世界腫がグリムガルを覆うなかで、もがく人間族の姿を描いた前回。多くの義勇兵が、世界腫により死亡していきました。
作者曰く最終章という話でしたが、もう少し本作は続くようです。世界腫を滅ぼすために不死の王はじめ各種族が動いていく。
グリムガル20巻の時間軸整理
最終章では時間軸が前後して描かれたりしているので、まずは時間軸を整理。本作ではA660年1月22日あたりからはじまります。
さらに、18巻の最終章(937日後)の中でランタとユメの子どもが登場していましたが、ここらへんも詳しく描かれます。
ハルヒロたちの動向
総帥ジン・モーギスがオルタナを放棄しリバーサイド鉄骨要塞に敗走したのをきかっけに、世界腫が雪崩込みオルタナは陥落。
人間族は拠点を失います。前巻では、リバーサイド鉄骨要塞まで逃げてきた各クランと世界腫との猛攻を描きました。
ただ、リバーサイド鉄骨要塞も危うくなった各クランたちは、ワンダーホールへと、さらに敗走することになります。
20巻では、オルタナに戻ってきたハルヒロたちの動向をメインに描きます。その中で、各クランの生死も判明していきます。
- 世界腫だらけのオルタナを捨てる
- リバーサイド鉄骨要塞目指す
- リバーサイド鉄骨要塞も世界腫だらけ
- ワンダーホールに行くことを決める
ハルヒロたちの世界腫から逃げる旅では、19巻で描かれたモーガンと、だいたい同じ道順を辿ることになります。
この道中で、ユメの師匠イツクシマと狼犬ポッチ―が世界腫(闇夜纏い)から逃げきれず死亡。生き残れたのはハルヒロ、ユメとランタの三人。
グリムガルの「古伝」が本作の鍵
グリムガルには、誕生してからの歴史が「古伝」として残されていることが明かされます。聖書や古事記みたいなものと考えればよろし。
そこには空と海しか存在しなかった。からはじまる古伝では、名もなきもの、竜、二柱、先の人びとなどが登場します。
クリムガルに伝わる「古伝」
あるとき、人のような姿をした名もなきものが、海の向こうから出現し大陸を形つくり、そこに先の人びとが生まれ生命が溢れた。
しかし、空から原初の竜が舞い降り、名もなきものは追いたてられ、竜は大陸を寝床に深い眠りにつくことになる。
竜は眠りつづけ大陸に平穏が続くが、空と海の彼方から二柱の神々が現れた。二神は先の人びとを従え争います。
戦いの騒がしさに竜が目覚め、二神と戦うも終わる気配は見せず、憐れんだ名もなきものは、天上より赤い星を降らせた。
赤い星は竜に落とされたが、その欠片は地下に根を張り、黒い腫れ物となった。黒い腫れ物は大陸にはびこった。二神は腫れ物に埋もれて姿を隠し、竜はふたたび寝床にもぐりこんだ。
出典:灰と幻想のグリムガル20 十文字青
赤い星は竜に撃ち落とされますが、その欠片は地下に根を張り、黒い腫れ物となって大陸中にはびこります。
二神は腫れ物に埋もれ姿を隠し、竜はふたたび寝床にもりぐこむ。しかし竜は力を使い果たしていたので寝床で朽ち果てた。
ワンダーホールと世界腫
ワンダーホールに逃げ込んだハルヒロたち。どういうわけか、世界腫はここまで入り込んでくることはなかった。
世界腫から逃れるためワンダーホールに来た人間たちは、生き延びることができたようだ。ハルヒロたちもまた生き延びた。
ワンダーホールを探索するハルヒロたちに、懐かしのクランと合流。ワンダーホールにはソウマら暁連隊が居ることも判明します。
諸王連合との一連の戦いの最中、ソウマたちはワンダーホール経由で、不死の天領に入り込み動向を探っていたという。
各クランの生存状況
- 暁連隊
- チーム・レンジ
- トッキーズ(トキムネ死亡)
- 荒野天使隊(ワイルドエンジェルズ)
- 狂戦士隊(バーサーカーズ)
- 鉄拳隊(アイアンナックル)
各クランメンバー全員が無事というわけではなかったようです。トッキーズのトキムネをはじめ、何名かは犠牲になっていた。
暁村と一時の安らぎ
ワンダーホールには出入口が六つ発見されているんですが、その一つの近くに暁連隊の拠点を設営。その名も「暁村」。
暁連隊の「暁」から名前をとった村だ。ハルヒロたちは、この村で自給自足の生活をしなが、しばらく英気を養うことにします。
この幾ばくかの安らぎのなかで、18巻で描かれていた、ランタとユメの赤ちゃんの出産シーンが登場します。
子どもの名はルオン。「繋がる」という響きをイメージして付けたようです。人間族の次代の希望の意味が込められていた。
情勢激変!不死の王との協定
不死の王が願うのは争いのない世界。そこで、世界腫を滅ぼすという種族の垣根を超えて戦う作戦を考えつきます。
各種族との共闘で不死の王が見据えるのはその後のグリムガル。各種族がこの戦いをきっかけに平和的な棲み分けを目論みます。
ただ、そう簡単ではない。不死の王が五公子に裏切られたように、世界腫を倒した後の世界に平和が訪れる保証は誰にも分らない。
とはいえ、今や少数種族の人間族が単独で生き抜くのは不可能。そのため、不死の王と協定を結び、共に世界腫と戦うことにした。
作戦名は「星落し」。人間族をはじめ、あらゆる種族が不死の王と共に世界腫を滅ぼす戦いが、今はじまる!
