隣り合わせの灰と青春 灰と幻想のグリムガルにハマったならこの作品もおすすめ!

ゲームRPGの初期ノベライズのペニー秋山さんの『隣り合わせの灰と青春』。以後続編にあたる『龍よ。届いているか』、『不死王』が執筆された名作中の名作。

タイトルから、十文字青さんの『灰と幻想のグリムガル』をイメージしますが、グリムガルはこの作品をオマージュしてたりします。単行本の作者あとがきにも触れていましたからね。

作品はリアル冒険譚とでもいいましょうか、回復・蘇生魔法は使えるものの、死と隣り合わせなダンジョン探索に代わりなく、しかも蘇生魔法が必ずしも成功するわけではない。失敗すれば死が待っているストイック極まりない設定。

ゲームというフィクションを小説を通してどうリアルに描いていくか、読者をいかに納得させるか、その気合がものすごく伝わってきます。そして作者の意図は成功したわけです。

1980年代の作品ですが『灰と幻想のグリムガル』が面白いと思ったならこの作品もぜひ!舞台が異世界なので古典とはいえ設定の古さは感じなく今読んでも色あせない作品ですよ。

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ストーリー・あらすじ

暴君トレボー王の城塞都市のわずか数キロ先にあるワードナの地下迷宮。地下十階層からなるその迷宮に頭を抱えていたトレボーは、各大陸の冒険者にワードナ地下迷宮攻略を布令する。

かつてトレボ-直属の精鋭部隊が攻略に挑むも、ワードナが召喚した数多くのモンスターたちにより部隊が壊滅するほど攻略には困難を極めていた。

この地下迷宮を創り、今もなお最下層に棲んでいる老魔導師ワードナを倒すため、今日も数多くの冒険者たちがこの地下ダンジョンに挑んでいた。

そんな冒険者たちの中でも迷宮攻略に一番近いとされているのが、最近戦士から侍に転職したばかりのスカルダがリーダとするパーティ。

侍のスカルダ、忍者のジャバ、魔法使いのサラ、戦士のガディ、そして魔法使いのバルカン、五人編成のパーティが魔導師ワードナ討伐に向けて地下迷宮に足を踏み入れる!

文章のテンポ

今でいう「ラノベ」と呼ばれるジャンルよりも恐らく読みにくいと思う。それは現在の主流な描き方とは異なるので注意が必要。

今の主流は文章が話し言葉ようにサクサク読める、いわるゆテンポの早い読みものになっているのが特徴で、それは300ページもあるラノベがわずか数時間で読めちゃことからも分かる。

『隣り合わせの灰と青春』では文章が重工で、セリフにページをあまり割いていない。そのため最初はテンポが遅いと感じるも、それは世界観をよりリアルに、そして笑いを一切排除した構成になっているためで、そこらへんを理解しておくと面白くなります。

テンポが遅いと「つまんない」と錯覚してしまう読者もいるので、そこは違うゾと言いたい。このテンポが現代と80年代の違いという指摘もできますが、だんだんと文章に味が出てきます、そう感じたらしめたものw

他のシリーズ作品も追うべき

この作品は一巻完結ですが、シリーズ作品としてほかにも出版されています。

いずれの作品も『隣り合わせの灰と青春』で描いた世界観をベースに続くストーリーになっているのですが、シリーズ全体を読むことでさらに世界観の緻密さを堪能することができます。

たとえば『不死王』ではワードナの側近にヴァンパイアの王バンパイアロードが登場するんですが、王である彼がなぜワードナの部下になったのか、その経緯が分かり世界観をより理解することができるようになっています。

ほかにも、魔法による弊害や悪魔族がなぜ人間族が住む大地に現れるようになったのか、それらの疑問を一気に解決してくれるので一度ハマると抜け出せない、まさに迷宮ですwww

ちなみに不死王では最後BL要素があるので女性の方にもおすすめします。

どの順番で読むべきか

シリーズ通して読みすすめるのであれば、まずは『隣わせの灰と青春』を読んで、この作品の補完的作品に位置する『不死王』、そして続編となる『龍よ。届いているか』の順番で読んでいくのがおすすめです。

文庫本は既に絶版となり中古でしか入手できなかったんですが、キンドルで扱うようになり電子書籍版で読めるようになりました。

かなりお手頃価格で全シリーズが読めるので、懐かしさを感じる方はもちろんですが興味ある方は是非手にとってみてください。

今でも色褪せない理由

ラノベに限らず小説や映画、ゲームでも数年後にはどうしても古さを感じてしまう作品が多いです。それは当時の生活習慣を描いているわけで、携帯電話や流行語などで古さがどうしても出てしまいます。

リゼロの作者の方もツイッターでこんな発言してますからね。

ただ中には時代を感じさせない作品ってのもあります。たとえば歴史ものなんかはそうですよね。そして異世界ものも同様。

ただ、舞台だけを異世界にして登場人物を現代で描いてしまうと風化は避けられないですが、『隣り合わせの灰と青春』ではしっかりと当時の風俗を一切入れないファンタジー全開な構成になています。

ゆえに古さは感じない。

このシリーズを若い世代が読んでも十分耐えうるクオリティと面白さはあります。というわけで読んでみなはれ。

隣り合わせの灰と青春 ベニー松山
出版社: 幻想迷宮書店; 1版
発売日: 2016/4/11
言語: 日本語
ASIN: B01DITFRIO

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KaoruAnatu
毎夜カタカタ投稿している中の人。本とサブカルを中心に執筆中。独自視点でレビューが書けたらと思っている今日この頃