漫画「ノ・ゾ・キ・ア・ナ」(以下、ノゾキアナ)は小学館が運営する「モバMAN」にて2009年から12年まで連載。作者は本名ワコウさん。
単行本は全13巻にて完結。R指定はないものの、エロを究極にまで突きつめた作品で、「穴」という男の本能をくすぐるテーマを描きますwww
読み終わって思うのは、恋愛漫画も悪くないナという感想でした。ジャンルを「恋愛」にすべきか問題は置いといて、ただのエロ漫画ではないのは確か。
個人的には恋愛ジャンルとして扱ったとしても、まさに名作。そんな漫画「ノゾキアナ」のストーリーを振り返ります!
[toc]
ストーリー・あらすじ
専門学校・須賀デザイン進学のために上京してきた城戸龍彦(きどたつひこ)、のちのラッキースケベに遭遇する幸運の持ち主にして主人公。
引越してしばらくしたある日、壁に「穴」が開いているのを見つけた城戸。穴を除くと女の子が一人エッチをしている姿を見てしまう。
穴について聞くためにお隣さんへと向かうのだが、部屋から出てきた生野えみると名乗る女の子は、突然「自分見せ合いっこしませんか」と変態的要求をされるのであった・・・
恋愛はいつもラッキースケベ
恋愛はいつもラッキースケベからはじまるものです。食パンを食べながら急いて学校へ向かう女子高生、角を曲がるときまってイケメン男子学生にぶつかるものです。
ラッキースケベとは世の常なのです!
城戸もまた、ラッキースケベな展開によって、女の子とムフムフな関係になっていきます。ただ序盤では、ヒロインのえみるとはまだま微妙な関係、恋人同士にはならないのだ。
琴引友里(ことぶきゆり)の場合
出典:ノゾキアナ1 本名ワコウ 小学館
友里とは同じ専門学校の同級生、クラスの飲み会がきっかけで付き合うようになるのだが、このキョチチ女の子がかなりの肉食系。
飲み会の帰り、二人きりになったところで、城戸の部屋に行きたいというなんともラッキースケベな展開へ、そのながれで本当にスケベな行為に及んでしまう。
これがきっかけで付き合うことなり、交際は順調に続いてくと思いきや、友里が実は二股していたことが発覚してしまうのだ。
結局二人は別れてしまうことに。ただ、友里は完全な遊びとして城戸と付き合っていたわけではなかった。しだいに心が揺らいでいたのも確か。
出典:ノゾキアナ11 本名ワコウ 小学館
城戸に別れを言われたその日に、浮気相手とキッパリと別れ城戸のマンションまでやってきていた、なんてエピソードものちに明らかになりました。
けど、城戸が友里の浮気現場に遭遇するという修羅場を目撃してしまったことで、心が完全に折れてしまいどう転がっても復縁は難しかったとは思うけどね。
なんだかんだいい子なのは確かなのである(ユルいだけ)。
亘まどか(わたりまどか)の場合
出典:ノゾキアナ6 本名ワコウ 小学館
城戸が次に付き合ったのは同じ学校の後輩・亘まどか。ただ、まどかは四年生大学を卒業後に専門学校に入学したため年齢は22歳。城戸より年上のお姉さん彼女。
友里とは打ってかわり男性経験ゼロの恋愛にかなり奥手な女の子。経験達者とは言えないものの、チェリーを卒業した城戸のリードによって、少しずつ心も身体も広げていくw
城戸のとりえは優しさ。
まどかは城戸の優しさに包まれながら、付き合うことになってくのだが、まどかとも最終的には別れることに。理由は城戸が本当の気持ちに気づいてしまったから。
本当の気持ち・・・それはヒロイン・生野えみるとの関係であることは言うまでもない。
生野えみるという女の子
こんな風に漫画「ノゾキアナ」の主人公・城戸龍彦は、いろんな女の子と付き合い、そしていろんなエッチい経験をしていく。
ただ、普通の青年と違うのは、自分の部屋に「穴」があること。そして、えみるとの覗き合い生活を強制させられていること。
城戸は友里のときも、まどかのときも穴を通してエッチい時間を覗き、下半身を濡らしならが恍惚の笑みを浮かべながら何度も何度もイきまくる。
出典:ノゾキアナ1 本名ワコウ 小学館
覗き穴を通してしか愛せないという一種の性癖の持ち主であれば、それはただの企画モノ。「僕のお隣さんは痴女で同級生」なセクシータイトルが浮かぶわけ。
だけど、この漫画はそうじゃないんだよ!
