クライマックスへ向けて、ストーリーがグッと動き出す今巻。これまで描かれてきた伏線が、次々と回収されていきます。
さて、18巻は、ハルヒロたちに襲いかかる絶望展開。グリムガルらしいハラハラ感のあるストーリーです。
グリムガル18巻あらすし・ストーリー
まずは18巻のストーリーを簡単に振り返っていきます。今回はドワーフ族の王国、鉄血王国が舞台となる物語。
イツクシマの帰還と鉄血王国の現状
エルフの里・影森(かげもり)が陥落し、次に狙われたのは、ドワーフ族の鉄血王国。そんな鉄血王国から使者がオルタナにやってきた。
使者はユメの師匠のイツクシマ。南征軍によるオルタナ襲撃で消息不明だったイツクシマだが、どうやら鉄血王国にいたようだ。
イツクシマ
鉄血王国に向かったのは、イツクシマの親友の安否を心配してのことだった。幸い陥落はしていなかったが、南征軍との戦いは劣勢にあった。
そこで、イツクシマが一肌脱いだ。援軍の要請をオルタナに依頼・・・だが、モーギス将軍に謁見するやいなや、捕らえられてしまう!?
イツクシマの投獄と鉄血王国の秘密兵器
イツクシマが投獄されたのは、鉄血王国の秘密兵器にあった。南征軍を食い止める強力な兵器、モーギス将軍が興味を示さないわけがない。
だが、イツクシマは鉄血王国の極秘事項をそう簡単に話すわけもなく、秘密兵器の正体を最後まで拒否した結果、投獄されてしまったのだ。
このまま平行線では、モーギス将軍の性格からして殺される。そこで、ハルヒロたちはイツクシマを説得し、秘密兵器の正体を聞き出した。
鉄血王国の秘密兵器とは「銃」。正体を知ったモーギス将軍は、使節団の派遣を即決。狙いが銃であることは言うまでもないw
鉄血王国までの道のりと最悪の状況
- 正使:ビッキー・サンズ
- 補佐:斥候兵ニール
- ハルヒロパーティー
- イツクシマ
イツクシマの案内で、鉄血王国を目指すのだが状況は一変していた。通常、遭遇しないはずのリザードマンの群れと鉢合わせしてしまう。
本来なら、黒金連山の南側を縄張りとするリザードマンだが、南征軍の進軍により南へと下っていたのだ。こうした異変はあちこちにみられた。
イツクシマでさえ予想できない状況に、一同は辟易(へきえき)するも、進む以外の選択肢はない。そして、なんとか鉄血王国へと辿りつくッ!
鉄血王国ではドワーフ族のゴットヘルドの歓迎を受ける。早速、女王と謁見し、今後の戦略を練るのだが、南征軍の本格的な進行がはじまる。
ゴットヘルドとは
鉄血王国の陥落とハルヒロたちの運命
鉄血王国の現状は酷いものだった。実を言えば、秘密兵器の銃が敵側、つまり南征軍へと渡っていたことが明らかとなる。
内部に裏切りものがいたのだ!彼らはヘズラングと呼ばれ、鉄血王国において酷い待遇を受けていた者たちだった。
ヘズラングとは
ヘズラングがドワーフ族を裏切り、銃を敵側へと持ち出していた。銃はもはや、鉄血王国だけの秘密兵器ではなくなっていたのだ。
陥落は時間の問題、正門が突破され、南征軍がどっと押し寄せる。ハルヒロたちはドワーフ女王らと国外へ逃げるも、そこには敵が待ち構えていた。
オワタ!