新・五公子の現状
新五公子 | 現状 |
イシ王 | 裏切り者。戦いに負け不死の天領から敗走 |
デレス | 裏切り者。戦いに敗北 |
ギャビコ | 不死の王の側近として活動 |
アーキテクラ | 不死の王の側近として活動 |
セトラ | 新たな公子として不死の王の側近 |
クザク | 新たな公子として不死の王の側近 |
レスリー | 動向不明 |
裏切り者のイシ王とデレスを排斥し、セトラとクザクが新たな五公子として、迎え入れられることになります。
世界腫が消滅した世界で起きたこと
不死の王の作戦は成功し、世界腫はグリムガルから消滅します。しかし、その後予想外の展開が起こります。世界腫の消滅後の現れた二つの光。
光明神ルミアリス神と暗黒神スカルヘルの二柱。神の出現に呼応するように、人間族が個人の意志とは無関係に争いはじめます。
暗黒神スカルヘルを信仰するランタは、自分が自分でなくなるとを察し、ハルヒロに「殺してくれ」と頼むのだった。
グリムガルの「古伝」との繋がり
赤い星は竜に落とされたが、その欠片は地下に根を張り、黒い腫れ物となった。黒い腫れ物は大陸にはびこった。二神は腫れ物に埋もれて姿を隠し、竜はふたたび寝床にもぐりこんだ。
出典:灰と幻想のグリムガル20 十文字青
グリムガルの古伝では、黒い腫れ物と二神が登場します。黒い腫れ物=世界腫、二神=光明神ルミアリス神と暗黒神スカルヘル。
と考えると、世界腫が消滅したことで、埋もれていた二神が姿を現すことになった。詳しくは本作を読むとして、古伝をなぞっていたのは確か。
厄災のハルヒロ
ハルヒロは一人、戦場から離脱し逃げた。逃げて逃げてオルタナへと戻り、気づけば荒廃したオルタナにいた。
あてもなく歩くハルヒロが立ち止まったのは開かずの塔。そこにいたのは、当の主:アインランド・レスリー。
レスリーは出血こそしていないが、体中が傷つき瀕死の状態にあった。彼をここまでにしたのはシホルだという。
そうだ・・・あれは・・・魔法を・・・誰も考えつかなかった方法で・・・完成させた
出典:灰と幻想のグリムガル20 十文字青
シホルは凄い魔法を完成させ、レスリーを瀕死にし飛び去ったという。そんなレスリーは、ハルヒロに助けを求めます。
近づくハルヒロに、レスリーの口から褐色の腐食した手が飛び出し、ハルヒロの口の中に強引に侵入するのであった。
灰と幻想のグリムガル20巻ネタバレ感想まとめ
最終章は前言撤回で物語はもう少し続くみたい。賛否両論ありますが、個人的にはもう少し付きあうことにします。
メリイのように身体を乗っ取られたハルヒロ?はもちろん、ランタをはじめとする仲間たちの状況も気になりますからね。
グリムガルの一番の謎はハルヒロたちがどこから来たのか、何の目的で来たのか、そして、元の世界に変えることができるのかですよね。
鍵は「遺物(レリック)」にあり!?
これまで本作では、元の世界の匂わせ描写が登場していましたが、その詳細についてはまだまだ謎のままです。
ただ、義勇兵らは「ヒノモノ・ニホン」と呼ばれる世界から転移してきたといった逸話が登場していました。
そして、これまでニホンに戻ることができた人間を知るもはいないものの、「遺物(レリック)」が一つの鍵になりそうとも。
異界から異界へと旅することができる遺物くらい、あってもおかしくないな
出典:灰と幻想のグリムガル20 十文字青
さらに、メリイ(不死の王)によると、遺物調べに協力するともいっており、これがどう展開していくのか気になるところ??
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