今でもときどき読みたくなる江國香織の魅力とおすすめ作品

江國香織 幻想的

めっきり読まなくなった小説なんですが、たま~に本棚かたひっぱり出して読みたくなる作品というものがある。

ぼくにとってのそれは江國香織の作品だ。彼女の作風はなんというか、透明感のある恋愛小説。

少女漫画のようなイメージというとわかりやすいかもしれない。王道の少女漫画は、女子の理想をそのまま漫画にしてるから、現実には絶対にありえない世界観を描いている。

でも、どこかで捨てきれない憧れや期待があるからドキドキしながら読めちゃうわけ。そんな微妙な琴線をこちょこちょっとくすぐってくれるから少女漫画は面白い。

ただ、こちょこちょっと触れられる琴線に面白さを感じている人もいれば、嫌いな人もいる。

江國作品が好きな人は、きっとこのこちょちょ感が好きな人に違いない。現実とも夢ともいえない幻想的な世界が好きな人で、リアルやグロさなんて要らない人だ。

逆に嫌いな人は、子供じみた、形だけの世界に白けてしまう人だ。

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一番好きな作品

こうした世界観は、特に初期の江國作品に多い印象がある。たとえば、ウエハースの椅子だったり、神様のボートだったり。

ストーリーはかなり狂気的なんだけど、なぜか幻想的というか優しい雰囲気が作中に漂っている。

ウエハースの椅子 江國 香織
私を訪ねてくるのは、やさしい恋人(妻と息子と娘がいる)とのら猫、そして、記憶と孤独。恋人の身体は、信じられないほど私を幸福にする-。とても切なく危険な恋愛長篇
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孤独な女性が主人公なのですが、そんな描写もなぜか読んでいて苦痛に感じない。自立した生活をしているとはいっても、付き合っている男性は既婚者という設定なのに、読後感は悪くないのが不思議だ。

また、ところどころに、洋楽の楽曲が差し込まれていたのも印象深い。彼女の作品に洋楽はつきもの。

神様のボート 江國 香織
私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す
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これぞ少女漫画の世界と思わせるような作品。こういう世界観がすき。それにしても、あのエンディングはもう「すごい」の一言でした。

ただ、今読み返してみると、ちょっと当時のような感覚にはなれなかった。大人になると甘いものが食べられなくなるっていうけど、本も同じように、甘すぎる世界ってのも辛くなるのかもね。

江國作品とリアル

映画にもなった『東京タワー』だけど、原作が江國香織ということを考えると、全く分かってない。映像にリアルな血の描写は彼女の作品には似合わない。

幻想的で詩的さを漂わせているのが江國作品。そこに血という生々しさを持ち込んじゃうと、一気に現実感が襲ってきてしまう。

東京タワー 江國 香織
待つのは苦しいが、待っていない時間よりずっと幸福だ-。ふたりの少年・透と耕二。そして彼等の年上の恋人。恋の極みを描く長編恋愛小説
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イメージが変わった作品

ここで少しイメージが変わった作品も紹介しておこう。それが薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木だ。

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 江國香織
情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!恋愛は世界を循環するエネルギー
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この作品でリアルさを強く感じた。現代女性が抱える悩みをリアルに描こうとしていた。意図的なのか、作風を変えてきた印象を受けた。ただ、ぼくにはちょっと好きにはなれなかった。

久しぶりの小説三昧

すっかり小説を読むことから離れてしまったが、好きな作家さんの小説というものは覚えているものですね。そういえば、ぼくが最後に江國さん編作品を読んだのが『間宮兄弟』だったと思います。

間宮兄弟 江國 香織
だって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだに一緒に遊んでるじゃん。“そもそも範疇外、ありえない”男たちをめぐる、江国香織の最新恋愛小説
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それにしても、この記事を書いているうちに久しぶりに小説が読みたくなってきた。小説も捨てたもんじゃないなと思った。

犬とハモニカ 江國 香織
外国人青年、少女、老婦人、大家族……。空港の到着ロビーで行き交う人々の、人生の一瞬の重なりを鮮やかに掬い取った川端賞受賞の表題作
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