キメラアント編ヒロインのコムギ、軍儀の名手としてメルエムに呼ばれたのが最初の出会い。
軍儀を通して2人の距離はだんだんと縮まっていきますが、2人が打つ軍儀そのものに注目してみると、これが面白いほど今後のメルエムを暗示していたんです。
メルエムといえば隣にいるのは当然コムギ。というわけでメルエムとコムギの想いを盤上から探っていきます。
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陣形
メルエムの未来を予感、つまりは伏線として描かれていたコムギとの試合。それをよく表している試合は孤独狸固(ココリコ)という戦略で戦い挑んだとき。
出典:HUNTER×HUNTER23 冨樫義博
孤独狸固は「離隠(ハナレガクレ)」ともいいコムギが10年前に発見した新手だった。当時この手が話題になり一気に広まったものの、欠点があることが分かりそれから廃れていった。
孤独狸固の特徴は帥(将棋でいう王)を孤立させる戦法。打ち手の読みが試される戦法でもあるが、この帥(王)を孤立させるという描写には、
帥(王)=孤立
つまりメルエムが孤立するという暗示を意味していたのではないか?という指摘ができます。
出典:HUNTER×HUNTER27 冨樫義博
そしてコムギが詰ませたように、メルエムもまたネテロの自爆と引き換えに敗北を期した。「貴様は・・・詰んでいたのだ、はじめから」という軍儀の言いまわしようなセリフからも、孤独狸固は作者が意図的な伏線として描いたんじゃなかろうか。
新手(あらて)
メルエムは直属護衛隊のプフとユピーによって復活を果たす。このとき彼が望んだのはコムギと一緒に居ることだった。軍儀を通じて想いを語っていくメルエム。ここで登場した戦法がまたしても「孤独狸固」だった!
だが仕掛けたのはメルエムではなくコムギ。退路のない戦法かと思われていたがコムギが新手を見つけ出していたのである。
出典:HUNTER×HUNTER30 冨樫義博
4-6-2忍
帥(王)の孤立を特徴する孤独狸固、メルエムを孤立にしたときからすでにネテロに「詰まされていた」と思っていた戦法が、新手の発見により息を吹き返す。まさにメルエムの生死を孤独狸固と連動しているかのように描いていますよね。
そしてその新手となった一手が「忍」でした。
帥と忍が表していた意味とは
出典:HUNTER×HUNTER32 冨樫義博
メルエムとコムギが描かれた最後のコマは2人が手を取り合い、そのそばには軍儀の駒が重なるように置かれていた。この駒が2人の関係を表していたのは明らか。
帥はもちろんキメラアントの王メルエムを表現、ならなぜコムギの表す駒が「忍」だったのか。2人の試合において印象的だったのは今まで紹介してきたように孤独狸固という戦法でした。
孤独狸固は「離隠(はなれがくれ)」という別名もあり、隠=忍という連想ができます。また新手を見つけ孤独狸固を復活させた好手が「忍」だったことからもコムギを表現する駒としては相応しいですよね。
軍儀の戦術を伏線として利用するあたり、さすが冨樫先生ストーリーが深すぎます!孤立した王、これは直属護衛軍からというだけでなくアリの王として生まれた彼の境遇、人生をも表していたのかもしれませんね。
孤独だった王がコムギという忍によって新しい道を歩むことができた、その隣にはコムギがいる「余はこの瞬間のために生まれて来たのだ」というラストのあのセリフが強く印象に残っています(涙)。
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