H×Hや幽遊白書、レベルEで知られる冨樫先生の連載デビュー作は、週刊ジャンプで1989年にスタートした『てんで性悪(しょうわる)キューピッド』から。
構成はお世辞にもスゴイとは言えませんが、エロ路線だったのが意外でした。分かりやすく言うと『To LOVEる -とらぶる-』系。
ただ、魔界をテーマにしているのは幽遊白書を彷彿させますし、冨樫らしいグロさもあったので最後まで読めました。とくにラストは惹きつけらた。
今でこそ天才っぷりを発揮している冨樫先生ですが、この作品からよくもまぁ集英社は彼の才能を見いだせたなと感心してしまう。
漫画家にとって編集者ってやっぱ大事なのかねと思った。
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冨樫、エロ路線を逝く
冨樫先生の初期作品がまさかこんな作風だったとは知りませんでした。
出典:てんで性悪(しょうわる)キューピッド上 冨樫義博
どことなく江川達也が描く女性とタッチが似ている。まじかるタルるートくんに登場した河合伊代菜(かわいいよな)みたいで、今読んでも古臭ささを感じない。
とにかくなかなかエロいのは間違いない。駆け出しの冨樫先生が描く裸を見たい人はチェックしてみて。
ちなみに、短編集『狼なんて怖くない!!』の中で、デビューから1年ほどは読者に受ける漫画とはなにかといろいろ悩んでいたことが書かれていますが、はじめの頃はエロ路線でいこうとしてたんでしょうか。
冨樫の性癖
エッチなラブコメ作品ですからか、そこはどうしても冨樫の性癖というものがイヤでも出てしまうw。
出典:てんで性悪(しょうわる)キューピッド上 冨樫義博
80-90年代というと、スカートめくりがエッチの主流ですかね。幼少期の孫悟空もブルマのスカートめくって、といいますが寝込みを狙ってパンツまで脱がしてましたが・・・。
てんで性悪キューピッドはスカートめくりもありますけど、こうしたちょっと作者の性癖を匂わせる(文字通り)描写もあります。
冨樫の匂いフェチ疑惑浮上。女の子の下着をかぐシーンは描かれることが多いですが、袋で匂いを密閉するという発想は玄人です。普段から考えていないとねぇ、出てきませんよ。
幽遊白書と重ねて読む
てんで性悪(しょうわる)キューピッドの次に連載した作品が幽遊白書ということもあってか、似たような設定を探すこともできます。
気になった箇所をいくつか紹介。
出典:てんで性悪(しょうわる)キューピッド上 冨樫義博
人間と悪魔のラブコメを描いているので、ヒロインの悪魔・まりあの住む世界が「悪魔界」となっています。幽遊白書では人間界と魔界が舞台でしたから、どこか重ねてしまいます。
さらに、
出典:てんで性悪(しょうわる)キューピッド上 冨樫義博
まりあが人間界に居すぎたことが原因で蟲(むし)に落ちてしまんですが、蟲どもに食われるグロい描写はさすが冨樫先生。メインヒロインと言えども容赦がないのはお約束。
でもなんだかんだで元通り、ゴンさんのようにね。まぁ、これはH×Hの話ですが、幽遊白書で言えば最終回の飛影と躯(むくろ)をどことなく思い出すシーン。
出典:てんで性悪(しょうわる)キューピッド上 冨樫義博
さいごはコチラ。このタバコの吸い方といい目のつり具合といい、桑原静流(くわばらしずる)と似すぎです。というか同じじゃね?
冨樫義博の原点を知る
この作品をきっかけにしてあのスンバらしい幽遊白書が生み出せたのかなと、その片鱗を読み解くこともできなくはない・・・と思う。
出典:てんで性悪(しょうわる)キューピッド上 冨樫義博
ここ一番の見せ場で絵のタッチをリアルに描く手法って、この頃から冨樫先生の十八番だったんだなと思った一コマ。こういうのを味わいたい人には読む価値ありです。