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映画「ズートピア」考察 ズートピアはアメリカの縮図!?

2016年に公開されたディズニー映画「ズートピア」。和名では桃源郷とか、理想郷と訳される「ユートピア」に動物園の意味の「zoo(ズー)」を合わせた造語。

肉食動物と草食動物が共に暮らす都市ズートピア、けどよくよく観ていくとアメリカ人にしか分からない文化や小ネタもあり、今作は自国よりな作品という印象を受けた。

ズートピアとは、まさにアメリカ合衆国の縮図そのものではないかと思うくらい。そこで、ディズニー映画「ズートピア」から受け取ったテーマ、そして小ネタ集などを紹介していこうと思います。

ズートピアのあらすじストーリー

田舎町バニーバロウに住む女の子・ジュディは幼い頃からウサギ初の警察官を夢みていた。

周りから否定されても諦めずに、遂に警察学校を首席で卒業し憧れの大都市・ズートピアで警察官の職に就くことになる!

しかし現実は残酷、、、犯人を追いつめ!捕まえる!そんな憧れの警察官とは程遠く、駐車違反の取り締まる雑用業務の毎日。

もっと警察官らしい仕事がしたいっ!!

と思いつつも、ボゴ署長からは相手にされずにいた。そんなある日、駐車違反の取り締まり中に出会ったのがキツネのニック。彼との出会いがきっかけでズートピアで起こっている失踪事件の犯人捜しをすることになったジュディとニック。

私が望んでいたのはこういう仕事よ!!

俄然やる気になるジュディだが、彼女たちに待ち受けていたものとは・・・といったのがざっくりとしたあらすじ。失踪事件の犯人を捜すサスペンス展開でストーリーは進んでいきますが、そこには大人でも楽しめるさまざまなテーマを投げかけています。

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主人公はキャリアウーマン

女性が強く生きる姿を描いているのが「ズートピア」の特徴と言えます。警察官というと「男性」というイメージは誰にもあると思いますが、そこにあえてジュディという女性ウサギを選んだわけですからね。

ここで描きたかったテーマの一つとしては「女性の社会進出」といったところでしょうか。

そもそもなぜ主人公をウサギにしたのかを考えると気づくことがあります。ウサギのイメージは臆病、寂しがり屋、ウサギを1人にすると死んでしまうなんて都市伝説があるくらいですからね。

ウサギ=臆病という固定イメージがありますが、「ズートピア」で描かれるジュディは決して臆病な女性ではない

挫折するシーンも確かにある、でも、それは警察官から逃げたというよりも、自分のせいで肉食動物たちが迫害されていることに責任を感じたための行為でした。

なによりジュディの芯の強さはしっかりと描かれていました。

そして、もう一つ忘れてはいけないのが、ウサギは女性の象徴でもあること。ウサギは多産、つまり出産のイメージから女性を表しています。

ということは、ジュディは力強く生きる女性の象徴として描かれているとも指摘できます。アナ雪にも言えますが、「強い女性」をテーマに描いているように思えます。

寓話としてのズートピア

ジュディ、ウサギ、強い女性の象徴と「ズートビア」に登場する動物たちは「何らかの比喩、あるいは象徴」として置き換えて観ていくと、また違った面白さが発見できるはずです。

これを寓話といいます。

ウサギとカメ、かちかち山、ライオンとネズミ、さるかに合戦などなど、人間社会の縮図を動物たちに演じさせることによって、諭す、あるいは問題提起を投げかける手法。

そこで「ズートピア」に登場した動物たちからどんな寓話が潜んでいるのか、好き勝手にw見ていくことにしましょう!

