『超級! 機動武闘伝Gガンダム』は94年に放送されたアニメ『機動武闘伝Gガンダム』のコミカライズ。作画はアニメのキャラデザで参加していた島本和彦、脚本は今川康宏が担当。
コミック版では『ドモン放浪編』にはじまり『新宿・東方不敗編』『ネオホンコン編』そして『最終決戦編』の四部構成で出版され2016年に遂に完結。
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あらずし
未来世紀(F.C.)60年前、汚れきった地球を後に宇宙に新天地を求めてコロニー国家が誕生した。
戦争による覇権争いを避けるために4年に一度それぞれの代表選手が「ガンダム」と称するモビルファイター(MF)に乗り主導権を争うファイトが地球を舞台におこなわれていた。
第13回目となる今回のガンダムファイトで、ネオジャパンの代表選手として選ばれたのがドモン・カッシュ、そしてパートナーのレイン。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム4 島本和彦
この男を知っているか!?
懐かしさしさがハンパないこのセリフ。ドモン放浪編ではこの1枚の写真を手掛かりに兄キョウジを探す物語を収録。ガンダムファイトとは別に兄を探し出すストーリーもあった。
ガンダムファイトのチャンピオンを目指しながら兄キョウジに復讐を燃やすドモン、そしてのちに明かされるアルティメット(デビル)ガンダムとの因縁の師弟対決へとストーリーは熱くなっていった。
アニメさながらのコマ展開
Gガンダムのはじまりといえば、赤スーツにオールバック、眼帯がトレードマークの男。毎回冒頭に登場し、「さてみなさん」というお決まりのセリフからナレーターのような立ち位置であらすじを説明していた。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム2 島本和彦
マンガ版でももちろん健在。さらに1巻ではアニメOPをそのままコマにしてしまうという斬新な演出もあり当時の熱さが蘇ってくる。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム2 島本和彦
ストーリーの暑さはもちろんOPやED、作中に流れていたBGMのクオリティの高さも魅力の1つでした。▲初期OP『FLYING IN THE SKY』の歌詞がコマごとに描かれているw
熱すぎる演出!!
Gガンダムといえば熱く男臭いセリフと場面展開ですが、それがなぜかクセになる。コミック版も島本先生らしいタッチでGガンダムの「熱さ」を描いていく。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム新宿・東方不敗!1 島本和彦
印象的なのは筆を使ったセリフやキャラクターの線。MF、とくにデビルガンダムの線の(おぞ)ましさは個人的によかった。ただセリフに筆文字が使われてると読みにくさがあるかもしれない。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム新宿・東方不敗!1 島本和彦
このコマなんかよく分かるんじゃないでしょうか。東方不敗とデスアーミーを明らかに描き分けている。キャラとBF(モビルファイター)とで線を変えていることで劇画よりな線にならないようにしているのかも。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム新宿・東方不敗!1 島本和彦
これでもかという顔のドアップも男臭さを感じる演出の定番要素。とにかくここぞという場面でワンカットは必ず顔のドアップが入る。このコマなんてもうドアップすぎて目しか描かれていないw
vs東方不敗
新宿編の師弟の決別やシャッフル同盟、ネオホンコン編でのバトルトーナメント戦、さらには地球を離れ宇宙が舞台(リング)となりデビルガンダムとの最終決戦編と見どころは語り尽くせない。
しかし!なんといっても東方不敗とドモン・カッシュの師弟対決はGガンダム最大の見せ場といっていいでしょう。
師弟を越えた男と男の力のぶつかりあいは、ややもすると今では古臭いかもしれないが、これぞGガンダムなのた。そんな現代ボーイの意見は「渇!」と一蹴あるのみ!
熱さを演出するのは2人のこれでもかという顔のアップ、そして顔のアップ、もうアップアップな展開、明らかなギャグ展開を男臭さにド真剣に描ききるのがGガンダムなのである!
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム 最終決戦編3 島本和彦
筆の勢いから感じるハイテンションで描ききったであろう島本先生の壮絶なバトルの終焉はギャグを超越し感動すら覚えるはず。こんな筆使いみたことねぇよwww
アニメ版との違い
熱きアニメ『機動武闘伝Gガンダム』のコミカライズということで、ストーリーやラストはアニメ版とほぼ同じです。途中シナリオが若干違うもののマンガ版だからといってオリジナルストーリーではない。
ただ1つ気になったのがアニメ版とのキャラの違い。コミック版ではドモンのキャラがかなりコミカルになっています。これは島本先生のアレンジだと思いますが、ドモンはストーリーからしても影のあるキャラ。
それをコミカルに描いてしまうと今後のストーリーに影響してしまう。アニメを観ている読者は特に違和感を感じると思う。いい意味でも悪い意味でも島本色が強く出ている。
出典:超級!機動武闘伝Gガンダム3 島本和彦
コミカルにデフォルメされたドモンはやっぱ違うんだよなぁ~。そもそもGガンダムはガンダムシリーズの中でも異色中の異色、というか「ガンダム」とは題されているものの全くの別ものなのだ。
それくらいぶっ飛んだストーリーのGガンダムを男臭く真剣に描いたところに感動と笑いがあったんですが、はじめからギャグを入れちゃうとその絶妙な世界観が半減してしまう。
とはいえかつて燃えたGガンダムをもう一度読み返したい!という人にはおすすめなのは間違いない。とくに東方不敗とドモンとの最終対決はアニメの思い出補正が加わって心躍る感覚がきっと味わえるはず!
そして知らず知らず男泣きしていることだろう
東方は赤く燃えている!!!!!