単行本7巻の「あとがき」でもちょこっと書いていましたが、今回は冒険ストーリーはお休みで、オラリオの住民たちの日常をつづるオムニバス形式。
しかも、収録されているテーマは「恋愛」。それぞれ主役には、ヘスティア・ファミリアのメンバーだけでなく、酒場『豊饒の女主人』のシル(ベルにいつもお弁当をあげていた女の子)や、ロキ・ファミリア隊長のフィンも登場してきます。
さらに、アニメでも気になっていたシルのベルに対する想いや、アニメ一話にしてベルから「大好き」と告白されたエイナさんとのデート回があったりと、かなり充実した内容になってます。
ラノベの性なのか、ベルくんのハーレム状態の定番さが、少しばかり鼻につきますが、今作でもダンまちの謎がまた一つ明らかになりまして、読んでみる価値は十分にあります!
リリのお見合い
8巻でついに、ヘスティアが本人にさえ隠していたあのスキルがファミリアの全員に明らかにされてしまいます。
これまでステイタスの更新の度に、ひた隠していた「憧憬一途(リアリス・フレーゼ)」。レアスキルなため他のファミリアに知られることを警戒したヘスティア。
しかし、本心はアイズへの嫉妬が大きい。
そもそも、このスキルが目覚めたきっかけはアイズへの憧れでしたので、ベルに恋こがれているリリにとっても、かなりのショックだったはずです。
ベルの好きな人を知ってしまったリリですが、さらなる追い討ちにあってしまいます。以前ダンジョンでミノタウロスと遭遇したとき助けてくれたロキファミリの隊長・フィンが、一目見たリリを気に入ってしまい、縁談の話が持ち上がるんです。
好きな人からのお見合いの話・・・アイズの件でただでさえヘコんでいるリリにとって、縁談ですから、二人の関係というか、リリの心の整理が追いつかないのは不思議ではなないですよね。
リリはきつく唇を結んで、うつむいてしまう。
(リリは、やっぱり、ベル様にとって・・・・・)
ベルから縁談を持ちかけられたことが、胸の中を一層かき回す。彼ではない別の誰かとの縁談を、彼から勧められてしまったことが、心の奥に歪(いびつ)な爪を突き立てくる。
出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8 大森 藤ノ
まだまだ青いベル。ステイタスの急激な成長とは裏腹に、精神面での成長がほとんど見られないけど、このアンバランスさはウブすぎるベルくんらしい。
ヴェルフの告白
8巻で描かれているテーマは、ズバリ「恋」。
恋愛はなにもオラリオに住んでいる住民ばかりではありません。力を抑えているとはいえ神様に恋心を抱いてしまう人間もいるんです。
ただ、超越存在の神様が人格者とは限りません。ヘスティアやヘルメスを見れば明らかように、どちらかといえば人間よりも節操がない神様が多かったりします。
日本最古の神話である古事記に登場する神様も、以外とどうしようもない奴(神様)がいて、たとえばヤマタノオロチを倒したスサノウノ命(ミコト)はかなりのワガママで、その上マザコンときているろくでもない人物として登場しているんです。
ダンまちが古事記を参考にしたのかどうか知らないけど、日本神話的に考えると、意外とすんなり受け入れられる設定だったりします。
ダンまちの話に戻って、今回、ヴェルフとヘファイスト神との恋話がぐっときました。ヘファイストは鍛冶の神として冒険者の武器や装備品を作っているファミリアで、黒い眼帯をいている神様です。
ヘスティアとは神友(しんゆう)の間柄なので、アニメでもしばしば登場してきました。
ヴェルフは元はヘファイストファミリに所属していたのも、鍛冶の神の元で腕を磨くためだとばかり思っていたのですが、いやいや、それだけでなくこんな邪(よこしま)な想いもあったとは・・・。
「ならっ、貴方が認める武具を作れたなら、自分と付き合ってください!!」
そう言ってしまった。胸を揺らす鼓動の音を心底煩わしく思いながら、ヴェルフは羞恥を堪(こら)え、目の前のヘファイストを見つめる。
出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8 大森 藤ノ
ヴェルフの渾身の告白、ついに心に熱く想っていた感情を言葉にしてしまうヴェルフ。恋は盲目、愛は人間と神との不可避な境界線をも乗り越えてしまうようです。
後日、この告白を受けたヘファイストが回想しているリアクションが乙女全開で、異様にかわいかった。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8 大森 藤ノ
「それでね、ヴェルフがね、ヴェルフがね?」
とある武具店の執務室。ご機嫌な女神の声音が弾むように響いていた。
「もう七度も聞いたぞ、主神様よ・・・」
出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8 大森 藤ノ
まさに相思相愛。神と人間の禁断?の愛がはじまるのかもしれない。それにしても、こんな表情、アニメでも見たことないよ。
シルの正体
ダンまち冒頭から気になっていたシルの存在がこの巻で明らかになってきます。この「事実」を知ってから、今までのストーリーが鮮明に浮き上がってきたのはうれしかった!
シルは豊饒の女主人で働くウエイトレス、ベルがダンジョンに行くとき、必ずお弁当を渡していた女の子。
お弁当を作るくらいですから、ベルくんに少なからず好意を抱いていると考えるのが当然の筋道ですが、このシルという人物、フレイヤ・ファミリアとのつながりがあるようなんです。
「ふふ、貴方が助けれくれて、娘(シル)も感謝していると思うわよ?」
「・・・・・」
「娘(シル)は笑っていなかった?」
フレイヤの言葉に、アレンは口を閉ざし黙りこくる。
出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8 大森 藤ノ
どうやらシルはただの酒場のウエイトレスではないようなんです!
しかも、フレイヤが言った「娘」というセリフからして、どんなつながりがあるのやら・・・そういえば、ベルが何かに巻き込まれるときって、必ずシルがかかわっていたような。
ベルが新しいスキル(ファイアボルト)を覚えたのも、シルが渡した魔道書がきっかけでしたし、ガネーシャファミリア主催の怪物祭のときも、シルの財布を届けるために行ったときにモンスターに襲われたわけで、しかも、このとき裏で糸を引いていたのがフレイヤでしたよね。
フレイヤとシルがなんらかのつながりがあることが判明したことで、いろいろとストーリーがつながって見えてきませんか?
も・し・か・し・て、ベルに近づいたのは恋心以外の理由があるとか?たとえばフレイヤの命令で??
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ベルに拒絶されフレイヤ激オコ!ベルを盗りに動く! | ||
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