この作品は、2019年に公開されたダンまち劇場版。シナリオは原作者の大森藤ノさんですが、ストーリーは完全オリジナル。
そのため、原作との矛盾というか気になる部分は確かにある。あるけども、原作とは別作品として考えば十分に楽しめる作品。
ただ、オリジナルとはいっても、原作とのつながりもあって、このタイミングで観ると、かなり深い伏線が散りばめられているんですよね。
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ダンまち「オリオンの矢」のあらすじ
原 作 | 大森藤ノ |
監 督 | 桜美かつし |
制 作 | ワーナーブラザーズジャパンほか |
時 間 | 82分 |
公開日 | 2019年2月 |
オラリオの安寧を祈る神月祭の日、ヘルメスが人々を集め、なにやらイベントを開催していた。なんでも、伝説の矢を引き抜いた者に、貞潔たる女神の祝福が約束されるというのだ。
多くの冒険者が挑戦するも矢はビクともしない。そして次なる挑戦者はベル。矢に手をかけると、どこからか「見つけた」と女性の声を聞く。
矢に選ばれたことで、貞潔たる女神アルテミスの祝福をもらえるはずだったが、アルテミスの話を聞くうちに、クエスト依頼へと進んでいく。
現在、オラリオの外で発生しているモンスターの討伐、その敵は伝説の矢、オリオンの矢でしか倒すことができないという。
ヘルメスはアルテミスの依頼の仲介役として、伝説の矢に選ばれる冒険者を探しており、そしてベルが選ばれた。
厄介ごとに巻き込まれたものの、困ってる神さまを見捨てるわけにもいかず、ベルたちはモンスター討伐クエストの参加を決めた。
目指すはオラリオから離れた大陸の果て、エルソスの遺跡!この場所でベルたち冒険者にどんな試練が待ち受けているのか!といった話。
オリオンの矢とギリシャ神話
ダンまちは「ギリシャ神話」がモチーフになっていることはよく知られていますよね。登場キャラの名前はもちろんストーリーも。
たとえば、ウィーネたち異端児(ゼノス)回で登場したダイダロスの設定は、まんまギリシャ神話をがモチーフになっていました。
で、今回の劇場版もギリシャ神話をモチーフにしたストーリーでした。そこで、元ネタとなるギリシャ神話をまずは紹介してきます。
アルテミスにまつわるギリシャ神話
題「アルテミスと死せるオリオン」
ギリシャ神話において、アルテミスは狩猟と貞潔の女神として描かれています。貞潔の女神、これは劇中に登場していたアルテミスも同じ設定でした。
ちなみにダンまちには「三大処女神」がいます。アルテミス、ヘスティア、アテナの三人。アルテミスとヘスティアが無二の神友なのも納得ですw
ダンまち的三大処女神- アルテミス
- ヘスティア
- アテナ
そんなアルテミスですが、ある日恋に落ちちゃいます。その相手こそオリオン。ダンまちでは「オリオンの矢」に選ばれたベルがオリオン役でした。
アルテミスとオリオンは深く愛し合いますが、そんな二人の中を邪魔するバカ野郎が登場します。アルテミスの兄アポロンです。
アポロンは妹に対しては「おま、処女神だろ」と怒り、オリオンに対しては、粗暴な性格が嫌いという理由で二人の仲を裂こうとします。
破局計画にアポロンが選んだ嫌がらせの道具がサソリでした。そして、最後はサソリの猛毒がついた弓でオリオンを射抜き殺してしまうんです。
この神話には処女神アルテミスと、その彼氏であるオリオン、そして、オリオンを死に至らしめたサソリの毒が登場するんです。
敵がサソリだったのも神話が元ネタ
これを踏まえて劇場版を見ていくと、アルテミスはまんま、オリオンはベルに、そして、敵としてサソリが登場してました。
出典:劇場版ダンまち オリオンの矢 myシアターD.D. |amazon primevideo
サソリ型モンスター
敵モンスターがなぜサソリかといえば、ギリシャ神話をモチーフにしてるから。ちなみにアンタレスとはサソリ座のことを指します。
ギリシャ神話では、アポロンの策略でアルテミスがオリオンを弓矢で殺しますが、劇中ではアポロン役のベルがアルテミスを殺すという逆の関係性になってるのは印象的でした。
ちなみに、ここでは「殺す」という言葉を使ったけど、エルメスが言っていたように、正確にはアルテミスを「救った」といったほうが正しいかな。
神の力を手に入れたモンスター
これは女神を殺す物語じゃない
きみが泣いている女の子を救ってあげる物語だ
といってるように、この作品でのベルの立ち位置は神殺しではなく、一人の女の子を救うお話し、英雄譚といってもいいかもしれない。
アンタレスの強さとパワーバランス
個人的にはすごくよかったと思ったんだけど、ネットの評判を読むとやや低い。その理由がアンタレスとベルたちとのパワーバランス問題。
なるほど、確かに一理ある。たとえば原作との時系列で考えてみると、原作でいえば5巻あたりの話を描いているはずです。
ベルたちはまだ教会に住んでるし、リリスケらとパーティーは組んでるけど、ファミリアには加入していない状況、けっこう序盤の話です。
けど、アンタレスときたら古代の大精霊によって封印されたモンスターであり、今まで力をため込んできた。大精霊の封印も打ち破るほどの力を。
さらには、女神を取り込み自分の力として操ることさえできている、つまり、これってもしかして異端児(ゼノス)なのかと思ったりします。
漆黒のモンスターといえば...
