。母親が赤ちゃんにミルクをあたえ、父親と子供が手をつないで歩いている。

屋上のフードコートには子供が楽しめるようなちょっとした遊具も置いているため、家族連れが多くいるのだろう。その後フードコートを離れていくと、今度はこんなシーンが登場する。

孤独のグルメ
出典:孤独のグルメ[文庫版] 久往昌之×谷口ジロー p162

男性がイスに寝ているコマや一人で食事をしているコマが続く。

孤独のグルメ
出典:孤独のグルメ[文庫版] 久往昌之×谷口ジロー p163

面白いのが、ここではじめて五郎の口元が緩み、笑顔を見せているようも見てとれるところ。

「家族」と「一人」との対比がこの回ではとても印象的で、これは作者の意図であることは間違いはないと思う。本を持っている方はこの回をもう一度の読み返してみればわかると思います。

さてさてさ~て、当の五郎さんは一人が心のどこかで「寂しい」と感じはじめてきているのか、そして、自分でも気がつかないうちに家族を持ちたいと思いはじめているのだろうか?

この回を最後まで読めば五郎さんの心の内がわかると思います。気になる方は是非手にとってみてください。

というわけで、グルメ以外の部分にもスポットを当ててみると、五郎さんの意外な一面に気づくので、今までとは違った感想を持つかもしれませんよ!それにしてもこの漫画けっこう深いな。

孤独のグルメ (扶桑社文庫) 久往昌之×谷口ジロー
主人公・井之頭五郎は、食べる。それも、よくある街角の定食屋やラーメン屋で、ひたすら食べる。時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、彼はつかの間自分勝手になり、「自由」になる。
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