幽遊白書は90年から94年にかけて週刊少年ジャンプで連載された漫画、作者は冨樫義博。ジャンプ黄金期を支えた人気作品なのは、言わずもがな。
作品は単行本、完全版、文庫版とあるけど、2010年から毎月1巻ずつ発売された「文庫本」の最終巻の特典に冨樫先生描き下ろしマンガが収録。
しかし、この「描き下ろしマンガ」が賛否を生みます。その内容は、パンダふんする作者が主要キャラを次々に殺していくというものだった・・・
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冨樫「ご愛読ありがとう!」
最終巻に描き下ろしマンガを特典にするきっかとなった、25歳女性ファンからのメッセージが掲載されています。以下引用は抜粋です
冨樫先生の描き下ろしマンガがもっと読みたいです。ファン歴17年の熱狂ファンより。
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫(一部抜粋)
どうやらファンの要望に応えるかたちで、描き下ろしマンガが実現したみたい。ファン歴17年というと、93、4年頃からのファンでしょうか。
ですがここから暗黒展開に。描き下ろしで幽助、蔵馬、飛影、桑原を登場させて意味深すぎるメッセージをマンガに託します。
冨樫先生描き下ろしマンガ
4ページにわたる描き下ろしの最初のコマは、血を流して倒れている蛍子(けいこ)の姿、それを見つける主人公の幽助が描かれます。
その後も、飛影や蔵馬と主要キャラが登場するものの、お腹に「凶」と書かれたパンダによって瞬殺されていきます。
そして、パンダは主要キャラを殺しながら、同時に読者へメッセージも送り、パンダが冨樫先生自身を意味していることに気づきます。
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫
パンダ「若気のいたりを絵にかいたような作品ですが、作品に対する思い入れもひとしおです」
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫
正直、どう解釈すべきか分からない・・・だけど、自分なりにいろいろ調べて考えたので、興味がある人は引き続きお読みください。
描き下ろしマンガの4つの疑問
誰のセリフなのか
パンダ扮する冨樫先生が読者に向けてメッセージを送るストーリー、それは最初のページにもしっかり明記されています。
ですが、吹き出しをみるとパンダ以外にもしゃべっている人物がいます。それが幽白主人公の浦飯幽助です。
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫
「冨樫です」と、幽助のセリフの吹き出しにしっぽがあるのが分かります。なので、このセリフは幽助のセリフになるはずです。
けど、幽助は幽助、冨樫(パンダ)ではない。幽助以外のキャラを確認しても、吹き出しにシッポがついてるキャラはいない。
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫
飛影と蔵馬のコマにも吹き出しのしっぽはない。なので、上のコマのセリフはパンダこと、冨樫先生のメッセージだと分かります。
となると、幽助の吹き出しは単なるミスってことなのか?まさか、「やっつけ仕事」のようにササッと描いたとか?
なぜパンダなのか
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫
お次はパンダについて。なぜ冨樫先生はパンダに扮したのか。確定ではないものの、当時ある1つの説があったのはありました。
それは、同じく少年ジャンプに連載していた漫☆画太郎先生が冨樫先生をモチーフにしたコマを作中に描き、そのアンサーとしてパンダにした説です。
その作品が『珍遊記2』です。主人公の山田が好きなマンガ・少年チンプに「パンダパンダ」という作品が登場します。
出典:珍遊記2 4 漫☆画太郎 集英社
どうせネットのデマだろうと思って、漫☆画太郎先生の作品をいろいろ読んでいったところ、ホントにありましたw
少年チンプに連載している「パンダパンダ」、作者は山下ムサシ、休載が多く一年ぶりに連載することが決まるという、冨樫先生をイジり倒しますw
ハンターライセンスならぬ、漫画家ライセンスなるカードも登場し、明らかに冨樫義博が元ネタのパロディ回。冨樫先生はこの回を読んだらしい。
出典:HUNTER×HUNTER31 冨樫義博 集英社
ちなみに、パンダは他の作品でも登場していて、パンダハンターハンターでも、ジンの代役としてパンダが登場していました。
主要キャラがなぜ殺させるのか
幽遊白書を連載していたときの冨樫先生の心労はかなり溜まってたのは事実。これは幽遊白書画集において、本人が明言しているので確かな情報です。
この画集は冨樫先生が幽遊白書を連載していた頃のあらゆる愚痴、不満、欺瞞、手抜き、適当、無関心、鬱、、、を知れる衝撃画集ですw
漫画家として天才ですが、神格化はしないようご注意を。冨樫先生もまた人間です。ガチファンで読んだことがない方は閲覧要注意です。
こうした作者の当時の心境を知ってしまうと、主要キャラを殺していった理由も分からなくもないですが、ファンに向けて描くかね~とは思った。
桑原だけなぜか殺されない
出典:幽遊白書12 冨樫義博 集英社文庫
パンダによって主要キャラが次々に殺されていくんですが、なぜか桑原だけ殺されない。桑原は幽白の中で好きなキャラだったのか、その真相は不明。
しかし、そんな作者をまるっとすべてひっくるめても、結局、ブツブツいいながらも連載はじまれば読むんだけどさ。