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新海誠監督最新作『君の名は。 』(小説版)ネタバレ感想!

新海誠監督の最新作『君の名は。』。原作は映画となっていますが、ノベライズされた小説のあとがきによれば、作品完成の時期は小説の方が早かったみたいです。

映画と小説は多少の描写の違いはあれどストーリー自体は同じと思っていいです。というわけで、ここではより考察しやすくするために、小説版を元に『君の名は。』をいろいろと考察していこうと思います。

田舎コンプレックス!?

三葉(みつば)の地元から出たい願望や、東京(都会)と糸森町(田舎)の対比から田舎コンプレックス臭がしなくもないですが、あくまでストーリーの要素の1つとしてそれほど気にすることはないのかなと思います。

瀧が三葉と人格が入れ替わり糸森町で生活したとき、

「この人生はなんだんだ?」

なんてエグいセリフがあり、はじめこそグサッとくるものがありましたが、でも、この感情は地方出身のぼくでも共感できなくはない。

進学やら就職やらで地元を離れて久しぶりに帰ってきたとき、懐かしい駅の改札を出たときの地元のなんともいえない寂しさを感じた人って多いと思うんですよね。

離れていたからこそ分かるこの寂しい哀愁感は、青春時代を送っていた当時は気づかなかったこと。新海誠監督の出身が長野県ということもあって、ここらへんは自身の体験談を盛り込んだんだろうなと思ったりします。

ただ、瀧が糸森町で生活していくことで圧倒的な自然に感動していたりするので、決して都会バンザイな作品ではないのでそこがご注意を。

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瀧は胸好きだがイイ奴である

2人のダブル主人公の中でどっちた好きかと聞かれたら、迷わず瀧を選びますね。女性に対して多少のコミュ障がありますが、イイ奴であることは間違いない!

四葉の証言から、人格が変わるたびに三葉の胸を触るエロさはもっていますが、そこは高校生、一番盛んな時期なので多めにみるべきです!

それよりも、ここで忘れてはいけないのは、一度は理性によって本能を抑えようと試みていたことです!!

俺は胸に手を伸ばす。今日はこれが俺の体で、自分の体に触るくらいなんの問題もないはずだと、いつものように俺は思う。いや。しかし、でも・・・。俺は手を止め、小さく呟(つぶや)く。

・・・あいつに悪いか
出典:小説 君の名は。新海誠

このように、いっときは理性が勝っています!結局、毎回触ることになるんですけどねww

瀧の描写の中で、こいつイイ奴だなぁと思ったのが三葉のおばあちゃん(一葉)をおんぶしたとき、そして、ご神木に口噛み酒をお供えしにいったとき、自然とおばあちゃんの手をとってフォローしていたとき。

都会っ子がそうそうできることじゃないからね、現実に。多少のエロさはあるものの友達になりたいキャラであるのは間違いない。

2人をつなぐもの

出典:「君の名は。」予告2

三葉と瀧、『君の名は。』最大の謎はなぜこの2人の人格が入れ替わったることになったのか?フィクションですから、そう答えがあるものではないんですが、2人の境遇は似通っていたのは興味深かったですね。

2人とも母親がいないという家庭環境。三葉は幼いころに母親が他界し、その後祖母とのイザコザで実の父親が家を出ることになり、現在は祖母との女3人の生活。

一方瀧の家庭環境は三葉ほど詳しく描かれていませんが、父親はいるものの母親に関する描写が一切出てこなかったことから、他界、もしくは離婚が原因で現在は父親との2人暮らし。

似ている境遇はどこか共鳴する部分があったのでしょうか。基本的に三葉の巫女パワーによるところが大きいのは確か。東京にこの上なく憧れていたからこそ、東京に住んでいる瀧を見つけ出したのかもね。

宮水家に受け継がれてきた役割なのかもしれない。千二百年ごとに訪れる厄災。それを回避するために、数年先を生きる人間と夢を通じて交信する能力。巫女の役割
出典:小説 君の名は。新海誠

となると、飛騨のご神木のなせる技ということか??

ちなみに、三葉がなぜ髪の毛をバッサリと切ったのかという理由ですが、小説版では瀧に自分のことをわかってもらえなかったショックによるものとなっています。

髪を切る=失恋という意味合いがあることから、三葉はまだ見ぬ瀧を以前から運命の人と思っていたようにも思えます。

ラストはどうなったのか

結局のところ、三葉や糸森町の住人たちはティアマト彗星から逃れることができたのでしょうか。

あの夜の出来事は三葉が父親を説得すべくがむしゃらに走る描写で終わりましたが、後日談として、奇蹟的に糸森町の住人にほとんど被害がなかったようです。

彗星落下のその日、糸守町では偶然にも町を挙げての避難訓練があり、町民の大半が被害範囲の外にいたというのだ。
出典:小説 君の名は。新海誠

となると、あの運命の日に失敗と思われた三葉たちの計画はうまくいったということになる・・・三葉が父親を説得させ、避難訓練という名目で住民を誘導させたんだと思います。

三葉と瀧の愛の力が奇蹟を生んだってことでしょうかw

あとがき:震災というバックグラウンド

この作品は震災を連想される作品として評価されているようです。新海監督のインタビューでもこのことに触れている記事がありました。

『君の名は。』は、震災以降でなければありえなかった作品だと思います。とはいえ、物語を考える過程で、自然に出てきたモチーフでした。新海 直接的に震災を描いてはいませんが、僕らには、知識や体験として震災がある。2011年以降、僕も含めて、多くの日本人が「明日は自分たちの番かもしれない」あるいは「なぜ(被災したのは)自分たちじゃなかったんだろう」という思考のベースに切り替わっていったように思います。
出典:『君の名は。』新海誠インタビュー後編|KAI-YOU.net

彗星という自然災害が震災のメタファーと考えると分かりやすいと思います。ただ、そうはいってもこのインタビューでも言っているように、気負って観る必要もないのかなと思います。

頭でっかちで観てしまうと、せかっくの感動も薄れかねないので、ここはエンタメ作品として

ホント感動したよね

というド直球な感想で終わりにしたいと思います。

おわり

おまけ:市原悦子を起用した理由

最後におまけとして声優エピソード。三葉の祖母・一葉の声を担当した市原悦子さんですが、小説版で一葉についての描写にこんな表現があるんですw

神さま?唐突になんの話だ?でも、まんが日本昔話みたいな婆ちゃんの声には不思議な説得力がある。
出典:小説 君の名は。新海誠

まんが日本昔話といえば市原悦子

新海監督が市原悦子さんを起用した理由は絶対にこれだわ、そう思ってインタビュー記事を探していくとやっぱりそうでしたww

「『まんが日本昔ばなし』に育てられた僕にとっては、ですから一葉役は市原悦子さん以外にあり得ませんでした」と、市原起用への思いを語り、(以下省略)
出典:長澤まさみ&市原悦子、新海誠監督「君の名は。」に声優出演!|映画.com

申し分ない抜擢www

小説 君の名は。新海誠
出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。
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