ジャンプギガVOL.2 9月号の特集で実現した岸本斉史×冨樫義博対談『クリエイティブの秘訣お答えしますスペシャル』。
この対談が実現したのが2016年の6月中旬とのこと。つまりは暗黒大陸編が再開されたころに行われたことになります。
7月4日発売の少年ジャンプをもって休載に入っているので、ヒソカvsクロロの対決を描いている中でのロングインタビュー。やっぱり描きだめてたんだなw
ただ、この対談では暗黒大陸編についての近々のネタに触れているので、読みごたえは十分にありました。
暗黒大陸編のテーマは「大人数」
選挙編から登場人物がやたら多くなり、暗黒大陸編ではカキン帝国の王子たちに加えて十二支ん率いるハンター協会、そしてビヨンド率いる一団(協専)などなど。
ストーリーもハンター協会、クロロ戦、王位継承争いといろいろ展開していたので、考えるだけでも大変なのは誰もが察するところ。でも、明らかに大変に陥ることが分かっていても進んでしまうのが冨樫という漫画家。
だから今回のシリーズ(暗黒大陸編)はシンプルに、ものすごく人数を増やしたらどうなるだろうっていうのを、とにかく極端にやってみた。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
「話ですごい人数を出した」っていう人は、尾田先生もそうだけど、今までいるんですよね。それを意識しながらあえてやって、破綻しなかったらおもしろいかなと。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
破綻しないようにいろいろアイディアを練っているうちに、気づけば1年以上ネームを考えていたのでしょうか。ちなみに、冨樫先生はネットでの考察記事もチェックしているようで、矛盾を突っ込まれるのが怖いんだそうですw
H×Hの世界観
この対談のテーマは「創作」。冨樫先生もH×Hの創作過程を例にしていろいろ話しています。たとえば、単行本1巻のこのコマ

出典:HUNTER×HUNTER1 冨樫義博
H×Hの世界観はファンタジー色が強いですが、だからといって現実とのリンクは忘れてはいけない。リアルでも馴染みのある釣竿があり、ポストがあり、ケータイ(スマホ)がある。

出典:HUNTER×HUNTER10 冨樫義博
↑当時一番人気だったカブトムシ型携帯電話「ビートル07型」。現在はスマホに代わっている。
読者がその世界観に入りやすいようにガッチガチのファンタジーで固めるよりも、現実とリンクさせたほうが「共感」を与えストーリーに入り込ませやすくしているといいます。
ファンタジー世界を作るにしても、自分が過ごしてきた、何歳ぐらいの世界をもとにするかっていう感じで、どこが現実とリンクさせておく。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
「ハンター」を始めたときっていうのは、実は自分の小~中学校時代をベースに描いていたんですが、連載を続けているうち今の自分とリンクしていって。携帯出したりとか、次はスマホを出したりとか。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
キャラをあえて窮地に追い込むのが冨樫スタイルw
読者人気の高いキャラでも、惜しげもなく窮地に追い込ませて、あわよくばそのままフェードアウト。先が読めない臨場感が中毒になる作品がH×Hの魅力。といいますか冨樫作品の魅力。
基本的には僕は作ったものを、どんどん壊していきたいんですよ。だからなるべく、キャラクターの性格にそぐわないシチュエーションに置いて、そいつがどう行動するか、みたいなことを試してみたくなります。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
こわもてゴドーさんも冨樫の犠牲になった1人。ゾルディック家でゴンにコインゲームしてから好きなキャラだったので当時はかなりショックだった。のちに再登場するも、実はキリコが変身してたなんてオチも付いてました。

出典:HUNTER×HUNTER31 冨樫義博
↑答えはお死枚
主人公も特別扱いしない。キメラアント編でのゴンは、まさかの「ゴンさん」となりネフェルピトーをミンチにしてなんとか勝利。
その後ナニカによって一命を取りとめるも未だに念は使えず、暗黒大陸では登場の兆しもなし!斬新ではあるし誰も先は読めないw
そして、もう1人!ヒソカ!!

出典:週刊少年シャンプ2016年28号
ただ、ヒソカの場合はいくら冨樫先生でも殺したくはなかったのかなぁと、あんな魅力的なキャラはそうそう創れませんからね。
この対談でも、ヒソカの蘇生について触れていました。
最近のストーリーで、一応ヒソカが1度は負ける形になって、そして生き返るんですけど。こういうやり方をしたら話がまとまるんじゃね?というところの発想が、ゴムとガムだとやっぱ出来やすいんですねー。いかに自分の理論で説得力を出せるかが大事なので。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
説得力を出せるとありますが、当時ネットでは納得できない読者もちらほらいたようなww
H×Hの今後
この対談で気になったのが、H×Hの今後の展開というかストーリーに一切触れていないところ。まさか、幽白のときみたく編集者に無理やり描かされていて適当な終わり方にするんじゃないよな。
浦飯幽助が人間界に戻ってきたときの悲惨さは酷かった。高校へは進学せずに屋台ラーメンの雇われ店長になっちゃってましたからねww
ただ、続くならまだしも、このまま打ち切りってことになるのでは??と思えるような話をしていたのが気になるんですよね。なんたってまだH×H連載中なのに次回作について話しちゃってるので。
えーどのくらい語ったらいいのかわからないけど、ボクめっちゃくちゃあるんですよね、描きたいやつ。だってこんなにインターバルを挟みながら「ハンター」描くとは想定していなかったから。
出典:ジャンプギガVOL.2 9月号
冨樫の中ではH×Hはもう描きつくした過去の作品なのか?
次回作の構想については具体的に決まっているらしく、ジャンルはカードバトルなんだそうです。H×HのGI編で一度描いていますが、今度はもっと本格的に描きたいとのこと。
幽白のように「しばらく描きたくない病」に陥っていないのは幸い。ロングインタビューもできるくらい腰痛もよくなったようですし健康面も問題ないみたい、なら、なぜ休載した!冨樫!とツッコミたくはなるが、そこは我慢。
ちなみに選挙編あたりからアシスタントにある程度任せられるようになったんだとか、新人か!!
おわり