マーレの戦士として壁内に潜入した幼き日のライナー・ブラウン(以下、ライナー)、しかし、エレンたちと生活を共にしていく中で、次第に自己を見失っていきます。
訓練生時の成績も高く優秀、周囲からは兄貴的存在として頼らせる存在、いわば、そこにはかっこいいライナーの姿がありました。
けど、本来のライナーは先頭に立ってみんなを引っ張っていくようなキャラではなかのではなかろうか。ここではライナーの過去を振り返りながら人物像に迫っていきます!
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ライナー・ブラウンの苦悩・精神考察
第104訓練兵団の中でも兄貴的な存在として頼られ、尊敬させるキャラとして描かれていたのがライナー。
訓練兵時代の成績はかなり優秀で、ミカサに次ぐ二番の成績で卒業、体格にも恵まれ仲間からの信頼も厚かった。
しかしその後、ライナーがマーレから送り込まれた「鎧の巨人」であることが明らかになり、エレンたちと戦うことになっていく。
ライナーの異変
エレンたちから頼られる存在として調査兵団内でうまく立ち回っていたようにも思えますが、彼の素性から共に生活していく中で、次第に精神が崩壊していきます。
たとえば、42話「戦士」において、ライナーはエレンに自ら正体をばらす場面が描かれます。しかも、なんの躊躇もなく当たり前のように話しています。
出典:出典:進撃の巨人10 諫山創 講談社
どうしたライナー!!?
あまりの自然さに、横にいたベルトルトが一瞬何を言っているのか理解できていない。そして、ようやく「何を言っているんだ」と不安な様子でライナーにツッコミをいれます。
ただ、それでもライナーは自分がなぜベルトルトにツッコまれているのか理解できていないようで、エレンに話し続けるという場面が続きます。
マーレの戦士としての「自分」と調査兵団としての「自分」、立場の違う二人の人格を演じているうちに、自分を見失い、まるで二重人格のように自己を保てなくなったライナー。
かなりホラーです。
この後、ようやく我に返ったライナーですが、「本当におかしくなっちまったのか?」と自分を制御できないライナーが描かれています。相当精神が追い込まれてます。
兵士と戦士
さらにライナーの心が壊れたしまったのが、エレンを連れ去り大木の上で休憩ししていた場面。46話「開口」でのライナーのセリフは完全にイっています。
ついさっきエレンを拉致ってきたばかりなのだが、なぜか調査兵団での昇格について語りだすライナー。自分の言動とセリフが全く一致していないのだ。
出典:出典:進撃の巨人11 諫山創 講談社
僕らは戦士なんだから・・・
ここでもベルトルトが不安げに制しています。ベルトルトはライナーの精神が完全おかしくなっていることに確信を持ります。
「僕らは兵士じゃないだろ戦士だろ」と。調査兵団(兵士)とマーレ戦士(戦士)とを混同して、どっちが本当の自分なのかさえ分からなくなってしまったライナー。
このときエレンと一緒に拉致られたユミルはライナーの状態について、罪の意識に耐え兼ねられず心の均衡を保つために、心が分裂したと発言しています。
ライナーの精神が壊れたキッカケ
ライナーの精神がおかしくなってしまった理由として、「罪の意識」を無意識に回避する方法として心が分裂してしまったと言えそうです。
そして、ライナーの精神が抉(えぐ)られたエピソードというものも描かれています。そのいずれもが、仲間の死が関係していました。
マルセルの死亡
まずは96話「希望の扉」に描かれていたライナー幼少期の話。鎧の戦士としてパラディ島にやってきたライナー少年の回想に、問題のシーンが描かれています。
出典:出典:進撃の巨人11 諫山創 講談社
ライナーたちは壁に到達する前に、無垢の巨人に襲われます。このとき、ライナーをかばって喰われてたのが、がマルセル。
顎の巨人(ポルコ)の兄です。
マルセルはリーダー役、頭を失ってしまったまま始祖奪還は難しいことから、一時は撤退を決断しますが、このとき頑なに作戦を続けようと演説したのがライナー。
自分のヘマが作戦中止の要因となれば、原因はすべてライナーが被ります。何が何でも始祖奪還作戦は成功しなきゃいけない、そのために自らマルセルの代わりにリーダーになることを宣言します。
ライナーは任務を無事に果たして英雄としてマーレに凱旋するという夢があったんですが、壁に到達する前にバキバキのバキにへし折られています。
ちなみに、「英雄になる」と心では思いながらも、動きは一番最初に逃げているところを見ると、この頃から言ってることと行動が分裂しているようにも見えるw
