俺ガイル11巻 アニメ最終回での「ゆきのんのこと それと、あたしのこと あたしたちのこと」問題について考える

アニメ2期が最終回を迎えても、スッキリしなかったので、遅ればせながら原作のラノベ11巻を読んでみることにしました。最終回で話題になったのが、由比ヶ浜結衣からはじまる、一連のヤリトリの真意ですよね。

アニメと原作を読んで言えることは、アニメはどうしても省略されている部分があるため、なかなか理解できなないことがあるのは、致し方ない。

なので、ここでは原作を根拠にしながら、ぼくなりの考察を書いていこうと思います。

もちろんぼくなりの読み方ですが、とりあえず最後まで読めば、何かしらのヒントを与えられるかも?しれませんので、どうぞ、およそ五千字からなる考察にお付き合いください。

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情景描写からヒントを読み取る

まず、11巻を読んで思ったのが、情景描写がとても多い、いや、多すぎること。イヤと言うほど3人の関係を強調させてくる・・・もういいですよ作者さん、と思うほどに。

でも、このおかげで、アニメでは伝わらなかった3人の気持ちや、関係性が非常によく掴めることができました・・・作者さんありがとう!

そこで、結衣たちのやり取りを考えていく前に、3人の気持ちを理解するためにも情景描写に注目してみようと思います。

ここでは特に印象的だった水族館のシーンを中心に見ていくことにします。ここを知るだけでも、理解度がグッと深くなると思いますよ。

どうやらその解説を見るに、二羽で寄り添っているペンギンたちは夫婦なのだそうだ。飼育下のフンボルトペンギンは多くの場合、どちらかが死んでしまわない限り、同じパートナーと連れ添い続けるのだという。それを読んでから、もう一度二羽のペンギンを眺めていると、手前にいた雪ノ下の肩が揺れ、はっと息を飲んだのがわかった。そして、足早にその場を離れる。
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

一見すると雪乃の行動が意味深に感じますが、雪乃が八幡に好意を寄せていると考えれば、この情景描写はすんなり理解できませんか。

この描写から、雪乃は結衣が八幡を好きなことを知っている、あるいは感づいているのではないのかと思ったんです。

フンボルトペンギンの生態を奉仕部の3人に重ねあわせたんじゃないのかなと。3人の今の関係、そして、これからの関係についてを。

※俺ガイルでは、恋心を匂わせるセリフなり行動なりが数多くありますが、どれひとつとして決定打となる根拠が描かれていない。なので、雪乃(結衣も)八幡のことが好きだとは思うんですが、一応「仮定」としておきます。歯痒いけどラノベではありがちな構成ですよね。

さらに、雪乃がジャイアントケルプという魚を見ていたときの描写にも、彼女の心の内を読むことができます。

寄る辺がなければ、自分の居場所も見つけられない・・・・・。隠れて流されて、何かについていって、・・・・・見えない壁にぶつかるの」
雪ノ下は硝子(ガラス)に触れようとそっと手を伸ばしかけた。だが、やがてそれは力なく静かに下ろされる(中略)。
「どこの魚のことだ?」
何を見ているとも知れず、そんなことを聞く。すると、雪ノ下はすぐには答えず、安らいだようなため息を吐いた。
「・・・・・私のこと
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

さて、この雪乃のセリフ。寄る辺(よるべ)とは拠りどころという意味。誰かに頼らなければ、または、誰かが言われなければ何もできない。自分から何かを決めることができないことを、この魚に重ねています。

そして、これは明らかに雪乃姉が強く影響しています。11巻では雪乃姉だけでなく、母親も登場してきました。複雑な家庭環境を垣間見たことで、彼女の抱えている問題も浮き彫りになりました。

非常に重要なところなので、ここでもう一度整理してみると、雪ノ下雪乃にとっての問題とは「他人(というか姉とか母)に依存してしまう自分」と考えることできるわけで、つまり、何が言いたいのかといえば、結衣のセリフにあった「ゆきのんの問題」とはこのことではないかということです。

11巻では、こうした情景描写(観覧車のところとかも)にそれぞれの感情をゆだねている文章がやたら登場してきますので、こうした部分に注意しながら読んでみると、結衣の最後のセリフももっと理解できるはずです。

由比ヶ浜結衣の真意

いよいよ本題の3人のやりとについて迫っていきます!まず口火を切ったのは、結衣のセリフからでした。

ゆきのんのこと。それと、あたしのこと。・・・あたしたちのこと。
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

結衣の口から心をエグるような質問が投げかけられます。このセリフのあと、結衣は八幡に「お礼」といって手作りのクッキーを手渡します。

この部分の真意としては、結衣が八幡に「告白しない」という意思表示を雪乃に示すための行動ではないかと思います。というのも、この後に八幡の心情が書かれているのですが、

あの時のお礼というのなら、その件は既に済んだことのはずだ。過去のことについてはもう清算は済んでいて、それを今更掘り返す気はない。お礼と言うなら今までの日々の中で、もう十分すぎるほど受け取ってきた。だからこれを礼として受け取るのは道理に合わない
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

八幡もクッキーが単なる「お礼」ではなことは重々承知しているわけですが、それでも結衣は「お礼」と言い張ります。そして、この後の結衣が雪乃に投げかけるセリフに

ゆきのんの今抱えている問題、あたし、答えわかってるの
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

と、「お礼」の後のこのセリフ。ある意味雪乃への牽制(けんせい)とも読み取れます。結衣は「お礼」ではないにもかかわらず、頑なに「お礼」と言い張ります。

そこに隠している、いや、押さえ込んでいる感情は八幡への「恋愛感情」であることは、これまでのストーリーから考えれば十分根拠になるはずです。なら、なぜ自分の本当の気持ちを八幡に打ち明けないのか?

