霧島薫香(トーカ)の弟にして、過去のトラウマから人間を敵視しオアギリの樹の幹部として活動していく霧嶋絢都(アヤト)。
『東京喰種』では金木研の拉致に加担し、トーカをグーパンチで打ちのめしてしまう。しかしその行動のすべてはトーカを守りたいという家族愛が満ち満ちていた。
ここでは喰種として生まれCCGに両親を殺された不遇な境遇を持つアヤトのストーリーを振り返ります。
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2人だけの肉親
父・母ともにCCGに殺された霧島姉弟は、「あんていく」のマスター芳村との出会いにより別々の道を歩んでいくことになる。
人間との共存を選び正体を隠して生きていくことにしたトーカ、人間への恨みをいだき暴力によって喰種世界で生きていくアヤト。成長するにつれ2人の想いは相反する真逆の道を示していた。
出典:東京喰種8 石田スイ
11区アオギリの樹掃討戦で再びトーカと対峙するアヤト。圧倒的な暴力の前についにはトーカの赫子(かぐね)を喰いちぎる。
暴力による蹂躙
アオギリの樹に入ったことで凶暴さに拍車がかかったのか。
だがこれまでの傍若無人な態度はすべて姉を守るためだったことが金木によって明かされる。アオギリの樹から喰種から、そして両親を殺したCCGから姉を守るための彼なりの愛情・・・
父親との思い出
父親が生きていた頃の生活はご近所にも恵まれ、人間と共存する穏やかな生活を送っていた。しかし真戸呉緒(まどくれお)に居場所を突き止められ、生活は突如として破綻する。
出典:東京喰種8 石田スイ
父親の消息も分からないまま喰種捜査官からなんとか逃げ切り姉弟だけの生活になってしまう。このとき「お姉ちゃんだから」という理由で弟を守っていくことを誓ったトーカ。
芳村と出会うまでの生活は想像を絶するものがあったはず。人間との共存の道を選んだ父親は子ども達に喰種としての生き方を教えるわけもない。
喰種の世界に放り投げられた幼い姉弟、成長した2人に月山が目を付けていた回想も『東京喰種』では描いていましたが、その時の彼らの目つきといい野蛮な性格はもはや幼い頃の2人とは別人のように変わっていた。
アヤトがアオギリに樹に入ったのも「弱い奴に何が守れる」というアヤトのセリフが物語っている。親父が弱いから大切なものを守れない。アオギリの樹に入った動機もそのためなのだろう。
トーカを守るために、そんな風に聞こえた。
伏線
ヤモリのあんていく襲撃、そして11区アオギリの樹掃討作戦での対峙、どちらにおいてもトーカに対して最低限のダメージしか与えていなかった。金木は
「庇(かば)ったんでしょ」
と彼の行動の真意をえぐった。
しかしアヤトの目的はまだ終わりではなかった。アオギリの樹掃討作戦からしばらいくして7区に「黒いラビット」と称される喰種が出現する。
この喰種の正体はハヤト。ウサギのマスクはトーカが愛用していたもの。『東京喰種』ではラビットと黒いラビットは別々の喰種として扱っていたが『:re』では「ラビット」と呼称が統一されていた。
出典:東京喰種:re4 石田スイ
32話『喰い足る』で琲世(はいせ)たちが話していた赫子痕を根拠とした犯人像の特定分析。痕跡の一致率が高ければ近親者の可能性も否定できないが、50%を超えていれば本人と断定してまず間違いない。
ただし、例外として共食いをしていた場合の赫子痕の一致率は50%を超える。あのときトーカの赫子を喰らったのは、捜査官の目を反らす行動だったことが『:re』で明かされる。
いやいや伏線が壮大すぎるでしょ。
アリガト
姉を守るため力をつけ、本当の想いを胸の内に秘めながらトーカに反発していたアヤト。『東京喰種』では姉弟との関係は誤解を生んだまま修正させることはなかったが、『:re』では大人になった2人が久しぶりの再会を果たす。
出典:東京喰種:re7 石田スイ
このときトーカから
もう私はいいから
と声をかけられる。父親を殺され2人で逃げ回っていた頃、小さなアヤトを背中に負ぶっていたトーカ。今ではトーカよりも大きくなりたくましささえ感じる。2人の想いは繋がっていたんだな。