漫画「彩子(サイコ)」は、月刊少年チャンピオンで連載されていたサイコホラー作品。作者は本田真吾先生。
本田先生の作風はガチグロホラー系、グロい描写を得意としますが、彩子についても同様。上・下巻にあたる黒・白の二巻で完結。
救われない彩子のラストの胸クソ展開は、読む続けるのが苦痛なほど。「切子」のようなトンデモ展開になってないのもよいw
漫画「彩子・白」あらすじ・ストーリー
高校1年の斎賀彩子(あやこ)は、いたって普通の女の子。彼女の日常が沈みはじめたのは、今から一年前のこと。
登下校時に、誰かに見られている感覚に襲われるようになる。それを境に、彩子の周囲で不気味な事件が次々発生していく。
彩子が欲しい、と書かれた血文字の手紙や、人間の歯入り封筒が送りつけられたりと、気味の悪い嫌がらせを受けるように。
さらには、学校で飼育している鶏の惨殺、複数の猫の死体がツギハギの状態で発見される。恐怖を感じた彩子は、恋人の貴弘(たかひろ)に相談。
しかし、そんな貴弘との関係に亀裂が入る。同級生の椎名に嫉妬され、陰湿な虐めの対象になり、挙句の果てに貴弘を奪われてしまう。
身も心もボロボロな彩子。そんな中で彩子をつけ狙う殺人鬼が姿を現す・・・彩子の本当の地獄はここからだった。
普通の女の子・彩子の悲劇
とにかく彩子への鬼畜っぷりが酷るすぎる(誉め言葉)。スプラッター的な身体的苦痛はもちろん、精神へのエグい苦痛も与え続けます。
途中、目を反らせたくなるような展開もあり、こんな読後感は久しぶりに味わった。とにかく彩子の苦痛は読んでいて耐え難いもの。
しかも、彩子がまた素直でいい子なのだ。誰かが困っているなら、自分を犠牲にしてまで助けてあげる優しい女の子。
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
守りたい、この笑顔
みんながイヤなことを率先してするのは、笑顔になる、ありがとうと言ってくれる、その言葉にうれしくなれるからだと言います。
そんな子が、理不尽な理由で地獄へと転落してしまう。これほどゾクゾクする設定があるだろうか、いや、胸クソすぎてないw
乾(いぬい)
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
乾は彩子と同じクラスの同級生。キモイという理由だけで女子からウザがれているクラス最下層のアニオタ男子として登場します。
学校で飼育している鶏が殺された事件で、真っ先に疑われてしまったのが乾。犯人扱いされたとき、唯一庇ったのが彩子でした。
乾が生物部の部長として鶏の世話を一生懸命している姿を見ていた彼女は、乾を守ったのだが、それが裏目に出てまう。
乾に必要に追い回されてしまう。いわゆるストーカーだ。「僕は君の守護者」と名乗り、彩子を不気味な笑顔を浮かべ見守るようになる。
椎名
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
同級生の椎名からも追いつめられていきます。彩子の彼氏、野球部エースの貴弘(たかひろ)に好意を抱いた椎名。
イヤなことも率先してやる彩子にとって、いじめとは無縁な生徒。大人しいとはいえ、乾のような底辺生徒にも、体を張って守る強い子。
椎名が好きになった男子生徒と付き合っていたという、ただそれだけの理由で、いじめの対象になってしまった彩子。
それでも彩子が耐えられたのは、彼氏の貴弘の存在があったから。ただ、そんな信頼していた貴弘でさえ、彩子から距離を置くように・・・
貴弘「彩子、重いんだよ」
椎名が二人の間に強引に入ってきたことで破局。彼女が彩子だと知るや、「負ける気がいない」と、あからさまに貴弘に近づいていったのだ。
ケバい色仕かけによって貴弘を誘惑、そんなエロエロ作戦に野球バカ、失礼、脳筋バカはまんまと引っかかり関係をもってしまう。
