エヴァ

シン・エヴァンゲリオン劇場版のストーリーとラストを考察

シン・エヴァンゲリオン考察

新劇場版四部作のラストにあたる「:||」(以下、シンエヴァ)の公開により終劇を迎えます。そして、エヴァらしく最後まで難解でしたw

中の人
難解というか相変わらずの情報過多+説明不足仕様でした

ストーリの構成を前半の農業パートと後半のインパクト大戦(呼称は適当)で分けるなら、後半パートはとりわけ一回観ただけでは分からない。

少なくとも私はそうだったので、私と同じ人に向けてラストを考察してみました。ちなみに、この記事を書く上で三回観ました。

前半パート(農業・同級生との再会編)

アニメ版や旧劇場版との一番の違いは、碇シンジがニアサード・インパクトから14年もの年月が経過している点にあります。

今までの作品では、主人公のシンジ君は14歳の思春期まっさかりの内気な少年が、成長するという物語でした。

ただ、シンエヴァでは14年間凍結されていたことで、シンジ君がシンジ君ではない、つまり28歳のシンジさんという一面もありました。

中の人
シンジ君は「破」において人間を捨ててはいますが・・・

そう考えると、前半パードの穏やかな描写は、シンジの空白の14年を埋めるための時間という認識で観ていました。

少なくとも、鈴原トウジや相田ケンスケ、委員長といった中学時代の同級生との共同生活の中で、心の回復と成長はしていきます。

ウジウジするシンジの姿は前半の一部だけで、それ以降は、責任を果たすために積極的な行動していく姿は、これまでにはない姿でした。

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後半パート(インパクト大戦編)

成長したシンジを描く

後半パートでは、シンジが自分の意志でヴィレに戻る決意をし、世界を再構成するために行動していくことになります。

シンジが成長した姿は、後半パートにおいても描かれます。たとえば、アスカとの会話で、なぜあのとき殴りかかったのか、その理由を聞きます。

アスカとシンジの会話
出典:ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q ©カラー|Amazon.co.jp

これは「Q」でのシーン。14年振りにシンジと再会したアスカは、怒りを抑えられず殴りかかりますが、シンジはアスカの行動を理解できずにいた。

ですが、シンエヴァではアスカが殴りかかった理由を理解し答えます。そして、アスカもシンジの答えに納得していました。

アスカが殴りかかった理由
  1. アスカが使徒に侵食された時
  2. シンジはなにも決断しなかった
  3. 責任を負うことから逃げた

こうしたシンジの態度から、サードインパクトの落とし前をつけようとしていること、目を背けず立ち向かおうとしていることが伺えます。

中の人
前半パートからのシンジの成長がのちに父ゲンドウとの戦いにおいて重要な意味を持っていきました

また、アスカと一緒にいたマリも、シンジの匂いの変化を指摘していて、シンジが変わったことを強調させます。

マイナス宇宙(裏宇宙)の登場

旧劇場版とは違い、シンジ君の殻にこもる描写は後半シーンでは全く描かれません。そして、物語は父親と息子の直接対決へと進んでいきます。

このとき登場したのが、マイナス宇宙(裏宇宙)というよく分らない概念です。劇中にて説明してはいたものの、まぁ~分らない。

ただ、シンエヴァのラストを理解する上で、このマイナス宇宙はすごく重要のため、ここでは、カンタンに説明していこうと思います。

マイナス宇宙とはなんやねん

マイナス宇宙

マイナス宇宙とは、運命を書き換えることができるゴルゴダオブジェクトがある世界であり、碇ゲンドウが目指した最終目的地のことです。

マイナス宇宙へ行くには地獄の門を通る必要があります。ミサトたちがいる現実世界と、マイナス宇宙をつないているのが地獄の門です。

中の人
地獄の門を通らなければマイナス宇宙にはいけない

現実世界と虚構世界

では、マイナス宇宙とはなにか。

マイナス宇宙とはイマジナリー(虚構)の世界。現実世界をプラスとするなら、そのマイナス、現実ではない=虚構の世界がマイナス宇宙。

マイナス宇宙とは
  • 地獄の門からいける世界
  • 虚構の世界
  • ゴルゴダオブジェクトがある

なぜシンジはマイナス宇宙に行けたのか

マイナス宇宙には人間がいくことはできません。でも、シンジは普通に行けてましたよね。これはシンジが人間ではないからです。

「破」において、綾波レイを助けるためにエヴァ初号機が覚醒しましたが、このとき、シンジは人間を捨ててしまったのを覚えているでしょうか。

中の人
シンジ君は神に近しい存在へと昇華しました

また、シンジが人間ではない描写として、たとえば「Q」のラストにて、高いL結界密度内を歩いているシンジの姿が描かれていました。

L結界密度
出典:ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q ©カラー|Amazon.co.jp

