知ってるようで知らない漫画家・蛭子能収のシュールな作品|パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収

蛭子さんといえば、最近ではテレ東の旅番組でも有名ですが、もともとの職業は漫画家さん。

文化人でも芸能人でも、ましてやプロのギャンブラーでもない。

テレビの画面に映る蛭子さんはいつも笑っている優しそうなおじさんというイメージがありますが、実際に漫画、特に初期の作品を読んでみると、かなりシュールな作品を描いていたことはご存知でしょうか。

kindleなどの電子書籍で、蛭子さんの初期作品をまとめた『蛭子能収コレクション』が発売されています。今回はこのシリーズから「パチンコ屋はインテリを嫌う」の紹介です。

ショートショートのような短編を集めたこの作品は、ストーリー性よりも不条理さが前面に出ているのですが、なぜか引き込まれてしまうから不思議です。

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競艇時代

とある競艇レースで一人の選手がコースから外れ、鉄製のポールに激突して死亡してしまうところからストーリーがはじまります。

たとえばテレビの悲惨なニュースを見て、その瞬間は心を痛めるけど、その数分後には会社や学校の身支度に忙しくて、さっきまでの感情は頭の中からすっかり忘れ去られていたりします。

競艇時代
出典:パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収 kindle P11

なんだか不条理だけど、そんな不条理なことって毎日の生活をよくよく思い返してみるといくらでもある。自分と家族と、友人と、知り合いと・・・本気で心配するのはこのくらいの小さい範囲にすぎない。

あとは、映画や本を読んで一時にせよ感動するように、何か新しい情報が頭の中を占領してしまえば、いつしか心を痛めていたことさえ覚えていないもの。

「競艇時代」に登場する青年は俳優を目指して東京に上京するも、いつしかギャンブルに入りびたる生活へと落ちてしまいます。

競艇時代
出典:パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収 kindle P16

競艇でレースを張っていた青年だったはずが、いつしか選手としてレースに出ているシーンへと切り替わる。彼にとっての夢とは、人生とはなんなのだろうか?独特な展開で進むのですが、考えされられる作品でした。

勝手にしやがれ

シュールの概念なんて抽象的すぎて言葉で説明しろといわれても、よくわからないけど感覚として多分みんな持っていると思います。たとえば、お笑いだったり、映画だったり、本だったり、「なんかこれ、かなりシュールだよね」と感じたり、思ったことはあるはずです。

勝手にしやがれ
出典:パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収 kindle P25

パチンコ屋で人が刺され倒れている横で、パチンコを打ち続ける男。これだけでも十分シュールなのは明らかですよね。

蛭子さんの作品は正直どう感想を述べればいいのか難しい部分もあるのですが、シュールな作品が多くて、若かりし頃の作品を知らないだけによけいに面白かった。

パチンコを打っているこの男は、ギャンブルで家族を養っている。家には妻と二人の子どもたちがお腹を空かして待っているのだが、そんな家族の様子を隣の部屋の住人が観察しているという、なんとも奇妙な設定。

勝手にしやがれ
出典:パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収 kindle P40

なんだこのゾッとするような展開は・・・。けどこの作品を読めただけでも買った価値はあったな。

パチンコ屋はインテリを嫌う

一九八一年、パチンコはデジタルの時代に突入した これによりパチンコ屋は遊戯場ではなく 生活を賭けて闘う民衆のギャンブル場と化して言ったのであった

パチンコにコンピューターが導入されたことによって当たりが出なくなったとクレームをいうスーツ姿の男。周りの客は玉が出るのに、なぜ俺の台では当たりが全くこないのか。

パチンコ屋はインテリを嫌う
出典:パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収 kindle P65

男は玉がでない理由を「自分がインテリだから」と考えるようになり、ついにはパチンコ台に八つ当たりをしはじめる。

パチンコ屋はインテリを嫌う
出典:パチンコ屋はインテリを嫌う 蛭子能収 kindle P67

パチンコ台を壊していく男だが、なんと台の裏に人(しかも裸の女)がいるというシュールな展開へと進んでいく・・・

まとめ

本作を読んでもわかるのは、作品のクオリティの高低がありすぎること。後半に進むにしたがって、なんだか質が明らかに落ちているのは、はじめて蛭子作品を読んでもわかってしまうほど。

そこがちょっと残念でしたが、まぁ、テレビそのまんまの蛭子さんらしさがあるから許せる?かな。もちろん、クオリティが高い作品もあるので、蛭子ワールドを味わう一冊として十分におすすめできます。

ただ、一つ言えることはテレビで人気が出てしまったことで、漫画家としての才能を潰してしまった感は否めない。

蛭子漫画を読んでイメージが変わった人は本人が書いた自伝本もおすすめです。

ちょっぴり?アウトローな蛭子能収人生訓が面白い!|ひとりぼっちを笑うな 蛭子 能収
地のままで生きていくことで漫画家として、芸能人としてもなんとかここまでくることができたという

蛭子さんの心に潜む狂気を知ることができます。

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