キツネのニック

キツネのニック、ジュディと行動をともにする動物。この世界ではキツネは忌み嫌われ、強い表現を使えば一種の「迫害」を受けていました。

キツネのイメージは狡賢い、人を騙す、お伽噺に登場する悪者はきまってキツネ、イメージしやすいですよね。

ズートピアでは、各種族に適応した環境で暮らせるよう12のエリアに分かれていますが、1つ気になったのが「キツネだけが住むエリア」が存在していること。

ズートピア
出典:(C)2016 Disney|dTV

アイスクリーム店でニックにアイスキャンディーを売ること拒否したアフリカゾウの男性(ジェリー・ジャンボウ・ジュニア)のセリフの中で「キツネの街」と言っていました。

嫌われ者のキツネはほかの動物から煙たがられ、キツネたちが住む町に追いやられてしまっているのでしょうか。

嫌なものにはフタをする、日本にも同じように胸クソ悪い歴史がありますが、偏見や差別問題の象徴としてニックは描かれていました。

偏見というククリで言えば、ジュディにも言えます。警察官たるもの大きく強くあるべきという固定観念を自らの力で打ち破っていったのがジュディでした。

偏見や差別はあるけど、それめげずに声を上げ努力し続ける、成功した者には惜しみない勝算が与えられる、なんともアメリカらしい。

ヒツジのベルウェザー副市長

日々業務に勤しんでいるベルウェザー副市長、しかしその実態はライオンハート市長の秘書として雑務をこなす日々。

羊の騙されやすい、臆病、といったイメージにぴったりなキャラクターでしたが、ストーリーが進むにつれて悪い一面も見せはじめていきました。

弱々しいイメージを持ちやすいヒツジですが、「羊の皮をかぶったオオカミ」といった表現もあり、今回のキャラクターはまさに羊の皮を被った悪者でした。

またヒツジは1人では弱々しいですが、群れをなすことで自分たちを守る習性があるように、ベルウェザーは肉食動物を排除して草食動物だけの世界を創ろうとしました。

ラストでは1人ぽつんと座っている姿が映っていましたが、いくら悪知恵がっても弱いヒツジは1人では何もできません。

ナマケモノのフラッシュ

運転免許センターに勤めているナマケモノのフラッシュ。実は彼の登場シーンはアメリカ人なら誰もが爆笑する笑いポイントだったんです。

ズートピア
出典:(C)2016 Disney|dTV

架空の都市ズートピアでありながら、運転免許センターの看板に書いてあった「DMV」という頭文字、実はこれは実在する団体なんですw

DMVとは、「department of motor vehicles」の略で日本でいう運転免許書の書き換えや更新をする場所なんですが、サービスがヒドすぎることでも有名な機関なんですw

アメリカ人なら誰もが知っているあるあるネタといったところ。

動きが遅いナマケモノを職員にしているのは、サービスの質が悪いDMVをブラックユーモアたっぶりに皮肉っているためwww

しかもご丁寧にフラッシュの机にあったマグカップには「you want it when ? 」と書かれていて、ニュアンとしては「そんなに早く終わるか!バーカ!」くらいの思いっきり喧嘩を売っている表現。

接客にあるまじき行為!!

さらにラストのオチにもフラッシュを使っていることからしても、アメリカ人は相当DMVのサービスに対して日ごろから不満・鬱憤が溜まっているようですwww

今作最大のオチといったところ。

こんな風に動物たちが持っているイメージが、それぞれのキャラクターにとってもリンクしているわけですが、臆病やウサギのイメージを壊したジュディ、狡賢い、人を騙すキツネのイメージを壊したニックように、今作のテーマには「変わること、変えられること」というメッセージがありました。

ズートピアが伝えるもの

草食動物でも、体が小さくても、嫌われ者でも、女性でも、男性でも、今の現状が嫌なら声をあげて行動をする、そうすれば自分が変わり、世界も変わっていく。

多種多様な動物が共存しているズートピアでは、黙っていても誰も何もしてくれない。自分から行動することで、はじめて変化が現れる。そんなメッセージがこの映画にはありました。アメリカらしい発想です。そしてルーザー(負け犬)には目もくれない(残酷)。

ただ、1つ気づいてしまったことがある。

それはタイトルにもなっているこの都市の名前です。冒頭でも話した通り、ズートピアはユートピアをもじったタイトルなわけです。

理想郷、桃源郷、、、つまりは現実にはありえない都市、まさか壮大な自虐ネタという名のブラックユーモアをディズニーは狙っていたりしまいかwww

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