国民消費者センターで10月に更新された記事に「架空請求」についての情報がまとめられていました。
DM(ダイレクトメール)や電子メール、ハガキといった形での架空請求がいまだ横行しているんだそうです。
ただ、この架空請求を見極める方法というのは、それほど難しいことではないんです。そこで、架空請求が来ても騙されない簡単な方法について説明していきます。
債権回収会社の歴史
もともと、債権回収というは弁護士法によって、弁護士だけに許された業務だったのですが、平成10年に成立した「債権回収に関する特別措置法」(サービサー法)によって、弁護士法の特例として、民間企業でもおこなえる業務になっていきました。
ただし、民間企業が債権回収業務を扱えるようになったとはいっても、必ず法務大臣の許可が必要になります。
そのため、法務省の債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧と手元にある請求書に記載されている会社名・住所・電話番号等を確認することで、正規の請求書かどうかをすぐに判別できます。
出典:債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧|法務省
たとえば、ぼくが知るところでは、ドコモが委託している債権回収業者はニッテレ債権回収株式会社になりますが、この一覧表にしっかり記載されています。
悪質な架空請求ともなると、一覧表に掲載されているものと似通った社名で送りつけてくるケースもあるそうですが、このサイトを知っておけば、いざというとき役に立ちます。
社名が一切記載されていない電子メールは架空請求
債権回収業務が認可されている企業の条件には、どんなものがあるのでしょうか。
●資本金が5億円以上の株式会社であること
●取締役に知識・経験豊富な弁護士が入っていること
●商号の中に「債権回収会社」の文字を入れていること
出典:保証・連帯保証のトラブルを解決するならこの一冊 自由国民社 一部抜粋 p162
手元にある請求書に「債権回収会社」という文字が一切確認できなければ、違法になりますので取りあう必要はありません。スマホやパソコンのメールに送りつけられる請求書についても同様です。
国民生活センターによると携帯のショートメッセージに送りつけられてきたケースもあるんだそうですが、社名がないメールもすべて架空請求と考えて、まず間違いありません。
また、SMSなどの電子メールの場合、連絡先が明記されていることもあります。電話番号検索@迷惑電話チェックなどの口コミサイトを利用して電話番号から架空請求業者かどうか調べる方法もできます。
ただし、調べる際には絶対にリダイヤルしないように注意してください。
そもそも民間企業が行える業務は限られている
債権回収業務が民間企業でも扱えるようになったとはいえ、その範囲には限りがあります。ここで重要なのが、
出会い系やアダルトサイトに関する債権回収は民間業者では扱うこはできない
ということです。
最近では、出会い系サイトの料金や架空請求の料金を請求してくる債権回収会社の話も聞きます。債権回収会社は、このような債権回収は許されていません。
出典:保証・連帯保証のトラブルを解決するならこの一冊 自由国民社 p163
民間企業が取り扱える業務は、主に金融機関や銀行、貸金業者のみに限られているのが現状です。
「取立て」は刑事告訴として扱える
取立てには来ないにしても、電話による恐喝や脅しなどの被害は報告されていることから、万が一悪質な取り立て被害に遭遇したら、警察か業者を監督する行政当局へ連絡するようにしてください。
とくに、暴力的な取立てに関しては刑事告訴として扱えるため、警察に相談すれば対応してくれるはずです。
脅迫や暴行があれば、それは刑法によって罰せられる刑事犯罪なのですから、状況によっては刑事告訴も考えていいのです。仮に警察が「民事不介入」という言葉を使って訴えを取り上げないとしたら間違っています。
出典:保証・連帯保証のトラブルを解決するならこの一冊 自由国民社 p160
たとえば、常識的に不適切な時間帯(午後8時以降~午前9時まで)に債務者の家への訪問や電話・FAXを送ること、また、正当な理由もなく勤務先や自宅を訪問することなどは禁止されています。違反した場合、刑事罰が科されます。
身に覚えのない架空請求への対応まとめ
まず、請求書に記載されている社名などがから、法務省のホームページと照らし合わせて正規の請求書かどうか確認する。
架空請求の場合であれば、そのまま無視するか、不安であれば消費生活センターに相談してアドバイスをもらえば問題ありません。
確認方法は意外と簡単ですから、正しい情報を知っていれば何も怖がることはありません。
最後に、届いた請求書が正規のものでしたら、速やかに払うようにしてください。