結衣が導き出した答えというのが、まさにここにあって、結衣のセリフの真意としては、今までどおりの関係をずっと続けていきたいと望んでいたのではないかと思うんです。たとえ、それが欺瞞であっても・・・。

雪乃への「牽制」と思ったのも、結衣は八幡に対して「告白」ではなく「お礼」として手作りクッキーを上げるのを目の前でされては、雪乃はどうしよもない。「私は告白しない」という結衣の無言の圧力。牽制以外の何者でもないはずです。

あたしが勝ったら、全部貰うずるいかもしんないけど・・・。それしか思いつかないんだ・・・。ずっと、このままでいたいなって思うの
出典:出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

そして、結衣の「全部貰う」というセリフも、「このまま楽しい時間を過ごしたい」結衣の決断と、雪乃の「八幡への想いを隠すこと」という両方を貰うことを指しているんじゃないかと思います。

ちなにみ、結衣のセリフの中にある「ずるい」「卑怯な子」の解釈としては、結衣は「優しい女の子」という他人からの評価とは違う一面(ズレ)に疑問や違和感を持っていたため、これに対しての発言なのかなと思います。水族館でも自分の評価を否定する場面がありましたしね。

雪ノ下雪乃が抱えている問題

次に、結衣のセリフにもあった「ゆきのんの今抱えている問題」とは一体なんなのかを考えていこうと思います。

やはり、このセリフもアニメではうまく描かれていなかったように思います。少なくともぼくは原作読まなければ理解(正確には納得)できませんでした。

「ゆきのんの今抱えている問題、あたし、答えわかってるの」
そう言って、ゆっくりと雪ノ下の腕をさする。雪ノ下の抱えている問題、それはずっと彼女の所作(しょさ)の中に、言葉の中にいた。
何より、雪ノ下陽乃(はるの)が確かに明言した。今の雪乃は、どうしたらいいか、わからないのだ、と。それは何に対してだろうか。母親、姉、そしてこの関係。いずれかであろうし、いずれでもあろう。
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

結局原作読まんといけないというオチなのね・・・と、実際読んでみると3人の関係はそれほど曖昧なものではありません。

雪乃にとって、姉の存在はどうしても避けられない。そして、今までの言動や所作を読み返すことで、彼女の問題は自ずと見えてくるはずです。

陽乃はそれを言葉によって、3人に突きつけたわけです。それがこのセリフ。

「・・・雪乃ちゃんに自分なんてあるの?
「今だって、どう振舞っていいのかわかんないでしょ?」
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

これが雪乃が抱えている問題。今までの家庭環境が影響しているか、自分で何かを決断することができないため、今彼女は苦しんでいる。この依存気質は、結衣の部屋に泊まることになったシーンを考えるとさらに分かりやすくなります。

「・・・もしもし。今はお互い冷静じゃないだろうし、一晩考えて改めて話に行くわ。一応連絡だけ・・・」雪ノ下がほとんど一方的に話すと、電話口からの返事はないようで、沈黙が流れる。雪ノ下雪乃は困惑するような息遣いと、それに混じって「今の・・・」という小さな呟きが聞こえてきた
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

雪乃が姉に説明した内容が、今さっき八幡が雪乃に説明と同じセリフであることに、結衣と八幡は気がつきます。

雪乃にとって八幡が特別な存在であり、姉の代わりとして頼れる存在に、つまり恋愛感情があることを示唆する場面であると同時に、結衣にとっては、雪乃の気持ちや彼女が抱えている問題に気がついた場面に思えます。

その後、結衣が急にデートに誘ったのもこのことが影響しているのかもしれません。雪乃の気持ちを知っているはずなのに、結衣が出した答えは、今のままの関係を維持するというずるい答えを決断する。

少しくらいの違和感があっても、今日みたいな時間が続くのなら、それは幸福の範疇(はんちゅう)に収めてもいいのではないかと、そう思ってしまう。
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

八幡も一瞬結衣の提案を受け入れますが、この欺瞞(ウソ)で馴れ合いな提案を否定する。このときぼくが思ったのが、これって葉山がとった解決策と同じではないかという矛盾で、この解決はどうあがいてもない。今までのストーリーが意味をなくすからだ。

葉山は八幡が嫌いで、八幡は葉山が嫌い。今まで違うベクトルにいた2人をなぜ今更同じにする必要があるのか、当然八幡はこの提案を拒否します。

そんなの、ただの欺瞞(ぎまん)だろ
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

これは納得の展開。

八幡の依頼、そして雪乃の依頼

11巻で描かれたのは結衣の想いでしたが、なら八幡と雪乃の想いはどうなのだろうか。

それでも、ちゃんと考えて、苦しんで・・・、あがいて、俺は・・・
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

「ちゃんと考えて答えを出す」という八幡のセリフは、バレンタインイベントで平塚先生がアドバイスした

平塚先生はげふんとわざとらしく咳払いをする。
「逆だよ。感じるな、考えろ
出典:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 渡航

というセリフが伏線になっていることが分かります。このあたりの二人の会話をもう一度読みなおしてみるのも面白いかもしれない。それにしても平塚先生はホントいい先生だ。

欺瞞ではないホンモノの関係とは一体なんなのか?八幡の依頼、そして雪乃の依頼は次巻で明かされるのだろう。いよいよクライマックスといった感じですね。

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この時間がずっと続けばいいのかもしれない。何も気づかないほうが良かったのかもしれない。提案される「彼女の相談、彼女の依頼」。雪は静かに降り積もり、彼ら、彼女らの今という景色を変えていく。
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