単行本34巻が発売されるということは、つまりは冨樫先生の連載が再開される可能性が高いということで、この機会にハンターハンターのストーリーを改めて振り返っていく企画。
ちょうど読みなおしついでにこの記事で思ったことを書いていこうと思った次第。ありきたりなストーリーまとめではなく、考察や分析よりな記事になるように心がけていますので、H×Hの新たな発見を紹介できればと思います。
今回はハンター試験編、単行本でいえば1~5巻あたりまで
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ワクワク感の魅せ方
少年マンガにワクワク感はつきもの、「オラ、ワクワクすっぞ」なんてダイレクトに主人公が言っちゃう神漫画の通り、読者を惹きつけるナニかが必要になる。
ハンター×ハンターではゴンの父親を伏線にするだけでなく、それからゴン自身の潜在能力のスゴさも同時に暗示していて、そこが読者にワクワク感や今後のストーリーの期待感を増大させていた。
出典:出典:HUNTER×HUNTER1 冨樫義博
ゴンの目を見たカイトがジンを思い出すシーン。
ここからハンターのこと、そして、ゴンの父親の偉大さが描かれていくわけですが、ここでもう読者はワクワクさんポイントがたまっていく。
出典:出典:HUNTER×HUNTER1 冨樫義博
本試験会場にいく道すがらに乗った船の船長も、ゴンに若き日のジンを重ねてその人柄に惚れ、試験をおこなうことなく合格させてしまう。
ゴンがこれからどんな冒険をしてどんなことをやってくれるのか、そのワクワク感が冒頭でしっかりと読者に伝えている、シンプルだがこのシンプルさが読みやすい。
しかも今後の展開も「ゴンはハンターになって父親を探すんだな」と読者が序盤である程度のストーリーが分かるから迷うことがない。
少年マンガらしいシンプルで明確な伏線、それでいてワクワク感もしっかりと序盤で表現している。H×Hが少年マンガの中でもこれだけ愛読者が多いのは1巻を読んだだけでも十分に伝わってくる。
シリアスとユーモアのバランス
ハンター試験編を再読して思ったのは、シリアスとユーモアのバランスを作者はとても意識して描いていること。たとえばヒソカが人を殺すシーンの後には必ずといっていいほどユーモアな展開を描いている。
ハンター試験第四試験でのヒソカとゴンのプレートのやり取りは、今編の一番の見どころシーンですが、あのシリアス回を描いた後のアモリ兄弟とキルアのバトルシーンは一番分かりやすい。
出典:出典:HUNTER×HUNTER1 冨樫義博
どきーん!!
とまるでギャグ漫画かのような誇張された擬音語、作者が意図的に緩急のバランスを考えて描いているのが分かる一コマではないでしょうか。
残念ながらアモリ兄弟というモブキャラに、ゴンvsヒソカの後を任せるには役不足があるため大げさに描いたのかなと推測。でも、これがいい箸休めとなって続きをどんどん読めてしまう。
つまりテンポのいいストーリーを意識して描いているのが伝わってくる。ハンゾーのオチもおもしろかったww
頑固さというキャラづけ
ハンター試験編で読者にこれでもかと刷り込ませたのはゴンの「頑固さ」というキャラづけ。随所に見せるゴンのなにがなんでも自を曲げない性格は彼の芯の強さを十二分すぎるほど描いていた。
それはキルアを連れ戻しにゾルディック家に行く回でも一貫していた。カナリアのシーンではハンゾー以上にグロい描写で描かれ、読者にゴンの頑固さを伝えていた。
出典:出典:HUNTER×HUNTER5 冨樫義博
こうした頑固さや危うさはゴンの戦いっぷりだけにとどまらず、ヨークシンシティ編のゼパイルやGI編のビスケのセリフでも一貫して描かれていた。
だからこそ、キメラアント編のあのゴンさんが活きてくるわけだ。張に張りまくった伏線という名の糸が切れたのがあの回。
ヒソカとの出会い
ゴンとヒソカの出会い、個人的にはこれこそがハンター試験編の一番の見せ場だと思います。
ゴンがヒソカからプレートを奪うあの一連の描写、一コマ一コマに無駄のない流れるような、止絵なのにまるで動いていているかのように錯覚すら覚える描写はスゴいとしか言いようがない。
コマの選び方がうますぎるんでしょうね、さらにこの後のゴンの心理描写の描き方にも痺れてしまう。ヒソカに頬をバチコーンされたゴンはその後様子がおかしくなる。
クラピカやレオリモのそんなゴンに気付き不思議に思うも、そこではなにも声をかけない。第四次試験が終わり、気球船の中でクラピカと2人になったときに、ヒソカとの一戦についてふれる。
出典:出典:HUNTER×HUNTER5 冨樫義博
はじめはぽつぽつと心に思っていることを話すゴン、このとき真正面ではなく後ろ姿や横顔でセリフをしゃべっているんですが、最後感情が溢れてくると
出典:出典:HUNTER×HUNTER5 冨樫義博
ゴンが涙をながす正面の顔が描かれる。心理描写の描き方がうまい。まずヒソカとの戦い後すぐにゴンが感情を吐露するんじゃなくて、しばらく話数を挟んでから表現している、いわゆる余韻を読者に残しています。
これによってあの名シーンにさらに箔がつき奥行きがでる。ゴンとヒソカの関係は今後も見せ場になってくるわけで、あの劇的なシーンはそれを十分すぎるほど象徴していた。
読み返して分かるスゴサ。
報告
というわけで1~5巻について感想を書いてきました。最後におまけとしてこの単行本で冨樫先生が結婚報告をしていたことは忘れてはいけませんw
伏線は1巻からありまして
出典:出典:HUNTER×HUNTER1 冨樫義博
アシスタントとして手伝ってくれたセーラームーンこと武内直子さんと1巻において結婚の報告があります。今さらながらおめでとうございます。
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