えみるの覗きは自分を取り戻してくために必要な行為だったわけです。そして、覗き合いの相手は城戸以外はダメあり、城戸じゃなきゃダメなのです!
堀井の場合
たとえば堀井。堀井は、同じ専門学校に通う同級生であり、えみるを狙っていたイケメン学生。ただ、学校で見せる彼と本来の彼は違っていました。
出典:ノゾキアナ1 本名ワコウ 小学館
あたしが最もキライなタイプ(意味深)
えみるが異性に見ているのは容姿ではなく心。特に一番嫌いな男とは、素の自分を見せず嘘の仮面をつけている人間。堀井はまさにえみるが一番嫌いな人間でした。
このエピソードは1巻に収録されていますが、なぜ城戸じゃなきゃダメだったのか、そのすべてを物語るエピソードでありました。
読み終わって分かる傑作感!
この作品が単なるエッチい漫画ではないぞってことが、こうしたとこに現れています。恋愛漫画としても完成度の高い凄い作品だってことです。
高畑の場合
高畑もまたえみるに近づいた異性の一人でした。同じ専門学校の生徒で、えみるに告白をします。ただ、高畑も付き合うことなくフラれてしまいます。
高畑は堀井のように、裏があるキャラではなく、むしろ見た感じ性格はイイ奴ぽかった。ならなぜダメかといえば、えみるのアソコが濡れなかったからwww
出典:ノゾキアナ1 本名ワコウ 小学館
濡れている
えみると高畑はけっこうイイ感じというか、えみるが一方的に高畑を誘う形でマングリするのだが、えみるが濡れなかったことでフラれてしまう。
しかも、濡れていないことを城戸に確認させるというラッキースケベな展開に!さらに、城戸の手がほんの少し触れただけでえみるはヌレヌレに。
ホント裏山です。
えみるは城戸の中身が好きなだけでなく、その上、城戸にしか感じない身体になってしまったのだ。偶然アパートの壁に穴があいていたばかりに。
だが、この穴があったからこそ、えみるは助けられた!
えみるの心の変化
問題なのは、そこには「恋愛」があるのかという純粋な疑問です。序盤はそうでもあり、そうでもないと言わざるおえない。つまり、よく分からないのだ。
ただ、城戸との覗き合いという異質な関係ではあるものの、時間が過ぎていくにつれて城戸はもちろん、えみる自身も気づかないうちに心が変化していきました。
そして、穴から始まった関係がいつしか城戸のことが好きになっていきます。一番決定的だったのがこの場面。
出典:ノゾキアナ7 本名ワコウ 小学館
これは・・・嫉妬!!?
城戸を穴を通して覗いていく中で、次第に壁越しの関係に耐えられなくなるえみる。そして、まどかとマングリする城戸の姿を覗いたえみるの表情は、興奮どころか歪んでいた。
いつもあんなに堂々としていて、感情を表に出さないえみるが、はじめて苦虫を潰したような苦しい表情を城戸に見せます。
ここから修羅場へと突入していきます!
えみると城戸の覗き合いがまどかにバレてしまうという最悪の事態になり、えみるはこのことがきっかけで城戸の前から姿を消してしまいます。
えみるはこれ以上城戸を苦しめてくないと思ったのか。城戸の恋愛をこれ以上壊さないために黙って姿を消したのか。複雑です。
結末までのストーリー
えみるの辛い過去
ノゾキアナの結末は、いなくなったえみるを探す城戸の旅からはじまります。いままでの登場キャラに助けられながら、ついにえみるを探し当てます。
えみるが覗き合いなんて変態行為をしようと提案したのも、すべてこの旅の中で明らかになります。えみるが抱えていたトラウマとでもいうべき辛い過去。
出典:ノゾキアナ12 本名ワコウ 小学館
お兄ちゃんちゃんが私を覗いてた!!?
