ネルフ、そしてゼーレの最終目的は人類補完計画を完遂することでした。
しかし、最終的には碇ゲンドウの暴走によりゼーレの計画は頓挫(とんざ)。結局、ゲンドウは妻ユイと再会したかっただけでした。
そして、人類補完計画のほかに同時進行で進んでいた計画もありました。それが、
E計画(アダム再生計画)とアダム計画
という二つの計画。
いずれも人類補完計画に欠かすことのできない計画ですが、E計画とアダム計画との名称が似通っていることから同一視されがち。
私自身、単行本読むまで、ほぼほぼスルーしていたので、ここで改めてざっくりと整理していこうと思います。
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E計画
E計画とはなにかと言えば、セカンド・インパクトによって消失した光の巨人こと、アダムを模して人造人間を造る計画のこと。
ようは、
エヴァンゲリオンを造るための計画
を指します。
見た目からしてエヴァはロボット(兵器)と思いがちですが、「魂」が宿っている点で人造人間という設定です。
たとえば、弐号機にはアスカの母親の魂が宿っています。実験中の事故で魂がエヴァの中に取り込まれてしまった。
出典:新世紀エヴァンゲリオン(9) 貞本 義行 カラー
ゼーレによるネルフ総攻撃で、アスカが精神崩壊から抜け出し覚醒できたのも、弐号機の中に母親(の魂)に気づくことができたからでした。
そして、シンジの母ユイもまた、エヴァ実験中の事故で魂が取り込まれていました(これがきっかけにゲンドウが暴走した)。
出典:新世紀エヴァンゲリオン(10) 貞本 義行 カラー
ただ、ユイのケースではレイが代わりに生まれることになります。
厳密に言えば、サルベージ(肉体を再構築して精神を定着させること)が失敗したため、魂のない入れ物がレイです。
では、なぜ彼女に多少なりとも感情があるのかといえば、それは彼女には欠けたリリスの魂が宿っているからです。
分かりやすいシーンでいえば単行本11巻。
出典:新世紀エヴァンゲリオン(11) 貞本 義行 カラー
冬月が「欠けたリリスの心」と言ってレイをチラッと見ているように、リリスの欠けた心が「レイの中に存在します。
欠けている心ゆえに、レイは感情表現がとても苦手です。そして、サード・インパクトではリリスとレイが融合してシンジ君に会いに行きました。
アダム計画
二つ目はアダム計画。これは、セカンド・インパクトで消失した光の巨人(アダム)そのものを人の手で再生させる計画です。
模すのではなく再生させる点で、E計画とは異なります。ただ、この計画はネルフでは研究されていなかったようです。
出典:新世紀エヴァンゲリオン(4) 貞本 義行 カラー
アスカの随伴として日本にアダムを持ちこんだ加持リョウジ。
アスカがドイツからやってきたことから、アダム計画はドイツで研究され、再生に成功していたことが分かります。
人類補完計画
三大計画の最優先事項にして、人類を滅ぼす悪魔の計画。
正直言いまして、この計画の全貌はよく分からないので、ここではゼーレとネルフ(碇ゲンドウ)のシナリオの違いをざっくりと整理していきます。
碇ゲンドウにとっての人類補完計画は、あくまで妻ユイともう一度再開するための手段でしかなかったわけです。
一方、ゼーレの目的と言えば、「偽りの継承者」たる人類が、神の子、つまりはリリスからではなくアダムから生まれ変わることで、「正統な継承者」になるという為政者にありがちな思想です。
出典:新世紀エヴァンゲリオン(11) 貞本 義行 カラー
いずれにせよ、人類にとっちゃぁはた迷惑な話でしかない。
結局はシンジ君に人類の未来を委ねることになり、シンジとユイの関係性を強く強調してたのが漫画版の特徴でした。
そのためか、サード・インパクトからのシンジの決断の流れは、とても読みやすかった。
漫画版エヴァが概ね好印象なのは、分かりやすいエンディングということもあると思います。ただ、もし漫画版がエヴァ人気全盛の頃に完結していたら、酷評の嵐だったと思う。
なぜって、初号機がアダムベースで造られたと読み取れる箇所があるので・・・
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