出典:劇場版ダンまち オリオンの矢 myシアターD.D. |amazon primevideo
アンタレスの容姿で一つ気になったのが色です。黒いモンスター。黒いモンスターといえば、ベルの永遠のライバルであるアステリオスです。
ベルを決着をつけるために生まれ変わったミノタウロスの異端児。彼の容姿もまた漆黒の皮膚をまとっていたんですよね。
アンタレスがイレギュラーな存在なのは確か、大昔に生まれたサソリ型モンスターの異端児がアンタレスの正体なのかもしれない。
となると、なおさらアンタレスの強さは、劇中時点のベルの力では太刀打ちできない相手だったように思うんだよね。
オリオンの矢で殺せるにしても、その前にアンタレスの攻撃を受けきれない(一撃即死)はずで、そこは違和感あったかな。
アルテミスの神の力とラスト解釈
もう一つ気になるのがアルテミスの最後。アンタレスが下界を滅亡させるほどの力を持ったにも関わらず天界はなにもしなかった。
ロキのセリフにあったように、下界を滅亡させるほどの力を使った神は強制的に送還されるはず、でもアルテミスは送還されなかった。
ってことは、アンタレスはアルテミスの送還される力さえも封じていたことになります。まさにイレギュラーな事態です!
出典:ダンまち2 10話 myシアターD.D. |amazon prime video
天界に送還されるイシュタル
なんらかの理由で下界にいる神さまが天界へ送還されるとき、天に向かい光の柱が現れます。たとえばダンまち2期でのイシュタルとか。
出典:劇場版ダンまち オリオンの矢 myシアターD.D. |amazon primevideo
アンタレスに囚われていたアルテミスの神の力が解放され、光の柱が出現。つまり、アルテミスは天界に送還された。
ただ、神さまが天界に送還される=二度と下界には降りてこられないルールがあるため、アルテミスは永遠に人間との交流ができない(はず)。
ならラストのベルとの約束はどう解釈したらいいのか。あのときアルテミスは「生まれ変わる」と言ってたけど、これって輪廻転生のことだと思う。
原作では、神さま、モンスター、そして人間も死んでも生まれ変わるという世界観があります。ベルの好敵手アステリオスがそのいい例。
ラストでのアルテミスのあのセリフ...
生まれ変わった人間がこの下界にはいる
きっと、あなたとまた巡り合える
だから、次にあったときには一万年分の恋をしよ
生まれ変わった神さまなら下界に降りれる設定があるとか?そこらへんの設定は不明。ただ、アルテミスは再び出会えることを確信していた。
ダンまち劇場版「オリオンの矢」まとめ
アンタレスとベルたちのパワーバランス問題は気になるものの、オリオンの矢+アルゴノゥトによるコンボ技の盛り上がりはかなりよかった。
原作と劇場版を別作品として観れば普通に楽しめるし、ラストの感動は思わず涙がこぼれ落ちる感動ストーリー、もちろんエチエチシーンも満載!
ちなみに、この作品無料で観れます。アマゾンプレミアムで観れるし、アベマTVなら期間限定だけど誰でも無料で観ることができます。
ダンまち劇場版「オリオンの矢」視聴情報 | |
アマゾン | アマゾンプライム |
アベマTV | 期間限定(8月末まで) |