えみるの覗き合いは、高校時代に義兄・智也がえみるの部屋をこっそり覗いていたことがそもそものはじまりでした。
そのことを知ったえみるは兄と喧嘩になり家を飛び出しますが、追いかけてきた兄がトラックにひかれて死亡してしまう。
この黒歴史がえみるの心を閉ざしてしまったようです。兄がなぜ妹の部屋を覗いていた理由を考えるのは難しいですが、少なくとも兄はえみるを妹としてみていなかったのではないか。
えみるに恋心を抱いていた可能性もありそうです。
兄と妹
えみると智也は義理の兄弟、そんなこともあって智也は「本物以上に仲のいい兄妹になろう」というルールを決めていました。
えみるは義母から疎まれていたため家に居場所がなかったようです。智也はそんなえみるを守るため、本当の気持ちを隠して、義母の言うことを聞くいい兄を演じていたようです。
妹の部屋に穴をあけて覗きいていたのは、そのストレスを解消するためでした。えみるの純粋な笑顔を見たいがために覗いていたようです。そこには邪な気持ちはなかったみたい。
出典:ノゾキアナ12 本名ワコウ 小学館
兄の本性を垣間見たえみる
ただ、えみるが覗き穴を突き止めると、普段の優しい兄が鬼の形相になり急変、えみるはこのとき人間の二面性、表の裏の顔を知ってしまいます。
しかも今まで信じてきた兄だからこそ、心にかなりの負担を強いられてしまったえみる。人間不信に陥ってしまいました。
えみると城戸
えみるが城戸を覗き穴を通してしか愛せなかったのは、兄の二面性から人間不信に陥ったのが原因だったと言えます。さらに偶然にもアパートの壁には「穴」が開いていたことでえみるはあることに気づきます。
自分のアソコが濡れていることにwww
なんじゃそりゃという展開にも思えますが、学生時代編でのエピソードでえみるがはじめて一人エッチを覚えたのは、兄とフィアンセのセックスを覗き見たのがきっかけでした。
出典:ノゾキアナ12 本名ワコウ 小学館
ありのままの素の姿
このときえみるが思ったのは、セックスは人間のありのままの素の姿を現すものということ。人間不信に陥っていたえみるが、城戸のマングリ姿を見ることに固執したのは、人間の素の姿を穴で確かめたかったからなのかもしれません。
ただ、覗き穴からセックスをおかずにして一人エッチをする変態女の子ではないってことは確か。それは、えみる自身のセリフにもあります。
えみるは城戸じゃなきゃ濡れないし、イけない女の子なのです!
高畑や堀井のエピソードがしっかり伏線になっていたことが最後まで読むと分かりますよね。えみるははじめっから城戸じゃなきゃダメだったんです。
なぜ城戸でしか濡れないのか、そこんところは謎ではありますが、まさか、穴を通してみた一人マングリをしていた彼に一目ぼれしていたとでもいいのでしょうか。
それと、兄のセックスで濡れたってことは、えみるは兄のことを一人の男性として思っていたのではなかろうか、という意味深な考察もできたりするのである、まる(深くはツッコまない)。
ラストコマをどう考える?
専門学校を卒業するその日、再会したのも束の間、えみるは城戸の前から再度姿を消してしまう。兄のトラウマから時間が止まっていたえみるにとって、城戸との出会いでようやく過去との決別を果たしたはずなのだが。
専門学校での二年間、城戸は覗き合いをしながらも、友里やまどかといった女性たちと恋をして別れていきました。えみるが動けず立ち止まっている間に、城戸はどんどん前に進んでいった。
出典:ノゾキアナ13 本名ワコウ 小学館
一方でえみるは、卒業間近になってようやく兄の呪縛から解放され、前に進めることができるようになった。2年の時間を取り戻すため城戸とあえて別れることを決意したえみる。
えみるって女の子はホント意志の強い女性です。最終巻となる13巻のラストコマでは、再び再開を約束する城戸とえみるが描かれています。
城戸はえみると別れる前に「一年だけ待つ」と約束したのを、えみるはきっかり守ってのことでした。そして、その後の二人の行方はについては、普通に付き合ったんだと思います。
えみるは「自分見せ合いっこしませんか?」とからかっていましたが、そこには以前のえみるの姿とは明らかに違っておりました。
心の目で見れば分かりますwww
【終わりに】ノゾキアナの読み方
この作品はエロ要素がモリモリにありますが、一つだけ気を付けたいのは、エロばかりに目を向けるな!ということです。ノゾキアナとは、エロいけどエロくない作品なのです。
なんだか禅問答のような回答になってしまったが、要するに今作におけるエロはいやらしいエロではなく、愛を確かめるためのエロであるということ。
だからこそ、毎回ラッキースケベがあり、城戸と出会う女性がみな脱ぐのである。そこにはいやらしさだけでなく優しさや愛情も描かれているのである!
ちなみにですが、えみるは変態女だったか問題についてですが、兄とのトラウマによって一時的にな変体性を垣間見せていただけで、素のえみりはそれほどではないのではとは思ったりします。
とはいえ、エッチい性格であるのは確かだと思います(あってほしい)。ただ、一年後のえみるの顔は、普通の女の子に戻れたように見えました。
なら、エミルの顔はどんな顔をしていたのかといえば、それは本作で確認してくださいな。そんなわけで最高にエロにして最高に恋愛漫画でした。