俺ガイル13巻の感想です。12・13・14巻と最終回へ向けた上中下巻のような構成で話はすすんでいきます。
13巻ではプロム実現の行方、雪乃のお願い、そして三人の関係性と、ラストへ向けてそれぞれの想いが描かれていきます。
そんなわけで、俺ガイル13巻のストーリーを振り返りながら、アナブレなりに読み解いていこうと思います。
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俺ガイル13巻あらすじ・ストーリー
まずは俺ガイル13巻のあらすじをザックリと見ていきます。ストーリーの流れを整理することで、三人の関係性をより理解してきます。
13巻では、雪ノ下母によりプロプ中止騒動がどうなっていくのかが話題の中心として、八幡はじめ各キャラの想いが描かれていきます。
平塚先生と八幡の決意
プロム中止騒動に手を差し伸べてくれたのが平塚先生。平塚先生は問題児といってもいい八幡をいつも見守ってくれた、俺ガイルの裏ヒロイン。
平塚先生のナイスアシストもあり、学校側は雪ノ下母(保護者会)の抗議から、すぐにプロプ中止という決断は避けた。つまり、プロム再開の可能性がワンチャンでてきた!
雪乃たちは、問題のある個所を修正する方向で保護者会と折り合いをつける作戦だったが、それだけでは弱く、プロム再開は微妙なライン。
そこで八幡は協力を打診するも雪乃は断る。八幡に頼らずプロムを成功させること、なにより、「見守ってほしい」とお願いされていたことから、八幡は強引には関われない。
それでも八幡は雪乃に関わり合う
雪乃のお願い。これは12巻にて雪乃の口から明かされました。八幡たちの協力を断った雪乃、彼女のお願いが本心なのかは別として、彼女なりに出した答え。
私の依頼はひとつだけ。あなたたちに、その最後を見届けてもらいたい。
出典:俺ガイル12 渡航 小学館
八幡への依存気質、この歪な関係を断ちたいと考えていた雪乃。プロムに参加したのも、八幡の協力なしに成功させることで成長しようとしていた。
けど、八幡はそれでも雪乃に関わりを求めようとします。それは八幡が考え抜いて出した最終的な答えだから。
つまり、雪乃への直接的な協力はしない(雪乃は絶対断るし)、だから、八幡は彼女と対立するというポジションで、八幡なりに関わり合っていった。
雪乃の自立性と独自性を担保しながらも八幡が関わる方法、雪乃は雪乃のやり方で、八幡は八幡のやり方でお互いプロムを実現させていく。
そして、この勝負に勝ったほうが、相手に何でもいうことを聞かせる約束をする。奉仕部で最初にかわした勝負が、プロムの結果によって決まる。
私は私のやり方で、あなたはあなたのやり方でプロムを実現させる。勝負に勝てば言うことをひとつ聞かせる、いいわよね?
出典:俺ガイル13 渡航 小学館
八幡のプロム案と結果
八幡が考えたプロム計画は当て馬作戦。雪乃のプロム案とは別にプロム案を打ち立てるが、それは保護者会の交渉に使うためのダミー。
二者択一にすることで、雪乃の案を保護者会に納得させ、プロムを実現させる計画だ。八幡は、結衣や材木座らに協力を仰ぎ、ダミー案を作り込み雪ノ下母にぶつける。
当て馬を立てるのは悪くない手だけど、少し粗が目立つわね。それに選択肢が増えても、根本の問題が解決されていなければ難しいとおもうけれど
出典:俺ガイル13 渡航 小学館
交渉するまでもなく雪ノ下母にバレてしまい、浅知恵とも言うべき八幡のダミー案はもろくも崩れ去る、、、はずだったが、八幡はこれを見越し奥の手を隠しもっていた。
それは、入学式当日の出来事。犬を助けようとした八幡が雪ノ下家の車に引かれた交通事故を雪ノ下母との交渉の席で持ち出すこと。
これにより、雪ノ下母を妥協(納得ではなく)させることに成功、プラム続行が実現した。そして、雪乃と八幡の勝負も決着の日を迎える。
雪乃のお願いごと
雪乃の案が通ったことで、プロムの勝者は雪乃に軍配が上がった。そして、雪乃の「お願いごと」が明らかになった。
こんな紛(まが)い物みたいな関係性はまちがっている。あなたが望んでくれたものとはきっと違う
出典:俺ガイル13 渡航 小学館
雪乃は紛いものな三人の関係を終わらせるために、自ら引くことを決断する。八幡への気持ちを言葉にすることなく。
雪乃のお願い、それは
由比ヶ浜さんのお願いを叶えてあげて
出典:俺ガイル13 渡航 小学館
このお願いに八幡は首を縦にふった。
俺ガイル13巻あらすじまとめ
三人の関係性がこのまま終わるはずがないというのが13巻を読んだ感想です。少なくとも雪乃のお願いは明らかな妥協です。
