漫画「カイジ」から考える不当な連帯保証契約は無効にできるのか

賭博漫画「カイジ」第1話では、カイジが多額の借金を背負わされた経緯が描かれていました。

コンビニのバイトで知り合った古畑(ふるはた)に頼まれた連帯保証が、人生転落のきっかけだったわけですが、そもそも契約自体が違法性の高い契約でした。

うまく立ち回ることで契約を無効にできたはず・・・

だったのかもしれませんが、実際には遠藤の口ぐるまにはめられ、債務者になってしまったカイジ。

カイジ お金学
出典:賭博破戒録 カイジ1 福本 伸行

遠藤さんはご丁寧にも連帯保証詐欺のカラクリを解説してましたが、あのときカイジはどうすれば無効にできていたのか、漫画から法的根拠を探っていきます。

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カイジの回想

何よりも事実確認を知らなければはじまりません。まずは、カイジが連帯保証にサインをした経緯をみていきます。

カイジ お金学
出典:賭博破戒録 カイジ1 福本 伸行

後輩の古畑に、未成年のため保証人を立てなければお金を借りられないと言われ、渋々保証人契約書のサインをしてしまう。

しかし、これが後々彼を地獄へと突き落すことになったわけです。ちょっとした親切心から借金を背負わされてしまったカイジ。

では、カイジが陥ってしまった連帯保証人詐欺のカラクリとはどういったものだったのか、次は遠藤の証言を見ていくことにします。

遠藤の証言

遠藤さんがカイジに話した詐欺のカラクリ、それは返済が行き届かなくなった債務者を使った手口でした。

カイジ お金学
出典:賭博破戒録 カイジ1 福本 伸行

詳細な手口はこうだ。

まず多重債務者であった古畑を使い、カイジに連帯保証人になってくれるよう懇願する。このときの額は30万円

高額とは言い切れない絶妙なラインを提示する。もちろん、他のサラ金からも借りていることは言わない。

カイジはこのとき、30万という元金のみに対す連帯保証人だと思い込んでしまいます。借金には当然「金利」が存在するわけで、金利を含んだ金額が保証対象になることを見落としてしてしまう。

もちろん古畑は借金を返済する気持ちはこれっぽちもない。はなっからカイジを騙すのが目的だからだ。あとは金利の効果で借金が膨らむのを待つだけ。その間、カイジにはなんの連絡もしない。

カイジ お金学
出典:賭博破戒録 カイジ1 福本 伸行

気づいたときには、元金30万円がたった1年あまりで358万にまで増えていた。月利20%という法外な金利(複利)によって。

これがカイジが遭遇した連帯保証人詐欺のカラクリ。

この時点で頑なに支払拒否の態度をしていれば状況も変わっていたのかもしれませんが、家族にバラすという脅しと遠藤の巧妙な口ぐるまによって、人生という坂道を転げ落ちていくカイジ、その先にあったのが希望の船エスポワールだった。

古畑の嘘と脅し

遠藤が指摘したのは、契約書にあった「月利20%」という違法な金利。

この時点で詐欺は明らかなのですが、ここでは違法性のある点を他の法的根拠からも検証していくことなので、このまま続けていきます。

法律には、契約の無効を主張できる条件に「錯誤」(かん違い)という考え方があります(民法95条)。

錯誤によって契約を結ぶというのは、内心で結ぼうと思っている契約の内容と、実際に結んだ契約の内容が重要な部分でくい違っている、ということです。最も単純な例は、保証額100万円だと思って保証契約書にサインしたのに、実は1000万円についての保証だった、というような場合です。
出典:保証・連帯保証のトラブルを解決するならこの1冊 自由国民社 監修:石原豊昭弁護士

20%と言えば、常識的に考えて「年利」をイメージするのが当たり前ですが、この契約では月利20%という錯誤にも甚だしい金利になっています・笑。

そのため、契約の無効が認められる可能性が高い。

また、古畑のセリフからも違法性を指摘できます。彼の説明は「未成年のためサラ金からお金が借りれない」というものでした。

カイジ お金学
出典:賭博破戒録 カイジ1 福本 伸行

その際、自分が多重債務者であることは一切説明せず、説明義務を怠っている上に理由をも偽っていたのも見過ごせません。ただし、口約束なので現実では立証は難しいところ。

そして、何よりも今回の詐欺の主犯はサラ金業者でした。金融やくざの遠藤が登場してきたことからも、かなりのブラックなのは間違いない。

この業者が主犯となり、古畑に詐欺の片棒を担がせたことから、これは「第三者の詐欺」に当てはまる可能性があります。

カイジ 第三者の詐欺

第三者の詐欺とは、お金を貸している債権者、つまりサラ金がダマすのではなく、お金を借りている債務者、つまり古畑が保証人をダマす行為をいいます。

しかし、ここでポイントになるのが債権者が債務者の詐欺行為を知っていたかによって契約無効にできるかどうかが違ってくることです。

保証人が主債務者にだまされているということを契約相手の債権者が知っていなければ、保証人は保証契約を取り消せることになりません(民法96条2項)
出典:保証・連帯保証のトラブルを解決するならこの1冊 自由国民社 監修:石原豊昭弁護士

こちらが法的根拠。「保証人が主債務者にだまされているということを契約相手の債権者が知っていなければ」というように、第三者の詐欺が認められるのは、債権者が知っていることが条件としてあります。

ではカイジのケースはどうか。

連帯保証人詐欺の首謀者はサラ金ですから、「第三者の詐欺」に当たる可能性が高く、契約無効にできうるわけです。

カイジの負い目

もしカイジが遠藤の脅しをつっぱねて契約無効を主張していたらどうなっていたのでしょうか。

個人的には、それでもカイジはエスポワールに乗る羽目になっていたと思うんですよね・笑。というのも、カイジはそもそもある負い目を背負っていました。

カイジ お金学
出典:賭博破戒録 カイジ1 福本 伸行

それは高級車ばかりを狙ったチンケないたずら。しかも、このいたずらは既に遠藤に知られています。

契約無効が認められても、きっと車の修理代を請求されどっちみち借金を背負うはめになっていたカイジ。

エスポワール乗船はやっぱり避けられない。

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