南征軍の侵攻により陥落した鉄血王国、敗走するハルヒロたちの前に現れた敵軍。絶体絶命のなかで不死の王を名のったメリイ。
19巻では、不死の王を排除しようとする世界腫が世界を覆いはじめます。物語は、一変する世界の中で各種族の動向が描かれます。
グリムガル19巻の時間軸整理
まずは19巻の時間軸の整理から。前巻は、鉄血王国陥落から937日後(約二年半後)のハルヒロたちが描かれていました。
19巻では時間軸が巻き戻り、鉄血王国陥落からおよそ1ヶ月後の世界が舞台。世界腫が世界を覆いつくしていきます。
各章の数字の意味
A660年1月4日からはじまり、1月22日までの期間を数日間隔で描きます。各章に共通するのは世界腫の対処法について。
ハルヒロたちの現状
ジャンボ率いるフォルガンにより深手を負ったものの、ハルヒロたちは、黒金連山の麓に広がる樹海まで逃げていた。
ハルヒロと行動を共にするのはランタ、ユメ、イツクシマのみで、クザクとセトラとははぐれてしまったようだ。
逃げる隙を与えたのが「世界腫」の突然の出現、恐らくは、メリイ(=不死の王)を狙ってのことだと思われます。
似たような状況は11巻でも描かれてます。ジェシーランドでメリイが復活したとき、セカイシュ(このときは片仮名表記)が突然出現。
世界はわたし(=不死の王)を拒んでいる。世界腫がわたしを排除しようとする
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
目的は不死の王の排除。「排除」がどいういう意味かは謎ながら、狙いは不死の王であることは間違いなさそうです。
世界腫と遺物(レリック)
ここで、世界種に関する情報を整理。これまでに明らかになっている世界腫の特徴を、カンタンにまとめてみます。
- 世界腫の目的は不死の王の排除
- 世界腫は遺物に引き寄せられる
- 世界を覆いつくす世界腫
- 人間の姿をした世界腫もいる
- 遺物を使う世界腫もいる
これら世界腫の特徴の中で気になったのが、遺物に反応していたこと。なぜ反応していたのか気になるところ。
遺物には、エリクシルという特殊なエネルギーを持ち、このエネルギーを遺物から取り出すことができると、ひよむーが言っていた。
「この椅子は、そのエネルギー・・・エリクシルを失っているの?」
「ていうかですねえ、ぶっこ抜いたんです」出典:灰と幻想のグリムガルlevel.19 十文字青
世界腫が反応するのは、遺物が持つエネルギー、エリクシルに引きつけられていて、そのエネルギーを吸収しているとか?
クザクとセトラの現状
一方、クザクとセトラの状況といえば、不死の王の血を飲んだことで不死族になっていました。人間と呼べるのかは正直怪しい。
実際、普通じゃない。
生き返ってからは、おそらく体の中がめちゃくちゃで、頭の中もぐちゃぐちゃだった。少しずつ整理されてゆき、あるタイミングで、そっか、メリイサンの言うこと聞いてればいいんだ、と考えた
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
ハルヒロたちと一緒に逃げなかったのは、優先順位が「メリイ(=不死の王)」になっていたからと言えそうです。
ハルヒロたちのことは覚えていたものの、反応がどこかおかしい。とくにクザクは、ハルヒロを殺したい衝動に駆られていた。
オルタナの現状と義勇兵たち
オルタナの現状
オルタナにも世界腫の脅威が迫っていた。防壁の外まで黒い蠢くものが近づき、侵入されるのも時間の問題。
モーギス総帥は、オルタナを捨てることを決断。世界腫から生き延びるため、正門を開門させ脱出、リバーサイド鉄骨要塞を目指した。
リバーサイト鉄骨要塞の攻防
リバーサイド鉄骨要塞では各クランが交戦中。遺物を所有するモーギスが逃げ込んできたことで、世界種の攻撃は一層激しくなります。
現在確認できるクランとしては、
各クラン- チーム・レンジ
- トッキーズ
- 荒野天使隊(ワイルドエンジェルズ)
- 鉄拳隊(アイアンナックル)
- 狂戦士隊(バーサーカーズ)
- 所長ブリトニー(元義勇兵団事務所所長)
- 野良の義勇兵数名
- 辺境総帥ジン・モーギス
彼らの計画は、リバーサイド鉄骨要塞から脱出できたのなら、北東十キロ先にあるワンダーホール内に逃げようと考えていた。
広大なワンダーホールの内部であれば、世界腫から逃れることができるかもしれない、さらには、異界へと渡るという選択もある。
不死の王と戦争
復活した不死の王の動向もきになります。現在は旧鉄血王国にて、世界種から身を隠すことに成功しているようです。
旧鉄血王国
地上に出ると世界腫に襲われてしまうため、メリイこと不死の王は、クザクとセトラを使者として、味方を集めているという状況です。
不死の王の目的は以下の通り。
不死の天領を支配しているイシ王と大公デレス・パインの打倒である
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.19 十文字青
五公子でありながら、なぜ裏切ったのか、その経緯については不明。確かなことは、敵対している状況にあること。
不死の王と手を組む種族としては、オーク族と灰色エルフ族。そして、不死の王も転生者と呼ぶ新たな不死族を生み出していた。
不死の王が望むものと生い立ち
不死の天領を奪還する目的は二つ。居城エヴァーレストにある不死の王の肉体と、世界種を遠ざける遺物を取り戻すこと。
- 自身の肉体の奪還
- 世界腫を遠ざける遺物の奪還
五百年前に腹心である五公子のイシ王とデレス・パインが共謀し、不死の王を封印し不死の天領を占拠したそうな。
このとき、不死の王は自身の一部を逃亡させることに成功、鼠にはじまり、ジェシーやメリイのような宿主を変えていき復活を果たした。
詳しくは前巻参照
五公子の現状
五公子 | 現状 |
イシ王 | 不死の天領占拠、不死の王と決裂 |
デレス | 不死の天領占拠、不死の王と決裂 |
ギャビコ | 北辺で氷竜狩り |
アーキテクラ | 同行不明 |
レスリー | 同行不明 |
イシ王らとの戦争になった場合、ほかの五公子はどう動くのか。とくにアーキテクラとレスリーの動きがきになるところ。
灰と幻想のグリムガル19巻まとめ
オルタナに戻ってきたハルヒロたちですが、すでに街中は破滅状態、かろうじてメンターのエライザさんに会えた。
この先の展開としては、不死の天領を舞台にイシ王らと不死の王の戦争になりそうですが、人間族がどう関わっていくのやら。
ハルヒロはもちろん、不死の天領には元の世界に帰れる方法があるとソウマは言っていました。そういえば、ソウマの姿はまだないな。
暁連隊
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