今まで、いろんな叙述トリックを扱ったミステリ小説を読んできましたが、その中でもこの作品はサクッと読めるボリュームでした。 ページ数にしてだいたい200ページほどとかなり短めな作品に仕上がっています。そのためでしょうか、犯人探しはやさしめ。 登場人物がそもそも少なく、必然的に犯人像も絞られる。早い段階で犯行トリックの伏線が描かれるため、叙述トリックは見抜けなくとも、コイツが犯人だろ!と目星を付けやすい。 というわけで、今回は1990年に新潮社から出版された筒井康隆さんの『ロートレック荘事件』の叙述トリックを ...