マルコの見殺し
もう一つは、第107期の同期のマルコの見殺し。ライナーとベルトルトの話を偶然にも聞いてしまったマルコは、口封じのためにライナーたちの手により殺されるという場面。
出典:進撃の巨人19 諫山創 講談社
マルコが巨人に喰われていく姿を目の当たりにしたライナーは、「なんでマルコが食われてる」と、自分が巨人に喰われるように仕向けたことを忘れたようなセリフを吐きます。
思えば、これがライナーの言動に違和感を感じた最初の場面でした。アニに「情が移っちまったのか!」と罵倒してましたが、一番ヤヴァかったのは実はライナー自身だった。
このように、仲間の死のエピソードには「マーレ側の仲間」と「壁内側の仲間」の両方が描かれていたのも、ライナーの精神が壊れた伏線として描かれていたのではと思ったりする。
ライナーの苦悩、そして自殺願望
始祖奪還作戦が失敗後のライナーと言えば、作戦失敗の責任から鎧の巨人はく奪まで追い詰められたのだが、その後の活躍によって威信は復活、今や戦士隊副長の座へ。
一見すると、ライナーのマーレへの忠誠心によって立ち直ったかに見えますが、パラディ島での詳しい出来事についてはマーレはもちろん、家族にさえも伝えていないのが現状。
パラディ島での出来事を悪夢としてうなされる日々、さらには、兵士と戦士という二つの人格もまだ完全には完治していないようにも思えます。
出典:進撃の巨人23 諫山創 講談社
一瞬優しい顔になるライナー
ガリアードがユミルの記憶を通して、壁内でのライナーの様子を垣間見たとき、「アニキの真似事じゃねえか」とライナーの兄貴キャラがネタバレされる場面です。
このときのライナーの表情に注目したい!
壁内での生活を思い出し、一瞬頬をゆるめる様子があり、次のコマでは険しい顔へと戻ります。こうした表情は、ライナーの中では、まだ精神のバランスがとれていない描写とも指摘できます。
結局のところパラディ島に行ったことでライナーは変わってしまったのは確かなことで、マーレに戻ってきからも、あのとき患ってしまった精神の闇は克服できないままと言えそうです。
ライナーが銃口を口の中に入れて自殺ははかろうとする場面もありました。
ですが、ライナーが思いとどまっているのは、ガビをはじめとする後継者がいるからであって、もし、彼に一切のしがらみがなかったら、間違いなく自殺を選択していたはずです。
ライナー・ブラウンの正体・伏線考察
ライナーの精神について見てきましたが、ここからはライナーの正体についての考察です。そんなわけで、まずはライナーに関する伏線についてです!
鎧の巨人である伏線
ライナーは巨人化できる人間として、壁内に紛れ込んでいましたが、そんなライナーが巨人であることを示唆する伏線について見てきます。
はじめは4巻のこのコマ。
出典:進撃の巨人4 諫山創 講談社
エレンが超大型巨人と鎧の巨人について話しているときの場面なんですが、鎧の巨人の話をしているときにライナーの姿が描かれています。
さらには、超大型巨人の話のときにはベルトルトの姿が。これは明らかに伏線といいますか、作者が残したヒントと言えます。
ライナーの出身地
もう一つはライナーの出身地について。ライナーが最初に言っていた出身地は、ウォール・マリア南東の山奥の村でした。
もちろんこれはウソ。
ですが、村に巨人が襲ってきた様子を語っていた時、かなりリアルさがありましたが、これも後になって理由が明らかになります。
出典:進撃の巨人4 諫山創 講談社
このとき話していた内容は、ライナーたちが訓練兵に志願する前にであった爺さんの話を、まんま伝えていただけでした。
その爺さんは村の最後の生き残りだったことも、ウソの出身地として隠れ蓑にするにはうってつけの場所だったといえそうです。ちなみにこの爺さんは首をつって自殺してます。
ライナーと鎧の巨人
訓練兵として高い好成績、そして人望もあったライナーですが、幼少期を過ごしたマーレ時代は、調査兵団で見せていたライナーとはまるで違っていました。
戦士候補生の中でもギリギリの成績
巨人の能力を継承する候補生として残ったのは7名、その中でライナー一番成績が悪かったと言います。なら、なぜライナーは巨人の能力を継承できたのか。
出典:進撃の巨人23 諫山創 講談社
忠誠心
マーレに評価されたのは「忠誠心」です。ただ、これまで説明してきたように、ライナーはパラディ島に来て精神がぼろ雑巾のようにズタボロになります。
