心霊・オカルト

必ず霊に遭遇するという心霊スポット・千葉県にある八柱霊園を検証

八柱霊園 霊 検証

ノンフィクション作家・森達也が2012年に出版した『オカルト』は、綿密な取材と客観的な立場から超常現象に迫った傑作だ。

歴史を振り返れば超常現象についての科学的な解明は幾度となく試みられてきた、が、その反応はあまりよろしくない。

映画『リング』のモデルになった高橋貞子(さだこ)が被験者として参加した千里眼実験も、実験の不手際を指摘され、マスコミから「インチキ」としてバッシングを受け失敗に終わっている。

世界でも状況は似たようなものである。デューク大学超心理学研究室のジョセフ・バンクス・ラインは実験心理学を取り入れ超常現象を解明しようと「超心理学」を提唱する。

一時超心理学を研究する機関や研究所は増えたものの批判も多く、科学的反証はお世辞にも成功とはいえなかった。

つまるところ超能力や心霊現象は今でも「よく分からない現象」なのである。いや、人間の思い込みや錯覚(トリック)などを考慮すれば体験者が話す(あるいは見た)現象そのものすら疑うべき対象なのである。

スタッフHの証言

この本では著者の長年にわたる取材記事もふんだんに盛り込まれているが、その中の1つ、仕事で知り合ったHさんに紹介してもらった、

幽霊が当たり前のように存在する場所

が登場する。その場所とは千葉県松戸市にある東京都立八柱霊園。怪談・ホラーの類のほとんどはネタや作り話が多い。

が、本書は実際の取材や超常現象に関する書物を調べ上げた上で書かれていることもあり、ここで取り上げていることは非常に興味深い。つまり、この場所は日本でも有数の幽霊が頻繁に目撃できるガチな場所なのではないか。

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東京都立八柱霊園

松戸市に所在する東京都立八柱霊園は昭和10年7月に東京都民の霊園場所として開園される。敷地面積は105ヘクタールに及び、園内には嘉納治五郎や松山恵子などの著名人の墓があることでも知られている。

北総線松飛台(まつひだい)駅を下車して徒歩15分のところに霊園はある。この八柱霊園での心霊体験は噂やネットで昔から話題になっていたそうだ。

「あそこの霊園の十三区で女の人のうめき声を聞いた」「四区で女性の霊が出るらしい」「肝試しにいったら白い?ワンピースの女性を仲間数人が見た」といった類の目撃談があとをたたない。

ここで挙げた体験談から気づいた人もいると思うが、多くの体験談に四区十三区というキーワードが出てくるのである。ここで東京都立八柱霊園の公式サイトの敷地図を見てみることにする。


出典:都立霊園公式サイト|公益財団法人東京都公園協会

この霊園は一区から二十九区までの区画があり、幽霊の目撃談が多いのがその中でも四区と十三区に多いということである。だが、ここで1つの疑問が生じる。

もう一度敷地図を見ていただきたい。「正門」「東門」と決まったところから入門しなければ園内には入れないことが分かる。つまり、この霊園はいつでも入れるわけではないのである

八柱霊園を管理する公益財団法人東京都公園協会の公式サイトで確認すると、入門時間が決まっており八つある出入口の門は17:30分になるとすべて閉められる。

調べていくと10年以上前は入門時間はなかったのだが、当時サラリーマンを狙ったおやじ狩りが多発し治安が悪かった、それを受けてか閉門時間を設けるようになったという。

しかし、未だにネットに書きこまれる八柱霊園の心霊体験には必ずといっていいほど「深夜園内で」「深夜車で肝試し」といったワードばかりが出てくる。つまり、その多くの体験談がウソや作り話である可能性が高くキナ臭いのである。

それでもなにかがいる

ではネットなどで囁かれている八柱霊園の心霊現象がすべてウソなのかと言えばどうもそうともいえないのである。なぜなら森達也の『オカルト』によれば、八柱霊園で実際に霊と思しきモノに遭遇したことが書かれているからである。

「軍人ですね」
じっと梢(こずえ)を見つめながら秋山が言う。
「みな軍服を着ています。第二次世界大戦ではないですね。もっと前です。第一次世界大戦かな。まだ汚れていません。きれいな軍服です。サーベルを下げています。陸軍かな。」
出典:オカルト 森達也

森達也が八柱霊園を訪れたのは19時頃。門は施錠され中に入れなかったため、仕方なく園外周辺を散策することにしたという。

というのも幽霊が出るとされる四区十三区はちょうど舗道と霊園のかこいを1つ挟んだところにあるため、園内に入らなくても霊感の強い人なら違和感を感じるのだというのである。

東京都立八柱霊園
出典:都立霊園公式サイト|公益財団法人東京都公園協会

このとき森と同行していたのが霊感の強い秋山という男。そもそも八柱霊園に来る前からおかしなことは起こっていた。

霊園探索はもっと早い時間に行う予定だったのだが、道中、突然カーナビの調子が悪くなり到着時間が大幅に遅れていたのだ。そのため、園内には入れずしかなたく舗道から探索することになったのである。

「つまり今、ここにいるんですよね」
「います」
「軍人が」
出典:オカルト 森達也

森が聞き返すと秋山が「います」と断言する。四区と十三区共に幽霊がいたと秋山は躊躇なく断言する。だが、同行した森はこのときに何も見えなかったという。

証言

東京都立八柱霊園
出典:都立霊園公式サイト|公益財団法人東京都公園協会

四区と十三区に幽霊がとりわけ出やすい理由はなんなのか。推測の域を出ないが、四区は近くに納骨堂があり十三区には貯水池がある。この場所で幽霊の目撃談が絶えない理由ではないかという。水回りに幽霊が集まりやすいのは信憑性はともかくよく聞くところである。

今回幽霊が頻発する場所として登場した八柱霊園だが、森達也氏のレポートを読むかぎり「霊感のない人にとっては霊が目の前にいるとしても見ることができない」可能があり、正直なところ実証のしようはない。

ただ情報を提供してくれたHさんの地元が松戸市で、この周辺の高校に通ってたというのだが、彼によると

街角でもよく見かけましたよ。当たり前のようにいます。だからあのあたりに住んでいる人は、お化けが特別なものとは思っていません
出典:オカルト 森達也

と真顔で話していたという。

オカルト 森達也
文庫: 377ページ
出版社: 角川書店
言語: 日本語
ISBN-10: 4041041074

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