終盤まではすごくよかったんだけど、最終回が少し残念でした。個人的に思ったのは説明が足りなさすぎて、細かい部分がよく分からなかったこと。
そんなわけで、原作(ラノベ5巻)で補完するかたちで、アニメ1期最終回を詳しく振り返っていこうと思います。
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安全階層について
まずは、安全階層について整理していこうと思います。アニメでは安全階層についての説明をリリスケがしていました。
18階層はダンジョンにいくつか存在する安全地帯。つまり、モンスターが生まれない階層です
出典:ダンジまちアニメ版 10話
18階層はモンスターが出現しない安全な場所。つまり、この場所に行けば安全が確保されるはずでしたが実際はそうではなかった。
そこで、原作から安全階層の細かい設定を確認してみると、なるほど、ベルたちが休息していた18階層といいますか、そもそもの認識自体が違っていました。
怪物も無数に実る果実や清水を求めて来ると、アイズさんの説明にアスフィさんが補足する。西部には湖へ鎮座したこの岩島、そして中心部には幹がとてつもなく太い巨大な大樹。これら大自然の風景が、18階層の全容だった
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
彼女達の話によれば―いくら安全階層とはいえここは迷宮の中であるが故に―「リヴィアの街」はモンスター侵攻の危機には絶えず晒(さら)されている。第三級以上の冒険者が常駐しているとは言えども、異常事態(イレギュラー)が起これば、街はその都度無残に破壊されてきた
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
安全階層はモンスターが発生しないとはいえ、下層、たとえば19階層から食べものなどを求めにくるモンスターもいるため、必ずしも安全な場所とは言えないようなのだ。
また、異常事態(イレギュラー)と呼ばれる、安全階層でもモンスターが襲ってくることもあり、今回のゴライアスの襲撃も、イレギュラーの一つと言えます。
今回のイレギュラーのきっかけは?
最終回となる13話の冒頭で、ヘルメス(ヘスティアたちと一緒に同行していた神さま)がちょこっとしゃべっていました。
ダンジョンが憎んでいるのさ。こんなところに閉じ込めている俺たちをな
出典:ダンまち アニメ13話
神さまがダンジョンに入ることは禁止されているのも、こうしたイレギュラーの発生を危惧してのことでした。
「神はダンジョンに入っちゃいけないって暗黙の了解があるんだ」
「どうしてですか?」
「バレたら不味いからさ」
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
では、このイレギュラーのきっかけになった原因とは一体なんだったのでしょうか。まずは、神様が使える神威(しんい)の確認からしていきます。
神威(しんい)・・・下界の者に目の前の神物を「神様である」と直感的に悟らせる威光、要は神様達の波動だ。「神の力(アルカナム)」を使うと必ずこの波動が一定量発散され、他の神様達に筒抜けになってしまう
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
アニメを見る限りでは、ヘスティアが神威をつかったあとに地震のような揺れが発生したことから、ヘスティアに原因があるように思えます。
ですが、原作ではどうもこの認識は違うようなんです(言及はしてない)。原作では、ヘルメスのセリフに手がかりがありました。
「いや、ヘスティアのせいじゃい」
断続的な揺れが続く中、ヘルメスもまた木の上からその光景を見上げていた
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
というセリフがあり、さらには
暴走、かな。しかも今までにないほど神経質になって、オレ達に感付いた
出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか5 大森 藤ノ
感度ビンビン状態のゴライアス。ヘルメスの「暴走、かな。」というように原因については断言していません。
文脈から考えると、ヘスティアの神威というよりは、ダンジョンに神様がいると単純に気づいたことで、ゴライアスが生れ落ち18階層に落ちてきたという流れなのかなと。
ただ、イレギュラーな出来事ではあるものの、そもそもヘスティアたち神さまがダンジョンに入らなければ怒らなかった可能性も否定はできないかなと思ったりします。
ベルはどこであの武器を入手したの?
個人的によく分からなかったのが、ベルがゴライアスの上半身を吹っ飛ばしたときに使用していたあの武器(大型の刀)です。
実はこの武器、原作を読むとリリスケが見つけて、ベルに渡しているんですが、アニメではそこをバッサリカット。理解できないのも仕方ない。
ゴライアスの襲撃で負傷した冒険者たちの看護をするリリ。補給拠点となるリヴィラ(ヘスティアが香水を買った街)で薬草や武器を集めていたときみつけたのが、あの武器だったんです。
鞘ではなく布に包まれていた大剣状の塊は、磨き抜かれていない漆黒の光沢を放っており、まるで黒く染まった巨大な骨のようだ。(中略)恐らくは、リヴィラに保管されていた、とある冒険者の予備の武器だろう
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
原作からもわかるように、普通の剣ではないわけです。特に気になったのが、その形状。「巨大な骨」のような形をした武器と説明しているんです。
アニメにおいても、ここはきちんと説明してほしかったですよね。また、原作では武器や黒大剣と表記されているので魔剣ではないみたい。
ベルの復活と鐘の音
ちなみに、ゴライアスの攻撃で瀕死の状態になったベルが、どうやって復活して、あの会心の一撃を出せたのかについても補足が必要です。
もとよりベル・クラネルに他者に勝る唯一があるとすれば、それは、愚かで、幼く、かけがえのない、その一途な想いしかないのだから
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
ジャンプ方式というと分かりやすいかな。主人公が窮地に立ったときに、どこにそんな力が眠っていたんだ的な力で敵をねじ伏せる、理不尽すぎる圧倒的攻撃。
ベルの場合は憧憬一途(リアリス・フレーゼ)なんていう急成長スキルがあるので、窮地に陥ったときに実力以上の力が出やすいのかもしれませんね。
そして、会心の一撃ですが、これは英雄願望(アルゴノゥト)のチャージ技によって、最後の最後で大技を繰り出したという流れです。
英雄願望とは、ベルがミノタウロス(オッタルにより調教されたモンスター)を単独撃破したときに発現したスキル。
英雄願望(アルゴノゥト)
ですが、最終回でベルが発動していた技は確かに英雄願望なんですが、ちーとばかり異なります。まずは原作を見てみましょう!
蓄力(チャージ)を開始する。伴って、神によって刻まれし背の刻印が灼熱の色に燃え上がった。
限界解除(リミットオフ)。
神の恩恵(ファルナ)をも超克する想いの丈が、境界を突破し、英雄願望の力を一時的に昇華させる。戦局に波紋を投じる一石へと、巨人の首をはねる一剣へと。白光を収束させる蓄力(チャージ)の出力が跳ね上がった。
リン、リン、という鐘(チャイム)の音が、ゴオン、ゴオオン、という大鐘楼(グランドベル)の音に成り変わる。荘厳な鐘の音が、戦場へと高く鳴り響いていった
出典:ダンまち5 大森 藤ノ
リミットオフってヘスティアがギリギリ触れてたけど、実はこれがすごく重要なワードです。
ベルが立ち上がったときに鐘の音が鳴っていたのも英雄願望による演出です。チャージする時、鐘の音がなる仕様です。
ただしリミットオフ、つまりリミット(制限)がオフ(解除)すると物凄い鐘の音が鳴り響きます。アニメで鳴っていたのはその音です。
チャージできる時間は無限ではありません、レベル2のベルがチャージできる時間は2~3分程度(レベルによりチャージタイムは増える)なんですが、このときはその時間を超えた。
リミットオフにより通常よりも長い時間チャージされた力は、ゴライアスに向けて文字通り会心の一撃を放ったという流れです。
なんで急に鐘の音鳴り出したの?と疑問に思った人は多いはずですが、リミットオフ状態のチャージ音がその正体でした。