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ハンターハンター考察・感想 ヨークシンシティ編を振り返る!

念の基礎を習得したゴンたちはいよいよ幻影旅団との対決を描くヨークシンシティ編へと突入していきます。

旅団と鎖野郎ことクラピカがメインで描かれてますが、今後の伏線、とくに暗黒大陸編への伏線となる箇所がいくつもあるので再読するのもおすすめ。

さまざまな憶測が飛び交う暗黒大陸編のクロロvsヒソカ戦を考える上で押さえておかないといけない設定がいろいろありますよ。

単行本で言えば8~13巻あたりまで

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幻影旅団の描き方

ヨークシンシティ編では幻影旅団の活躍をメインに描かれる。今まではクラピカを通して旅団という殺人集団が描かれていましたが、遂に本人たちがご登場。

幻影旅団のそもそもの成り立ちは流星街出身からなる集団。メンバーの入れ替えは何度があったようですが、今も昔も彼らが守っている掟が存在していた。

鉄の掟

  • 優先すべきは旅団(クモ)
  • メンバー同時の殺し合いはご法度

というのも。

いわゆる「鉄の掟」としてメンバーたちが遵守する唯一の秩序。すべては旅団存続のため。しかし今編で描かれた旅団の実態では血も涙もない集団ではなく、むしろ仲間想いの人間味あふれる集団として描いていた。

ヨークシンシティ編
出典:HUNTER×HUNTER9 冨樫義博

それまでのクラピカの説明とは全然違う表情を見せていた。たとえば↑のコマからも旅団を単なる暗殺集団とは違う魅力を読者に伝えていた。

12巻の表紙もまさにそうで多面的な表情を描くことで読者の旅団ファンは間違いなく多くなった。実際、この頃実施された第2回キャラ人気投票では旅団人気が顕著で、作者もコメントで言ってたくらい。

この人気が影響したのか旅団は壊滅せずに、このあと度々登場することになり、「非道な暗殺集団」というイメージは次第に(おそらく意図的に)薄れていった。

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人質の価値

旅団の人間味、それはラストのパクノダの選択からも描かれていますが、クラピカと団長、そして団長と団員との複雑な心理描写がヨークシンシティの見どころであり、そして旅団の魅力でもあった。

メインだったはずのクラピカが旅団の引き立て役とさえ思えてくるくらいのストーリー、旅団を勧善懲悪として「悪役」に配役していないのも冨樫らしい展開、そして、これだから好きだ!という読者は多いはず。

ヨークシンシティ編
出典:HUNTER×HUNTER13 冨樫義博

クラピカが旅団を見誤ったところもまさにそこにあった。旅団の人間味を知ってしまったための葛藤ですよね。

クラピカもこのことは重々知っていたわけだ。団長の命令は優先されるが命はほかの団員よりも無条件で優先される存在ではなかった。

この時点で団長はゴンやキルアと同じ「人質」という存在ではないことが明らか。でも、実際に交渉に赴いたのはパクノダ一人、この矛盾をクラピカは心の隅においやり見て見ぬふりをしてしまう。

ヨークシンシティ編
出典:HUNTER×HUNTER13 冨樫義博

このクラピカの葛藤を見ても今編のメインはやっぱり旅団なんですよね。しかもクラピカはウボォーギンを倒してはいるものの、結局旅団をとり逃してしまう。

念を習得してまだ日の浅いクラピカが戦闘能力は同等、もしくはそれ以上の力を得たが経験値までは補えない。

しかも旅団の生い立ちを考えれば一枚も二枚も上手なのは明らか。団長クロロの頭脳が今回の勝敗を分けることになったと言える。

しかし、クラピカの敗因はこれでだけではない。奇術師ヒソカによる巧妙なウソがクラピカの思考を鈍られていたのである。

ヒソカのウソ

ヒソカのウソ、それはクラピカと裏取引の交渉をしたシーンに描かれています。ヒソカは団長を戦うため、クラピカは旅団を殲滅させるため、お互いの利害の一致から組むことを決めた。

ヨークシンシティ編
出典:HUNTER×HUNTER9 冨樫義博

このときヒソカはクラピカを説得するためにこんなセリフを言う。

頭を潰さない限り旅団(クモ)は動き続ける

まさに悪魔の囁き。

3年前ほど前から入団しているヒソカは当然旅団の「鉄の掟」は知っているはず、にもかかわらずクラピカには「頭を潰さない限り」と、まるで団長のための暗殺集団であると明らかなウソをつくのである。

ヨークシンシティ編
出典:HUNTER×HUNTER9 冨樫義博

頭さえ潰せば旅団は瓦解する

ヒソカのウソがクラピカを最後の最後で苦しめる。クラピカが思っていた、いや、そう思いたいという願望がヒソカの裏取引のあのセリフで疑うことなく信じてしまったのだろうか。

沈着冷静なクラピカはそこにはいなかった。仲間の復讐のために理性がぶっ飛んでいたのが今回のクラピカの精神状態だった。

その軽率な行動には明らかに焦りがあったわけだが、そこを見透かしたヒソカの巧妙すぎるウソが勝っていた。ここらへんの心理描写は圧巻。

壮大なる伏線

最後はおまけコーナー、ヨークシンシティ編は幻影旅団がメイン回なので現在連載途中の暗黒大利編の伏線となる設定が随所に散りばめられています。

たとえばクロロの技にあったサンアンドムーンという爆弾技は、かつて流星街出身者が冤罪にかけられその報復のために、人間爆弾としてテロを起こした事件が今編に描かれています。

単行本の11巻。

ヨークシンシティ編
出典:HUNTER×HUNTER11 冨樫義博

これ、あきらかにサンアンドムーンによるテロでしょうと、伏線がヨークシンシティ編で描かれていたことにビックリ。また、流星街の住人の特徴を「他人よりも細く家族よりも強い」絆と分析していました。

旅団の行動理念とはなにかと問われれば、まさにこの説明がピッタリだと思います。仲間を想い泣くことができる一方で、旅団のために個人の命の重さを軽んじる集団、暗黒大陸編での旅団の運命も描いてほしいと切望。

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