子供の脳が危ない!携帯電話の電磁波の危険性について考える|携帯電磁波の人体影響 矢部武

電磁波の影響

電磁波による人体への影響について気にしたことがある方は多いと思います。特に携帯電話は耳との距離が近いことから、脳への影響を危惧しない人はいないはずです。

さらには、90年代には下火だった携帯電話の電磁波問題が、2000年代に入り、世界各国で健康リスクについて真剣に議論されはじめています。

携帯電話はすでに毎日の生活になくてはならないものとなりましたが、普段頻繁に利用しているものだからこそ、ここらへんで電磁波についてちょっとばかり真面目に考えてみてはいかがでしょうか。

使うな!というのではなく、これから安全に使っていくにはどうすればいいのか?というのが本書の提言になるので、きっと抵抗なく読めるはずです。

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なぜ今まで十分な情報が集まらなかったのか

90年代にはほとんど議論されていなかった電磁波問題ですが、2000年代に入り、興味深い調査結果が発表されるようになったことで、ようやく真剣な議論ができる土壌ができたといいます。

電磁波にかかわらず、たとえば放送電波や高圧線などの健康への影響については93年にアメリカで議論されたことはありましたが、携帯電話の電磁波に焦点をあてた米国議会の公聴会は08年にはじめて開かれました。

電磁波問題が台頭してきた主な要因としては、電磁波による健康リスクの危険を不安視する人が増えたこと、専門家による議論が活発になりはじめたこと、携帯電話の使用を制限する勧告がアメリカの有名なガンセンターで出されたことなどがありますが、その根本として、十分とはいわないまでも、信頼に値する調査がヨーロッパを中心に報告されはじめてきたことが背景にあるようです。

これまで「健康影響はない」と主張する専門家は、主に十年以内の短期使用者を対象にした研究調査をしていることが多かった。しかし、脳腫瘍などは発症するまでの潜伏期間が一般に十年から二十年と長いため、短期使用者の調査ではあまり変化がみられない可能性もある。
出典:携帯電磁波の人体影響 矢部武 p5

本書によると10年以上の長期的な調査をしなければ、携帯電話の電磁波が安全かどうかを判断するのが難しいのではないのか?としています。

そのため、携帯電話の普及が比較的早かったスウェーデンやイスラエルなどがおこなった調査が非常に重要視されることになっていくのです。

これらの地域では10年以上の長期利用者が多くいる地域であるため、携帯電話の電磁波と人体、特に脳への影響を調査するには非常に参考になるのです。そして、この2カ国の調査結果において、どちらも

10年以上の長期使用者(及びヘビーユーザー)の間でほぼ一貫して脳腫瘍のリスクが高まりをみせた

という結論に達したのです。

こうした調査報告が発表されるにしたがい、各国も携帯電話の電磁波による危険性を本格的に重要視しはじめていきます。

電磁波の影響を受けやすい子どもたち

電磁波の影響で特に心配なのが子どもの曝露(ばくろ)による健康リスクです。

スウェーデンなどで実施された調査において、長期使用者の健康リスクの危険性のほかにも、子供への影響も問題視されました。

実際に、イギリスやフランスをはじめとするヨーロッパやロシア、イスラエルなどにおいて、子供の携帯電話の使用について制限を設けるようになっていきます。

もちろん、科学的な根拠はないのですが、予防的立場(予防原則)という観点から実施することに意義があるのではないでしょうか。そして、日本がいかに遅れているのか、イギリスの例と比べれば明らだと思います。

英国政府は二〇〇五年一月、「十六歳以下の子供の緊急時以外の携帯電使用を控え、八歳以下の子供の携帯電話使用を禁止するように」と勧告し、携帯電話会社には子供向け販売キャンペーンを中止するように求めた。
出典:携帯電磁波の人体影響 矢部武 p190

日本の携帯電話会社がおこなっているコマーシャルやキャンペーンを見ればわかるように、子供たちに携帯電話の使用を企業自らが推奨しているのが今の日本の現状ですから、どれだけ遅れているのかが分かると思います。

では、日本政府が発表している見解はどうかといえば、

日本政府は子供の携帯電話使用を制限(あるいは禁止)すべきとの勧告を出していない。「今のところ、携帯電話使用と脳腫瘍などに有意な関連はみられない」というのが理由だが、日本では”予防原則”の考え方がほとんど受けいられていないのである。
出典:携帯電磁波の人体影響 矢部武 p194

何か問題になってようやくお役所が重い腰を上げるという構図は今にはじまったことではありませんよね。

だからこそ、ぼくたち自身がもっと携帯電話の危険性について真剣に考えなければならないのではないでしょうか。そして、お子さんがいる親御さんにこそ、本書を是非読んでほしいと思いました。

携帯電話だけをなぜそんなに危険視するのか

私たちの身の回りにはテレビ、パソコン、電気毛布、電気カーペット、ドライヤー、電気剃刀、エアコン、IH電磁調理器、電子レンジ、冷蔵庫など電磁波を発する家電製品があふれている。そんななかで、携帯電話の電磁波だけを注意してもあまり意味がないのではないか
出典:携帯電磁波の人体影響 矢部武 p31

ここまで読んでこうした疑問が湧いていた人も多いと思います。しかし、本書ではこの疑問に対して

全く違う

と断言します。それは、携帯電話と他の家電製品とはそもそもの構造が違うからだというのです。

携帯電話が発しているのはマイクロ波(高周波に属する)だが、他の大多数の家電製品(電子レンジ、IH調理器器などを除く)が発しているのは低周波である。
出典:携帯電磁波の人体影響 矢部武 p31

低周波の健康リスクについてはかなりの研究がされており、小児白血病のリスクなどが指摘されているため対策がなされているのですが、高周波についての研究はまだまだ発展段階で、十分な議論もされていないといいます。

そして、問題なのが使用方法です。携帯電話ほど体に密着させる電気製品は他になく、それだけに、健康リスクが明らかになってからでは遅い可能性があるのです。何よりも、携帯電話の一番のヘビーユーザーが子供たちであるということに危機感を持つべきなのではないでしょうか。

携帯電話は危険だから使わないというのでありません。ほかの家電製品も使用方法に気をつければ問題がないように、携帯電話の利用法をしっかりと考えていく必要があるように思います。

携帯電磁波の人体影響 矢部 武
世界各国で、携帯電話やその基地局の電磁波(高周波)による健康被害を懸念する声が高まっている。健康影響への配慮から子供の使用を制限する動きも出ている。海外の事例をふまえつつ、携帯電話の電磁波の問題について考察する。
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