手塚治虫が漫画家志望の若者たちに送った言葉がこの業界の厳しさを表していた!

※はじめからアレですが、今回は暗い話題になります。

「ブラックジャックによろしく」の作者で有名な佐藤秀峰さんが漫画業界のリアルを描いた『漫画貧乏』で、漫画家で生計を立てていくことの大変さを書いていましたが、昔も今も漫画家という職業で生活していくことは非常に難しいようです。

なぜ佐藤秀峰は「ブラックジャックによろしく」の著作権を放棄したのか|漫画貧乏
漫画家・佐藤秀峰さんが描く赤裸々な漫画業界の裏の裏。ぼくは、漫画やアニメも好きだから、こうした業界の

漫画の神様と呼ばれるくらい大きな影響力を与えた手塚治虫先生が書いた『マンガの描き方』の中で、漫画家を志す若者たちへ厳しくも温かい、いや、厳しいだけかもしれないアドバイスを贈っている言葉がありました。

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まかりまちがって漫画でめしを食おうと思っている人へ

この本は1977年にカッパ・ホームズから出版されたのですが、今では文庫本として新書でも読めるようになっているので、興味がある方は一読してみてください。おすすめです。

さて、この本は、タイトルのとおり、マンガを描いてみたい、もっと上手になりたいという方に手塚先生が書いた本なのですが、第一章の最後にある「まかりまちがって漫画でめしを食おうと思っている人へ」という章が漫画業界の厳しさについて書いていました。

70年代当時の漫画志望の若者たちを見て、手塚先生はこんな印象を持ったといいます。

現在では、こんな若者が多い。「プロになると、原稿料、一枚いくらですか?」のっけにこう聞いてくる。「ちばてつやさんは「あしたのジョー」でものすごくもうけたって本当ですか?」「先生のアシスタントになると月給いくら貰えますか?ボーナスは年何回?」
出典:マンガの描き方 手塚治虫 p36

生活の確立とか、食うことの保証とか、ましてや、楽をしようとなんて欲からは、ほど遠いものなのだ。
出典:マンガの描き方 手塚治虫 p36

「漫画家は食えない」のは覚悟した方がいい。そして、漫画は生活のために描くものでもないというのはかなり厳しいことをおっしゃっています。

漫画は夢や希望、勇気を与える作品だけに、子供心に描いていた漫画業界と現実の世界とのギャップがあるのかもしれませんね。

特に今は、高校卒業後の進路の一つとして、漫画やアニメの専門学校なんてのも選択肢としてあるわけで、こうした道を志すのは漫画ファンとしてはうれしいけど、自分の将来像をある程度考えておかないと厳しいのは確かなんだろう。

プロとして出発するには、際立った個性が必要となる。この、個性というものがどんなものなのか、描いている本人にはぜったいわからないのであって、これを掘り出すのは第三者だ。だから、自己満足に陥って、自信過剰のままマスコミ界へとびこむと、袋だたきにあって、都落ちとなる。漫画界は、予想以上にきびしい世界である。
出典:マンガの描き方 手塚治虫 p38

子ども向けを対象とした本なのですが、そこは現実をしっかりと描いています。漫画は食えないとよくいますが、そりゃそうでしょう。実力や才能、運の世界ですからね。

さらには、最近はたとえヒットしても、売り上げ自体が激減したいるわけだから、生計を立てられる漫画家さんはごくごく一部の人たちということになるんだと思います。

学校は、なるべく高いところまで進むべきだ。漫画以外の教養や知識が、最後にものを言う。また、ふだんの勉強も必要で、漫画本ばかり読んでいてはダメである。文学や科学書、紀行、評論集などの本に親しんで、知識を広めることだ。
出典:マンガの描き方 手塚治虫 p232

手塚先生の真剣なアドバイスが伺えると思います。

アニメ業界の闇

次に、漫画ではなくアニメ業界における手塚治虫先生の影響について興味深い記事があったのでここで紹介しようと思います。

ORICONのサイトに『過酷なアニメ制作現場 神様”手塚治虫の功罪』という記事がアップされていました。

手塚先生が作り上げた基礎が、今でも重い足枷として、アニメ業界の習慣化として根付いているのではないか?という意見が書かれていす。

ぼくはアニメを楽しむ側だけど、最近よく目にするのはエンドロールに流れる外国人の名前。アニメ業界もかなり経営的に逼迫しているようです。

さらには、日刊サイゾーではこんな記事もありました。

深夜アニメの「使い捨て問題」についての記事。漫画やアニメ業界って政府が「クールジャパン」って海外にアピールしているジャパンコンテンツのはずなんですが・・・。

その基礎がこんなにもグラグラなら、いくらすごいコンテンツだって広まるわけがない。

漫画、ライトノベルのアニメ化は、アニメ業界からすればコストがかからずに済むし、出版業界としては本の宣伝になる。そんな利害関係一致のもと、その時旬な原作を持ってくれば、双方ともにプラスとなるのは自明だ。
出典:絶賛→非難の嵐! 原作アニメ「使い捨て」問題を浮き彫りにした『極黒のブリュンヒルデ』|日刊サイゾー

アニメ化はぼくも賛成です。最近だと週刊マガジンで連載されていた「七つの大罪」は、もともと人気はあったけど、アニメ化によって一気に爆発したわけだから、出版社もアニメ業界もプラスになる。

でも、「双方のプラス」になるのはいいけど、プラスにさせているのはアニメを見ている視聴者や原作を読んでいる人たちなわけで、長い目で見れば、使い捨てアニメを生み出すのは、そもそもプラスにもならない。むしろマイナス。ファンはどんどん減っていくだけ。

利益重視で原作やファンを甘くみると、結果的に自分たちの業界の首を絞めていることになりますよ。