著者の泉田良輔さんは、日本生命やフィデリティで証券アナリストとしてバリバリ働いていた経歴をもつエリートさん。

そんな著者が出版した「機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法」、読んでみたらこれがすごく有益だったので紹介します!
目次
素人個人投資家が知っておくべき指標
個人で株式投資をはじめる場合、とりあえず書籍だとか、最近だとユーチューブだとか、投資セミナーに顔を出すとかからはじめますよね。
株式投資について学んでいく中で、重要な指標というのが何個も何個も登場してきます。最初はこの指標を覚えるのが一苦労!
ただ、しばらく勉強していくと、こうした指標が脳ミソに馴染んできて、なんとなく理解できるようになっていきます。
知識だけでは意味がない
私もようやくここまで辿りつけたものの、知識だけを身につけても、意味がないんですよね。これは株式投資だけにあらず!

その道に関する知識がいくらあっても、それは頭でっかちなだけ。それをどう使っていくのかが、すごくすごく大切なんですよね。
株式投資でいえば、小難しい株価指数を多く知っていたとしても、それを使いこなしていなければ意味がないものです。
手を動かす必要性
この本の読者層は、そんなPERやPBR、POEといった指標は理解できてるけど、どう使えばいのは分からない勢を対象にしてます。
ド素人の私が言っても説得力がないかもしれませんが、PERといった指標を腹の底から理解するためには、やっぱり手を動かさないとダメです。
書籍や動画で勉強してもいいですが、手を動かすことで(エクセルにベタ打ちしていく作業)気づくことがあるものです。
そうした意味では、この本はエクセルを使った分析方法(バリュエーション)も掲載しているので分かりやすいです。

なぜ株価が上がるかの原理
この本では、株価が上昇するメカニズムも説明しています。どうして株価は上がるのかを改めて考えると説明できないものです。
このメカニズムを理解しないで株式投資に参加すると、なぜPERを注視しなきゃいけないのか、といった疑問に答えることができません。
こうした部分を曖昧にしてしまうと、株式投資で勝率を上げる(利益を上げる)ことは無理なんじゃないのかなと思ったりします。
これまでのにわか知識から、本当に理解した知識が獲得できるのがこの本であり、今後の株式分析の精度を格段に上げてくれます!

泉田式バリュエーションと三つの指標
著者の株式理論は本書を読むとして、泉田式ではPEPやPBR、ROEの三つ指標から投資判断してくことを推奨します。
PBR(株価純資産倍率)
ROE(自己資本利益率)
株価が上がるシナリオは複数ありますが、株価が上昇していくパターンの一つとして、次のようなシナリオで説明することができます。
ROEやPERは収益の効率性を見る指標ですが、ここが改善していくと株主資本が積み上がり、PBRが上昇し市場が注目しはじめる。
株主資本は帳簿上は株主の持ち分になるため、ここの数値が大きくなれば、株価は上がっていくという理屈です。
結局のところ、株価上昇のポイントになるのは企業はいかに「収益」を上げる(改善)してくことが重要なのかなと思ったりします。
株価上昇理論を関数であらわす理屈
本書では、株価上昇シナリオを説明するために、X軸にPER、Y軸にPBR、傾きにROEの関数として説明しています。
傾きはX軸とY軸の比率であらわすので、PBR=PER×ROEを変形すればROEを傾きにできるという理屈です。

ROEの発展分析
この本ではPBRといった指標でバリュエーション(企業分析)する方法以外に、スクリーニングも紹介しています。

スクリーニングで優良な株を探し出し、その後バリュエーションでより詳しく企業を分析していくのが泉田式です。
そして、スクリーニングでもROEを重視していますが、ROEが三つの指標に要素分解できることはよく知られていますよね。
実は、というか、泉田式バリュエーションでは、スクリーニングで抽出した数値から、ROEの各要素も導き出せるようになっています。
ROEがなぜ急激に下がった(上がった)のか、より詳細に分析していく際に、応用としてROEを要素分解することもできます。
効率的な株式分割後の株価抽出方法
泉田式は過去10年の業績を分析しますが、決算書から取ってくるよりも、効率的に抽出する方法があります。
それは、日本経済新聞から株価を抽出する方法。10年分の業績を分析していく中で、株式分割を何回もしている企業はよくあります。
ただ、株式分割後の株価に調整するとき、理論株価と実際の株価に誤差が出ることが多く、少しモヤモヤすることがあります。
そこで、日本経済新聞が役に立ちます!過去10年分の株価高値と安値(調整済)が無料で公開されているんです!

株式分割の調整をサクッとしたい人は、この方法はおすすめです。それに、決算書で調べる手間も省けるので効率的な分析ができますよ!
ヤフーファイナンスでも過去の株価を調べられますが、年単位で検索できないので、私は日本経済新聞のほうが使い勝手がいいです。
この本をおすすめしたい人
この本は、長期投資向けの株式投資本であり、ファンダメンタル分析のみで投資判断してく方法になります。
本書を読むことで、投資家としてワンラックアップできる人はこんな人たちです。長期投資向けなので短期投資派は不向きですね。
- 株価指標を使いこなしたい人
- 株価が上がる理屈を知りたい人
- 根拠のある株式投資をしたい人
ちなみに、本書は「将来予想はしない」というコンセプトですが、不要とはいっていないので、そこは間違わないようにしたいところです。
別に「予想しない」縛りをする必要はなく、あくまでご自身の投資スタイルを軸に、臨機応変に対応していけばいいと思います。
