日本国民の日々の安全を守っている警察官、ただ、どんな組織なのかはテレビや小説といったフィクションで知り得た情報が多く、実際のことろ「知ってるつもり」なところが多い。
なら実際の警察はどうなんだい!
というわけで、警察の組織についての初歩の初歩をここではまとめてみたい。主に刑事ドラマが好き、ミステリ小説好き向け。
警察の組織図
日本の警察組織で押さえておきたいのが「警察庁」。
警察庁は各都道府県の警察機構を監督・指揮する立場にある全国組織。
各都道府県の警察機構とは、東北管区警察局、関東管区警察局、中部管区警察局など全国7ブロックに配置されている都道府県警察のことを指します。
上図は警察庁の内部機関のうち、地方機関にフォーカスした略図になります。本来は地方組織のほか、内部機関(長官官房など)や付属機関(皇居警察本部など)がありますが今回は省略。
参考にした組織図は警察庁の公式HP。さらに深く知りたい方はコチラで確認してみてください。
本題に戻って、警察庁の指揮下にある地方機関の構成に注目してほしいのですが、各地方管区警察局に「北海道」と「東京」が含まれてない!
代わりに、東京及び北海道は「警察情報通信部」が設置されています。北海道は地理的理由などがあるみたいですが、注目すべきは東京。
東京は首都警察という特殊性から、管区警察局(具体的には関東管区警察局)には属しておらず、東京都警察情報通信部のみが設置されているのが特徴。
通常各都道府県の警察組織の名称は道府県警なのだが、東京だけが警視庁と特別な名前がついとる。というわけで、次からはこの警視庁について見ていきます!
ちなみに、年末特番などでよく放送されている警察特集。たとえば「警察24時」は全国の警察を紹介する番組ですが、「警視庁24時」では主に首都圏の警察を紹介する番組という違いがある。
警視庁は別格!?
警視庁という言葉は「警察法」にも登場しており、そこにははっきりと都道府県警察及び警視庁と他県と分かれているんです。
日本の首都が東京だから別格なのか!
と思わなくもないですが、冷静に考えればなんてことはなく、東京には皇居がある、国会議事堂がある、国の要人たちがいる首都であるため、他県に比べて違うのは当たり前なのだ。
たとえば、警視庁には通称、SP(セキュリティポリス)とよばれる要人護衛を専門とする部署(警備部警護課)が設置されています。
SPの任務は総理大臣をはじめ衆参両議院長、副議長、最高裁長官および国務大臣などの警備にあたります。ちなみに、皇宮関係者の護衛は警護課ではなく警衛課が担当。
警視庁は「本庁」と呼ばれることもありますが、テレビドラマでよく見かける本庁vs所轄の構図ですが、実際にはそういったことはないみたいです。
重大事件が発生すると「捜査本部」が設置されます。正式名称は「重要事件等捜査本部」、大規模になると100~150人の捜査員が駆り出されるんだとか。
この捜査本部で本庁、つまり警視庁と所轄、つまり各地区の警察署が合同で捜査することがありますが、本庁と所轄は捜査以前から密な交流をしているんだそうです。
また、現場の土地勘や情報は所轄の方が当然経験値が高いため、むしろ所轄の捜査員を頼りにしているといいます。
警察庁長官vs警視総監

▲警察の階級
ここまで警視庁ついて紹介してきましたが、警視庁のトップといえば警視総監。ただ、警察法では警察庁長官は「階級の適用外」となっていることから、警察官の最高階級は警視総監なんです。
そこで素朴な疑問。
警視庁トップの警視総監と警察庁トップの警察庁長官はどちらが偉いのか?さきほど説明した通り警察庁長官は階級の適応外のため、よく分からないのである。
警視庁と特別な名前を名乗っているけど警察庁に属しているわけだから、警察庁長官のほうが偉いとも言えそうですが、実際のところ明確な違いはあるわけではないようなのだ。
ただ、わずかに警察庁長官のほうが偉いようである。たとえば宮中晩さん会での席順を見てみると、警察庁長官の方が天皇により近い位置に座ることができる。
ちなみに、警視総監と警察庁次長を比べてみると、次長の階級が「警視監」に対して警視総監の階級は役職と同じく「警視総監」になる。
つまり、階級で見ると警視総監の方が上なのだが、役職は次長(地方機関のトップのため)の方が上というなんとも不思議な関係性があったりする。
キャリアvsノンキャリア
テレビドラマでは、キャリアとノンキャリアの対立なんてのもよく見かける光景ですよね。なら実際にどのくらい出世スピードが異なるのでしょうか。
まずキャリアとノンキャリアの違いから見てきます。
- キャリア→国家公務員総合職試験合格者
- ノンキャリア→各都道府県の公務員試験合格者
このほか国家公務員一般試験合格者、いわゆる準キャリアというのもありますが、ここではキャリアとノンキャリアの比較で比べていきます!
警察官の出世コース

まず押さえておきたいのが階級の出発点、ノンキャリアのスタートは巡査から、そこから巡査部長と1つずつ階級という名の階級を上がっていきます。
一方、キャリアは警察庁に入庁し警部補からスタート、順当に役職を上げていきます。ノンキャリアが50歳前後で警視正になるのに対して、キャリアは35前後で警視正になりノンキャリアとの差は15年ほどある。
そのため、順当に昇進していっても(最短コースでも)、警視正あたりがノンキャリアの勝ち組なんだとか。ただ、ノンキャリアの多くは巡査や巡査部長で定年を迎えるようです。
ちなみに、キャリアは全国25万人の警察官の中のたった500人足らず。テレビドラマにあるようなノンキャリアvsキャリアという構図はほぼんどないようです。
そもそも、キャリアの主な職場は警察庁、ほとんどが東大法学部卒の超絶エリート集団なのでノンキャリアとの接点はほとんどないという。また、同窓・縁故のつながりが採用・出世に影響しているという噂もあるとかないとか。
おわりに
というわけで、ここまで警察組織について初歩の初歩をみてきましたが、テレビドラマで描かれるような状況というのは現実にはそうそうないようです。
フィクションはあくまでフィクションってことなんでしょかね。
とはいえ、ミステリ小説が好きな私としてはいつか警察組織についてまとめてみたいという思いががあったので、今回自分なりに理解できてよかった。
ちなみに、おすすめの刑事ものの小説を1つあげるとすれば誉田哲也さんでしょうかね。心が病んでるときに読むのはおすすめできませんがw
そこが知りたい!日本の警察組織のしくみ 朝日出版社
警察組織完全読本 宝島社
警察庁HP(www.npa.go.jp)