マーレへの忠誠心にはウソはなかったと思います。作戦を成功させマーレの英雄になる!なんて夢を掲げ、マーレの戦士になることを本気で臨んでいました。
父に無理やり鍛え上げられたアニや、弟を戦士にさせたくなかったマルセルと、戦士候補生の中には戦士に意味を持たない、むしろ、なりたくないと思っている人物もいたわけです。
それがゆえに、エレンたちと関わる中で、忠誠心とのせめぎ合いの中で精神が壊れていったようにも思えます。こうしてみるとライナーの精神の崩壊はなるべくしてなったように思えます。
ライナーとエレンの因縁
とはいえ、結局最後まで生き残りマーレに帰還できたのはライナーだけだったわけですが、ライナーを語る上で避けては通れないのがエレンとの関係です。
エレンはライナーに「できるだけ苦しんで死ぬように努力するよ」と言い放っていたけど、マーレでライナーに再会したときにはあのときの勢いは一ミリもなし。
ギラギラしていたあのときの目は、今では死んだ魚のような目をしてる。これから何百人、何千人と殺そうとしてるのに、不気味なほど落ち着いています。
出典:進撃の巨人25 諫山創 講談社
エレン、殺してくれ
そんな状況で、ライナーはエレンに殺してほしいと懇願していました。エレンの心情はここでは割愛するけど、やっぱりマーレに帰還しても、生きた心地はしてなかったんだろうな。
我らがライナー名言集!
ここまでライナーについて考察&感想を紹介してきたけど、ライナーには数々の名言というものもあります。主要人物だけに見どころはいっぱいぱいです!
結婚しよ
出典:進撃の巨人10 諫山創 講談社
ベルトルトが好きなのはアニ、なあライナーの好きな女の子は誰、といればクリスタです。傷を負ったライナーを介抱するために、自分のスカートの裾をちぎって包帯替わりにしたクリスタ。
そんな健気な姿をみたライナーは「結婚しよ」と心の声で告白します。これがきっかけでライナーは、クリスタが自分に好意を寄せていると勘違いをしちゃいます。
もしかして、これがライナーにとっての初恋だったのでしょうか。ただ、残念がながらこの恋が実ることはありませんでした。
地獄だったよ
出典:進撃の巨人23 諫山創 講談社
94話「壁の中の少年」でのライナーのセリフです。解釈が分かれるところですが、このセリフの前にエレンやサシャ、コニー、ジャン、マルロについても語っています。
そして、そこには悪の子孫としては見ていません。どこか懐かしむような、そんな喋り方です。母親はじめ聞いていた家族もどう反応していいのか困惑しているほど。
変なことを口走ってしまったライナーが家族についたとっさの嘘だったのか、それても文字通り地獄だったのか難しいところですが、「地獄」をライナーの本音からでたセリフだとするならば、
戦士と兵士の狭間で精神が分裂するほどの環境は、ライナーにとってはまさしく「地獄」だったことは容易に想像はつきます。
ただ、エレンたちとの生活は決して演じていたとは思えない。
またなライナー
出典:進撃の巨人26 諫山創 講談社
このセリフはライナーではなく、ライナーへ向けたセリフ。エレンがマーレから撤退する際のセリフなんですが、ここで気になるのがライナーとの再戦を示唆しているところです。
今回かろうじて生き延びることができたライナーですが、エレンとの再戦は避けられません。そして、ライナーへ向けるエレンの視線もどこか悲しげです。
ライナーのセリフではないんですが、かつて共に過ごした二人が、生まれた場所が違ったというただそれだけの違いで、戦うハメになった二人。運命は残酷です。
ライナー死亡説浮上?エレンとの再戦を探る
最後にライナーの今後の展開を予想してみたいと思います。ライナーの名言でも触れた通り、エレンvsライナーの再戦は避けられないはずです。
なら次の舞台はどこになるのか?
世界を敵に回したエレンですから、次はパラディ島が舞台になりそうです。マーレが大群を引き連れて攻撃を仕掛けにやってくる。
そこにライナーがいるのはもはや必須でしょう。ただ、エレンとの戦いではことごとく負けているライナー。戦鎚の巨人の力も手に入れてさらに強くなったエレンにライナーの勝算があるのかどうか。
ライナーの死亡説なんてのも浮上しはじめていますが、今までの戦いからしてなんだかありそうで怖い。果たしてライナーの運命はどうなっていくのでしょうか。
進撃の巨人売買情報https://huruhonkaitori.info/shingeki-kaitori-osusume9838/
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