これを機に彩子との連絡は滞るようになり、ラインを送っても返信ナシ。二人の間に深い溝(みぞ)が開いてしまった。
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
そして、ついにこの日が。背中ごしに別れの「じゃあな」で破局。貴弘と連絡が取れなくなった彩子はしつこく追いかけてしまう。
そんな行動に貴弘は一言「お前、重いんだよ」と痛烈なトドメの言葉を浴びすのだ。まるで彩子に別れの原因があるかのような物言い。
挙句、貴弘との別れの理由を最後の最後で知らされます。このとき彩子の心の容量はパンパン。許容範囲を超えた彼女は壊れてしまう・・・
ストーリーは救えない胸クソ結末へ
クラスのいじめ、乾のストーカー、貴弘の裏切りと一方的別れ。それらすべてが彩子にのしかかりもうズタボロですが、地獄はココカラ。
殺人鬼の正体
これまでのつきまといは、同級生の乾とばかり思っていた彩子。だが、乾とは別に狙っていた人物がいたのだ。
こんなにも傷つけられ、痛めつけられても、まだ序の口!本作の鬼畜さは異常。彩子を狙っていたのは彩子の担任・石黒先生。
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
石黒に殺されそうになる彩子は、貴弘に助けを求めますが、貴弘は椎名とホテルでお楽しみ中。彩子の悲鳴を嘘だと決めつけスルーします。
他人のために尽くしてきた彩子、でもフタを開けてみれば誰にも助けてもらえず、心を許した貴弘にまで全否定されてしまいます。
これは救えない。
これは救えない。
これは救えない。
そして彩子は壊れます。
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
今までの自己犠牲はなんだったのかと疑問を持ちはじめ、自分の考えを全否定し、すべての人間を怨むことになります。
自分だけがこんな不幸な人生なんて許せない、椎名も、私を裏切った貴弘も、みんなみんな死んじゃえばいい!!!!!!!!!!
彩子の感情に芽生えが呪いの感情。そして、心が完全に壊れてしまった彩子の結末はどうなってしまうのか、是非漫画で読んでください。
石黒聡介という教師
教師の立場を利用した石黒は、彩子に存在を気づかれることなく悪質で陰湿な行為を実行し、ほくそ笑んでいた。
正真正銘のクズです。
そんな石黒の悪意に対して、純粋すぎる彩子は抵抗できるわけもなく、狙われたが最後、壊れるまで付きまとわれ残忍な最後を遂げます。
出典 彩子・白 本田真吾 秋田書店
彩子の拷問が最後に描かれます。このときの彩子の表情を見るだけでも、ゾッとするほどの恐怖が伝わってきます。まさに
非道
の一言。
漫画「彩子・黒」との関係性
漫画「彩子」は白編と黒編の二部構成になっていますが、ストーリーはそれぞれで完結。とはいえ、互いに補完しています。
黒編では、「SAIKO(サイコ)」という呪いアプリが登場しますが、このアプリが白編の主人公・彩子と深く関係しています。
白編にて呪いのアプリの誕生秘話を描いており、黒編にて呪いのアプリが世の中に流行してしまった状況を描いています。
漫画「彩子(サイコ)」感想まとめ
黒編はトンデモ展開が顔を覗かせるので、怖さでいえば白編には及ばない。そういった意味では白編をまずはおすすめしたい。
ホラー漫画ではストーリーも当然重要、けど、それ以上に画力も必要です。それこそ画力だけで興奮させるエロ漫画並に必要なのがホラー漫画。
あり得ない状況、ありえないバケモノをどう読者に納得させるかは、画力以外ないわけで、ホラー漫画を美しいと表現する人もいるくらいだからね。
その意味では「彩子」は申し分ない。彩子の悲痛な表情はゾクゾクッっとさせる魅力がある上、ストーリーも胸クソで読み応えあり!