進む時間軸とレリック
時は流れ、南征軍による鉄血王国襲撃から937日後へと時間はいっきに進む。そこにはハルヒロとランタの姿、二人は生き延びていたようだ。
さらに、現状も激変していた。どうやらランタとユメが結婚し、子供まで授かったようなのだ。子供の名前はルオン。
だが、他の仲間はどうなったのかは分からない。そして、ハルヒロは最後に「鍵はレリック」と意味深な言葉を呟くのであった。
つづく
グリムガル18巻深堀り考察【ネタバレ】
メリイの正体と不死の王
今巻で明かされたメリイの正体。ジェシーランドで死んだはずのメリイが、ジェシーによって蘇生されました(11巻にて)。
問題は、生き返ったメリイの中にメリイ以外の「何もの」かがいること。ハルヒロたちも、メリイに対する違和感は感じていました。
メリイの姿をしているけれども、じつはメリイではなく、ジェシーなのではないかと
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
18巻で判明したのは、メリイの中にメリイ以外の何ものかがいることでした。それも一人じゃなく複数人。ジェシーもその一人です。
起点となる誰か、もしくは何ものか、これを仮にAとすると、それがBの中に入った。この時点で、Bの中にAもいる、という状態になる。次に、BがCに入る。すると、Cの中にAもBもいる
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
メリイの説明によれば、起点となるAから派生しB⇒C⇒Dと変わってく中で、それまでに寄生したものも次の寄生先に引き継がれます。
このDが今のメリイになります。ジェシーはもちろん、それ以前に、この奇妙な能力を受け付いたものたちが共存しています。
起点Aとなる「何もの」の正体
ここで問題になるのは、この奇妙な能力がだれからはじまったかです。起点Aとなったものは一体なんだったのか。
結論から言えば、
鼠(ネズミ)
です。
何ものかのはじまりは一匹の鼠。ただ、ここからが衝撃的事実なのですが、この鼠こそ不死の王であったのです。
おそらくはそうです。
そして、不死の王とは、生物をあらわす名前なのではなく、生物に生命を与える「命」そのものを指すものらしい。
わたしは命ではなかったのだろう。何か別のものだったわたしは、ついに命を形づくり、命となった。それがわたしだ。わたしは願う。末永く、ともにいきたい、と。
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
命そのものとして生まれた不死の王の望みは、ともに生きること。この「ともに」とは、グリムガルに住むすべての生物を指すようです。
不死の王と鼠の王
ちなみにですが、不死の王の最初の宿主が鼠だったことは、11巻にて、メリイが蘇生したときの記憶の中で登場しています。
わたしは一匹の鼠。鼠の王
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.11 十文字青
不死の王の死の真相
ちなみに×2、不死の王の死は、不死の王として名をあげたときの宿主・エナドと、なんらかの理由で宿主を換える状況に陥ったためとか?
不死の王を敵視していた種族に人間族などがいましたが、不死の王曰く「わたしはこの世界に嫌われている」とも言っていました。
たとえば「世界腫(せかいしゅ)」
不死の王がいるところに世界腫は現れ、排除しようとする。エナドのときもなんらかのイレギュラーが発生したのかもしれない。
エナドとは
メリイとハルヒロ恋模様
メリイの正体と、もう一つ進展したのがハルヒロとの関係です。自己肯定感が薄いハルヒロは、恋愛に対してもかなりのヘタレです。
その上、レスリーにより記憶を消され、メリイへの想いも失ってしまいました。ところが、18巻で記憶が戻り、さらにメリイとの関係も急接近!
「メリイ、おれを見て。メリイ。メリイ。メリイ!」
(中略)
「メリイのことが、好きだから」出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
突然のハルヒロの告白!
急展開にもほどがあるものの個人的には(ストーリー的に)納得です。というのも、現状のメリイは自己が危うい状況です。
そんな中で、恋愛というハルヒロとの強い絆で自己同一性を保とうとする流れは、説得力があったように思うんですよね。
少なくとも、メリイはハルヒロが好きという想いによって、自己が消えることはないと思ってるんだけどね・・・
不死の王が望むものとグリムガル
問題はメリイの中にいる不死の王が望むものはなんなのか、これが、ラストへとつながるヒントになりそうです。
わたしは、友になりたかったのだ
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
とあるように、不死の王は争いは好んでいない。まして、世界を滅ぼそうなんて一ミリも思っていませんでした。
となると、諸王連合と人間族との和平も不死の王によって可能なのか、いやいや、そんな単純な話ではないよな。
ともかく、不死の王が復活したことがフォルガンを通じて、諸王連合にも認識されました。諸王連合がどう動いたのが気になります。
937日後
ドワーフ族の国・鉄血王国が陥落してから937日後を描いた最終章。不死の王を排除するため世界腫が現れたあとの状況は描かれず。
とはいえ、気になるのがハルヒロたちの現状。まずは、不死の王によって蘇生したクザクとセトラのその後ですが、
わたしの血を分け与えただけだ
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.18 十文字青
ここで思い出すが14+巻で描かれた諸王連合の五公子。彼らは不死の王から血を分け与えられた腹心たちです。
自分の血を分けて、不死族に変える、それができるのは、不死の王と、五公子だけだ、と言われている
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14+ 十文字青
クザクたちが生き返ったのは、不死の王の血を飲んだからです。つまり、不死族になったからと思ったほうがよさそうです。
不死族になったことで、その後どうなったのか。18巻の最終章でも描かれてはいなかったので、さてさて。
灰と幻想のグリムガル18巻まとめ
18巻はラストへと向けた怒涛の伏線回収といった巻でした。もちろん、まだ明かされていないことは多いです。
気になるは、闇落ちしたようなハルヒロの言動。あの、ランタが空気を読んで口を閉ざしたってのは相当ですw
鉄血王国陥落後のグリムガルはどうなったのか?ハルヒロたちの状況は?あと1~2巻くらいでラストを迎える感じかな。
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