まずはじめに、アニメ版、映画版、そして漫画版と、さまざまな媒体で描かれてきたエヴァですが、それぞれの設定を比べてたとき、明らかな違いがあります。
そのため、ここでは「漫画版」のみを根拠とした解説に言及して話を進めていくことにします。
分かりやすいところで言えば、サード・インパクトからはじまる碇シンジが出した答えは、どれも異なっていましたよね。
というわけで、今回は漫画エヴァについて語っていくわけですが、漫画を読んだ方は気づいたでしょうか?
今作における明らかな矛盾。アラさがしとはさすがに言い切れない、明らかな間違いを。ぼくは、解説本を読むまで全く気づきませんでした・・・
冬月の発言
漫画エヴァに焦点をあてた解説本に『超機密 新世紀エヴァンゲリオン最終報告書(ぶんか社)』があるんですが、ここで指摘されたのが使徒の数え間違えでした。
まず、漫画版エヴァの設定についての基本知識として、ここに登場する使徒は全部で12体しか登場しませんので、アニメ版とは使徒の数が異なることに注意。
それでは、冬月の凡ミス発言について検証していきます。問題のシーンは単行本5巻の冬月の発言に端を発します。

出典:新世紀エヴァンゲリオン(5) 貞本 義行 カラー
冬月「これで7つか」
ゲンドウ「ああ、残るはあと5つ」
出典:新世紀エヴァンゲリオン(5) 貞本 義行 カラー
この2人のやり取りですが、使徒の数を一巻から注意深く数えていくと、数が合わないという都市伝説ともいえる凡ミスが発生しているんです。
しかも、その後に登場してくる使徒もここからズレていくため、実は漫画版エヴァの使徒の数は全部で13体いることになるんですよね・笑
キャラのセリフから使徒の数を再検証していく
解説本の再検証として、実際に使徒を数えていくことにします。
まずは、5巻の冬月のセリフが間違いかどうかを検証していくために、各巻のキャラのセリフを根拠に使徒をピックアップしていきます。

出典:新世紀エヴァンゲリオン(3) 貞本 義行 カラー
単行本3巻に登場したのは冬月のセリフから第5使徒ラミエルとなります。ラミエルは青い正八面体の使徒。
新劇場版序にも登場していました。
さて、ラミエルの次はアスカの登場回です。初登場で、単独使徒を殲滅したアスカ最初で最後の見せ場。第6使徒ガギエルです。

出典:新世紀エヴァンゲリオン(4) 貞本 義行 カラー
次に登場した使徒は、第7使徒イスラフェル。二つに分裂したヤツです。コアへの同時攻撃をしなければ殲滅できないことから、シンジとアスカが共同生活をすることになる回です。

出典:新世紀エヴァンゲリオン(4) 貞本 義行 カラー
こうして単行本4巻までに登場する使徒の数を一つずつ数えていくと、第7使徒までが登場していることが分かります。
そして、問題の単行本5巻に登場するのが、第8使徒サハクィエルです。
第8使徒です!

出典:新世紀エヴァンゲリオン(5) 貞本 義行 カラー
5巻までで使徒は計8体登場しているのですが、冬月は「これで7つか」と使徒の数を数え間違えているという痛恨のミスをしてしまっているんです。
リリスの扱い
そもそも使徒と呼称させる生命体はアダムから生まれたわけです。
ただし、思い出してください。リリスはアダムからは生まれていませんよね。ゼーレが人類補完計画をしようとしたのも、そもそもこのことが根本にあったわけです。

出典:新世紀エヴァンゲリオン(12) 貞本 義行 カラー

出典:新世紀エヴァンゲリオン(12) 貞本 義行 カラー
リリスから生まれた人類(リリン)は本来地球には存在しない生命体です。キールら潔癖症のじいさん連中は、この事実がどうしても許せなかった。血筋や育ちを重視するのはどこの世界にもいるものです。
つまり、リリスはアダム系統の使徒ではないため、そもそも人類を襲う使徒には含まれていないという解釈もできます。
しかし、残念ながらこの解釈を持ってしても、ストーリー上矛盾が生じてしまうんです。これについても冬月のセリフが鍵を握っていました。

出典:新世紀エヴァンゲリオン(3) 貞本 義行 カラー
単行本3巻のこのセリフ。この「第5の使徒」というセリフ。
3巻までで日本(というかジオフロント)に襲来した使徒(サキエル→シャムシエル→ラミエル)とアダムとリリスを加えて、ちょうど5体になるんです。単行本を持っている人は確認してみてください。
というわけで、やっぱり作者の凡ミスという結論になるわけです。
終わりの始まり
エヴァ自体解釈が非常に難解な作品なので、何らかの意図があるのかもしれませんが、ぼくには読み切れませんでした。
ただ、漫画版エヴァはとてもストーリーが分かりやすく、結末も非常にしっくりできたのは間違いない(一応フォローしときます)。
今回紹介した『超機密 新世紀エヴァンゲリオン最終報告書(ぶんか社)』では、このほかにもさまざまな解説をしています。
「漫画版」に絞っているだけに、単行本と合わせて読むと、理解が一層深くなるのでおすすめです。今なら破格の割引価格(電子書籍版のみ)で読めます。
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