L結界密度とは、人間が侵入できない不可侵領域のことで、この場所に人間が立ち入ると、肉体を維持できずLCL化します。

ですが、高いL結界密度内においても肉体を保てていた、これは、シンジがもはや人間ではないことを意味しています。

中の人
シンエヴァでは役目を終えた冬月が最後LCL化したのは、あの場所一帯のL結界密度が高かったからでした

ちなみに、シンジはもちろん、レイもアスカもマリも全員人間ではないのは、L結界密度が高い場所でも平気なことから分かります。

リアリティとイマジナリー

シンジvsゲンドウ

シンジvsゲンドウ

碇ゲンドウが望むのは現実世界と虚構世界を交じり合わせることによる、人類のコモディティ化(同一化、均一化)です。

一方シンジが望むのは現実世界です。虚構世界を必要とするゲンドウと、不要とするシンジ、この二人の対決がマイナス宇宙で描かれます。

虚構世界
出典:シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| ©カラー|Amazon.co.jp

二人の戦いでは、ところどころでスタジオのセットが描かれますが、これは、マイナス宇宙=虚構世界であることを伝えるためです。

スタジオのセットは、本物と同じ風景をスタジオ内に作ること。シンエヴァでは虚構世界のメタファーとして描かれていました。

マイナス宇宙を細かく理解する必要はなく、虚構世界がマイナス世界なんだと!という認識で、十分シンエヴァは理解できます。

虚構世界の終焉

そして、ミサトらにより新たな槍が届けられたことで、ゲンドウによるインパクトは頓挫。息子のシンジにトリガーが移った。

中の人
このときカヲルは「リアリティの中ですでに立ち直っていた」と言ってたけど、それを描いたのが前半パートでした

虚構世界の終わり
出典:シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| ©カラー|Amazon.co.jp

スタジオのセットが片づけられていく場面も、父親の落とし前をシンジがつけていく演出です。虚構世界を終わらせ、新しい世界の再構築。

中の人
綾波レイは「ネオン・ジェネシス」と言っていました

ちなみに、マイナス宇宙に登場していたレイは新劇場版「破」において、初号機内に取り込まれてしまったレイです。

14年の月日を経てシンジと再会。髪の毛が長かったのは、複製体でも髪だけは伸びるから。アスカが髪を切るシーンありましたよね。

世界の再構築とユイ

ゲンドウがはじめたアディショナル・インパクトを止めるために槍を突き刺そうとしたとき、彼の中にいたユイが代わりにインパクトを阻止。

このとき、ユイの後ろにはゲンドウの姿があり、ユイとの再会を果たす。インパクトは阻止され、シンジが世界の再構築を成し遂げた。

シン・エヴァラストシーンを考察

シン・エヴァラスト
出典:シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| ©カラー|Amazon.co.jp

シン・エヴァのラストシーンでは、シンジとマリがアニメから実写に切り替わり、エンディングロールが流れます。

中の人
どうして実写エンド?

シンジが選んだのはリアリティ(現実世界)。世界の再構築を表現するために、リアリティ、つまり実写エンディングになったといえそうです。

DSSチョーカーと似たチョーカーが描かれていたけど、世界を再構成した際の揺らぎ(遺物)として描かれていたのかなと。

チョーカーを外すことで、揺らぎは消え、シンジが望んだ現実世界の中で人類は生きていく、世界が再構成された一つの象徴として表現していました。

マリの正体とヒロイン的役割

最後にマリに触れます。マリは漫画版にも登場してりるキャラで、冬月のかつての教え子であり、ユイと同じ大学の研究室に所属していた学生。

マリの正体
出典:シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| ©カラー|Amazon.co.jp

シンエヴァでもこの設定は踏襲されていたように思います。冬月が持っていた写真には、マリと思しき女性が映っていましたからね。

また、マリの本名は「真希波・マリ・イラストリアス」であり、「式波」や「綾波」と同じく複製体シリーズの可能性が高い。

中の人
少なくともマリは人間ではありませんでした

シン・エヴァのラスト考察まとめ

シン・エヴァンゲリオン考察

難解(というか説明不足)な用語や場面、登場人物のセリフなど、隅々まで観ても分かりようもないところは、相変わらずでしたねw

旧作と比べても、設定自体が微妙に異なるため、昔からのファンであればあるほど設定を混同してしまいワケわかめ状態になります。

たとえば、ネルフ最深部にいるのがリリスって設定も、アニメ版だとアダム(でのちにリリスと判明する)でしたよね。

さらに、新劇場版ではアダムという呼称はなく、アダムスと複数形となっており、複数体のアダムが存在している世界観になっています。

中の人
しかも第一使徒はカヲルくんという設定に!

新劇場版を深く理解したいなら新劇場版の四作品を観れば大丈夫。アニメ版や旧劇場版は観なくてもいいかなと思います。

よきラストでした

こうした設定の違いも整理しながら観る必要があることは注意した方がいいですね。その上で、新劇場版のラストはどうだったかといえば。

いいラストだったと思う。少なくとも理解できるラストでした。14年という歳月によって、シンジさんが大人的な対応をしてましたw

前半の農業や同級生との共同生活パートにたっぷり時間をとったのも正解だったし、後半へ向けて十分な助走になっていました。

シンエヴァのラストとは、マイナス宇宙(=虚構世界)で親子が対話しシンジが勝利、世界を再構築するというお話でした。

終劇

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