そして八幡も同じ。それは、陽乃や葉山が八幡の本心をグリグリと抉っていたことからも分かります。痛い部分だからこそ、八幡は顔を歪めた。
これが、八幡が望んでいた「本物」ではないのは明らかです。雪乃のお願いを聞き入れた八幡が、ラストへ向けてどう動いていくのでしょうか。
俺ガイル13巻の読み解き考察
前半部分は俺ガイル13巻のストーリーをざっくりと整理してきました。細かい部分はラノベで確認するとして、ここからはより深く見ていきます。
13巻で個人的に気になったのは、八幡と葉山のやり取り、由比ヶ浜が選ばれる可能性、そして、雪ノ下の願いの真意の三つです。
- 八幡と葉山のやり取り
- 由比ヶ浜が選ばれる可能性
- 雪ノ下のお願いの真意
この三つを考えていきます。
八幡と葉山のやり取り、大嘘の真意
13巻では葉山の意地悪さ、八幡にだけみせる彼の本性が描かれていましたが、それによって八幡の想いというのも明らかになったように思います。
八幡が嘘を取りつくろってまでも、胸の奥底に押さえつけていた想いとは雪乃への想いです。そして、それを指摘したのが葉山であり陽乃。
六章「人知れず、葉山隼人は悔いている。」における、公園でかわした八幡と葉山の会話を考えてみたい。八幡が雪乃を助ける理由を話す場面です。
雪乃が助けを必要としなくても、それでも八幡は手を差し伸べるのは、陽乃が指摘した「共依存」ではないことを証明するためだと言います。
あいつが助けを必要としなくて、それでも俺が助けたいと思うなら、それは共依存なんかじゃない。それが証明できればいい
出典:俺ガイル13 渡航 小学館
しかし、これは八幡の建前。葉山は八幡の本心を知りながらも、彼の口から言わせようとします(ほんとイヤな奴ですねw)。
ですが、八幡が口にした言葉は「男の意地」という大嘘、葉山に対して堂々とはぐらかしたのです。
では、このとき葉山が八幡に言わせたかったのは言葉とはなんだったのか。雪乃への想い。好き、恋、恋愛といったところでしょうか。
ですが、八幡ははぐらかし続けます。それは陽乃との会話でも同様です。本当の気持ちを分かっていながら、すっとぼけをかまして最後まで口にしない。
最終巻となる14巻では、この八幡の想いが焦点になりそうです。八幡の本当の気持ちを雪乃のぶつけることができるのか否か。
由比ヶ浜が選ばれる可能性
皮肉にも葉山や陽乃との会話で、具体的な言葉が一つとしてでなくても、八幡の気持ちがアリアリを分かってしまったために、由比ヶ浜ルートがほぼ詰んでしまいました。
そして、結衣は雪乃とも今まで通りの関係でいたいと思っています。雪乃に言った「みんな欲しい」とは、今の関係も、好きな人へ想いを伝えるのも、みんなみんな叶えたい。
そこには、雪ノ下雪乃という面倒くさい女の子がいるからです(笑。雪乃の気持ちを聞けば拒絶し否定する、そして、結衣が本当の気持ちを言葉にしたら雪乃は自分の気持ちをを引っ込めてしまう。
雪ノ下の最後のお願いが「由比ヶ浜のお願いを叶えて」というもの、結衣の気持ちが分かっているから。でも、結衣にとってはそれが雪乃の本当のお願いじゃないことは知ってる。
だから、結衣が八幡に告白することはない。だって、結衣はずるい子だから、みんなほしくて、そこには八幡と雪乃の二人がいないといけないから。ん~複雑です。
由比ヶ浜結衣はみんな欲しくて、ずるがしこくて、でも、優しくて、思いやがりがあって、かわいい女の子なんだよな。彼女の一番のまちがいって、八幡を好きになったってことじゃないかwww
雪乃のお願いの真意
雪乃のお願いについても考えていきます。雪乃のお願いは本心ではないのは明らかです。雪乃もまた結衣のことを考えて、自分の本当の気持ちは絶対に言いません。
それぞれが、それぞれのことを想い本当のことは言わない。これが八幡たちが望んでいた「本物」の関係なんでしょうか、うんにゃ、断じて違います!
雪乃のお願いは、誰も傷つけることなく三人の関係を終わらせる方法です。雪乃の妥協に八幡が気づかないわけはなく、このまま自然消滅ってのはさすがにないはず。
俺ガイル14巻・最終回に向けて
13巻では雪のの最後のお願いが明らかになりました。それを聞き入れた八幡。ただ、それは明らかに八幡が言っている本物では断じてない!
三人の関係がこんな中途半端な、気持ちの悪いラストに八幡は納得するのか、彼の性格からして納得するわけがない。
八幡はどんな無茶苦茶な方法でもお願いを叶えてきた奴です。間違ったやり方かもしれないけど、それが八幡流。そして結衣は絶対幸せになってほしい。
つづく
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