日本各地には、神木に纏わるいわく話はよく聞くところ。以前紹介した、東京都の砧公園近くにある切り株(神木)もそうでした。
甲府市大和町にある諏訪神社に佇(たたず)むホウの木も、昔から「祟りがある」場所として恐れられていたといいます。
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教育委員会も認める祟り
いわくのある場所や心霊スポットには、ウワサが独り歩きしただけで、信憑性がないことも少なからずあるもの。
肝試しと称して問題の場所へ行ってみると、なにも起こらないことのほうが実際多い。心霊スポットとはそんなものである。
しかし、甲斐大和駅すぐそばにある諏訪神社のホウの木に纏わる祟りは、幾度となく悲惨な事故が実際に起こっているようなのだ。
諏訪神社
この朴(ほう)の木は、日本武尊がこの地に憩った折り、杖にしたものが発芽したものと伝承されている。古来からこの神木を疎かにすると、不祥(ふしょう)の事件がおこると信じられているので、神意に逆らわないようにしている平成元年三月建立
大和村教育委員会
これは、諏訪神社に実際に設置してある説明板の文言。大和村教育委員会では、諏訪神社のホウの木の祟りについて公式に言及しているのである。
普通に怖い。ただ、こうした説明版を設置するというからには、過去にホウの木に纏わる事件や事故が発生したと同義でもあるはず。
なら、教育委員会でも恐れるホウの木の祟りとはなんなのか、さらに興味が湧いてきたので過去に起こった事件を調べてみることにした。
ホウの木に纏わる祟り
ホウの木は有名なのか、過去の事件の詳細を調べるのはそう難しくなかった。たとえば、学研から出版されている「禁足地帯の歩き方」によると、
- 1905年
ホウの木の葉で作った柏餅を食べた川久保集落の村人が集団死亡 - 1918・1929年
駅拡張工事が浮上するもホウの木の祟りを恐れ二度計画が中止 - 1953年
線路に伸びたホウの木の枝払いをしていた国鉄の作業員が謎の死亡 - 1958年
ホウの木の枝払いをしていた国鉄の作業員が謎の死亡
といった事件が過去に発生しているという。
ホウの木の祟りについては、明治期から地元民はもちろん、国鉄や企業にまで知られていた有名な場所だったようです。
特に、諏訪神社は線路に隣接していることもあってか、国鉄職員の事故が多く記録されているのが特徴といえます。
1953年、58年の事故では、枝払いに関わった国鉄職員の全員が、謎の死や事故に遭っていることから、単なる事故とは言えない。
諏訪神社のホウの木【現場】
そう考えると、現在でもホウの木はスクスクと育っており、国鉄からJRに変わったとはいえ、祟りがなくなるわけでは当然ないはず。
しかも、線路に枝が邪魔するとなれば人命にも関わる事案のため、祟りなどとは言ってられない。そこで考えられたのが次の写真である。
出典:googlemap
ホウの木の祟りを恐れたのであろうか、枝払いができないJRは、神社と線路の間に鉄骨のフェンスを設置したのである。
出典:googlemap
間近で見ると、設置した目的がホウの木を避けるためであることが分かる。枝払いできない苦肉の策とも言えますが、祟りのリアルさを物語っている。
さらに、諏訪神社本殿は文化財に指定されているのだが、ホウの木が本殿を傷つける可能性があるにも関わらず、祟りを恐れ枝払いができないのだ。
そのため、本殿の裏手にはJRと同様に鉄骨の屋根を設置して、本殿をホウの木から護る異様な光景になっているのだ。
具体的な場所
ここまでみてきたようにかなりリアルガチないわく場所。とはいえ、境内の説明版にある通り「神意に逆らわない」ようにすれば問題はない。
つまりは触らないことです。
ちなみに、諏訪神社にはホウの木のほかに松の木もありますが、松の木に触っても祟りがあるという話もありますのでご注意ください。
最後に詳しい場所の説明。甲斐大和駅(JR中央本線)を降りて、甲州市立大和小学校を目指して進んでいくと諏訪神社が見えてきます。
ちなみに、この地域には、諏訪神社という名前の神社が他にもあるため、訪れるさいには間違えないように注意してください。
また、神社の裏手にはJRが設置した鉄骨のフェンスがあることから、これを目印にすると分かりやすいです。
今まで紹介してきたように、ホウの木の神意には逆らわず、絶対にご神木には触らないことをおすすめします。
触らぬ神に祟りなし。