前回の続編かと思ったんですが、タイトルをよ~く見ると、
灰と幻想のグリムガル level.14+
と、「+」が付いてます。
今回の新刊は短編集といった立ち位置に仕上がっているんですが、本編の箸休め的な短編集ではなく、今後重要な伏線となることがバシッと描かれてます。
そういった意味では、「短編集だから今回はスルー、最近ストーリークソだしね」と心の中で悪態をついた人にこそ!読んでほしい最新刊w
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TV用特典小説
今回収録されている短編集は全部で四編。最初の三篇はTV用特典小説を収録したもので、本編とは全然関係ないストーリーとなっています。
なので、14+巻に収録されている書き下ろしは、ランタにスポット当てた「仮面有情」のみで、このラストのエピソードが読み応え抜群。
今まで描かれてきたグリムガルの情勢は、実は歪曲されていた可能性が浮上、さらにはグリムガルに大戦争が起こりつつあることを予想させます。
そんなわけで、
TV用特典小説は各自読むとして、ここでは本編とつながりのある「仮面有情」について考察していきますツ!
ランタが主人公!?「仮面有情」
このエピソードの主人公はランタ。
ランタといえばウザイ、ウザイといえばランタ、というほどウザキャラ設定として、仲間はもちろん読者にもウザがられたキャラですが、今回登場したランタはどこか違います。
成長!
したのは確かなようです。
というのも、
「結局、・・・あれから今日で、千百十三日だから、三年ちょっとか」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel14+ 十文字青
サウザンバレーでハルヒロたちと別れ、さらにはフォルガンから逃亡して三年以上の月日が経過。その間、オルタナに戻るために辺境のあちこちを彷徨っていたようです。
ただし!ゾディーからは相変わらずバカにされてますw
死・・・縊死死死・・・ランタのくせに・・・ヴァーカ・・・ヴァーカ
出典:灰と幻想のグリムガルlevel14+ 十文字青
とこか懐かしいこのイビリ。
今回の短編エピソードでは、灰色エルフのヴェゼルを案内人にオルタナを目指すところまで辿りつきます。このヴェルゼとの出会いよりグリムガルの真の姿が判明する!
諸王連合の存在
グリムガルの人間族史
まずはおさらいです。
今まで語られてきたグリムガルの勢力図とでもいいましょうか、人間族がどんな状況にあり、誰と戦っているのかを振り返ります。
百五十年前だかに不死の王が表れて不死族を生みだし、オークやコボルド、ゴブリンらをまとめることで一大勢力を形成した。人間族のナナンカ王国やイシュマル王国は滅ばされ、アラバキア王国も天竜山脈の南に撤退する羽目になった。
出典:灰と幻想のグリムガルlevel8 十文字青
どこからともなく現れた不死の王は、人間族の国王を次々に滅ぼしていきました。現在存続している人間族の国はアラバキアのみ。
ハルヒロが最初に目覚めたオルタナは、アラバキアが作った城塞都市でした。人間族をここまで追い込んだのは不死の王がいたから。
ですが、100年くらい前に不死の王は謎の死をとげています。これをきっかけに諸王連合は求心力を失い崩壊、これが現在のグリムガルの状況。
諸王連合の気になる疑問
ところが、灰色エルフのヴェゼルの話では、諸王連合は崩壊などしていないといいます。そもそも崩壊していなかったのか?それとも、ここ数年で求心力を取り戻したのか?
詳しい情勢は不明であるものの、諸王連合の勢力が拡大しつつあるのは明らか。たとえば、ランタがかつて所属していたフォルガンも諸王連合の一員になっていました。
誰が諸王連合をまとめ上げているのか?
諸王連合は不死の王によって一致団結してたはずです。不死の王がいなくなったことで、各種族をまとめる存在がいなくなったことで、連合軍は瓦解したはず。
にもかかわらず...
純粋な疑問として、不死の王に代わって誰が連合軍をまとめ上げているのか気になります。ヴェルゼの話では、不死の王には五公子と呼ばれる腹心がいるようです。
不死の王腹心:五公子- 元アラバキア国王子:イシドゥア・ローロ
- イゴール大公:デレス・パイン
- ダボアルムの祖:龍狩りのギャビコ
- 原形魔法の使い手:アーキテクラ
- レスリーキャンプ:アイランド・レスリー
少しずつですが諸侯連合についての情報が明らかになってはきているものの、一番の謎はやはり誰が各種族をまとめ上げているかってことです。
不死の王亡き後、それでも各種族が結束力を維持できた理由はなんなのか。まさか、不死王に次ぐ影のまとめ役がいるのでしょうか?
元アラバキア国王にレスリー!!?
五公子のメンツを見ていくと気になることが二つ。まず、元アラバキア王子のローロが不死の王側にいること。ただ一概に裏切ったとも言い切れない。
不死の王は自分の血を分け与えることで他種族でも不死族にできるようなのだ。不死族にあったことで、たとえば不死の王に絶対服従する効果があるかもしれない。
そう考えると、不死の王が死してもなお求心力が衰えないのは、不死の王を飲んた五公子が関係しているとも考察できます。
そして、もう一つは、レスリーキャンプのレスリーが五公子の一人として名を連ねていること。レスリーといえば、ハルヒロたちが遭遇した相手です。
ソウマと暁連隊
気になることはまだある。
暁連隊を旗揚げしたソウマは不死王の復活の兆候を察知して、不死の天領への侵入するべく仲間を集めていたはず。けど、ソウマは諸侯連合の存在については一切話題には出していない。
「ソウマは不死の兆候ありとし、旧イシュマル王国領、不死の天領への侵入を目的として暁連隊を結成しました。兆候があるかどうかは別として、不死の天領のエヴァーレストに眠るとされる不死の王はいずれ復活するでしょう」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel8 十文字青
颱風ロックスのメンバーであるモユギがハルヒロに説明していたセリフ。このとき、モユギはソウマの別の目的にも触れています。
それがこのセリフ、
「本当の目的は、元の世界に戻ること・・・・?」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel8 十文字青
ソウマが暁連隊結成を不死の王復活の阻止ではなく、元の世界に戻ることにあるとも言ってます。諸侯連合の存在を公にしなかったことと関係があるのでしょうか。
ただ、諸侯連合が求心力を取り戻しつつあるという情報をこの時は知らなかった、あるいは、まだ諸侯連合が団結する前だった可能性もありそうです。
ランタvsタカサギ再戦!
ランタが出会った灰色エルフのヴェゼルと向かったのが影森というエルフが住む森。この森に連合軍が攻め込もうとしているところに出くわしたランタ。
ここで出会ったのがフォルガンのタカサギ!
オルタナに帰るつもりが、その前に最大のピンチに遭遇したランタ。ランタの生死は不明。ただ、彼の前に現れたのがタカサギ。もしかしたらこのまま死亡ルートもありそうな展開。
なんだか昔のグリムガルに戻ってきた感じのハラハラ展開になってきたゾ!
そんなわけで、次回が楽しみ。
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