今回のタイトルを見ると「灰と幻想のグリムガル14++」と、巻数が14巻になってます。本編ではあるものの、前回と同じく短編を集めた巻。
正直言えば、なんでこう立て続けに短編作品をブチ込んでくるのか意味不明、しかも本編につながる短編があるから購入するしかない、オーバーラップよ、いいかげんにしろ。
と、そんな愚痴を言いつつ、最初のいくつかの短編はTVアニメ用特典小説を持ってきただけなのでスルー、本編につながる「月下に吠ゆる私は狼」のみ取り上げます。
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ユメと別れてからのストーリーおさらい
今巻ではエメラルド諸島でハルヒロと別れたユメのその後の動向が描かれます。K&K海賊商会のモモヒナに弟子入りすることになったユメ。
強くなるために、一時ハルヒロたちと別れて別行動を決めてしまったが、思えば誰にも相談することなく、モモヒナと一緒に見送っていたユメ。
さすがにこの天然すぎる行動には驚いた!
「あぁー!あのなあ!ユメなあ!モモヒナちゃんにお稽古つけてもらってなあ、カンフリャーになることにしたからなあ!」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.12 十文字青
この回が収録されていたのは12巻のこと。
灰と幻想のグリムガル12巻 K&K海賊商会とバイバイ、ユメ!
前回のあとがきで「オルタナの近くまで戻る予定」なんて書いてたもんだから、ハルヒロがピンチになっても「死なないよな」と緊張感少 ...
ハルヒロがドラゴンライダーの称号をえた回でもあった。そこから、ハルヒロたちは自由都市ヴェーレに渡りオルタナを目指す予定だった。
ところが、ひょんなことからレスリーキャンプに遭遇、パラノという異世界旅行記が新たな章としてはじまってしまった。そして現在のところ、ハルヒロたちの消息は不明。
一応14巻を読む限り、オルタナに戻ってきたようではあるものの、詳しいことはまだ描かれていない。ざっとこんな流れでストーリーは進んできました。
ハルヒロと別れてからのユメの動向
ハルヒロたちの旅はかなりシンドイ道のりではあったものの、ユメもユメでただモモヒナの元で修行をしていたというわけでもなかったようなのだ。
エメラルド諸島に一人残ったユメ。
師匠のモモヒナはK&Kで船長という役職、貿易、戦闘、略奪といった日々のお仕事が待っているため、ずっとエメラルド諸島にいるわけではない。
ユメはモモヒナとともに船に乗り込み弟子として、乗組員の一人として同行していたようなのだ。ところが、赤の大地の航行中に大嵐に遭遇、モモヒナとユメは遭難してしまう。
なんとか辿りついた無人島に二年半以上も救難を待つ状態!
思った以上にスゴイ経験をしていたユメ。ただ、その間ユメはモモヒナにみっちり稽古をつけてもらい、かつてのユメとは比べものにならないくらい強く強く成長していたッ!
「やるようになったねー、ゆめりゅん」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ 十文字青
モモヒナもユメの成長に褒める場面もあったものの、師匠と弟子の距離はまだまだと遠い。とはいえ、ユメは確実に強くなった。
ちなみに、しゃべり方は相変わらずだったw
もう一つの大陸:赤の大陸
グリムガルとは別の大陸「赤の大陸」、今までその名前だけは登場していたものの、どういった場所であるかは詳細には語られてはいなかった。
今回K&Kの話になったことで赤の大陸についていくつかの事実が判明してきた。物語の本筋はグリムガルだとは思うも、一応ここでチェックしておきたい。
グリムガルと赤の大陸の歴史は珊瑚列島を中継点として交わりはじめた。滅亡前のアラバキア王国とイシュマル王国は、赤の大陸の複数国と国交を結び、貿易を行っていた
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ 十文字青
グリムガルと赤の大陸の間に国交があったようで、二国間での争いはないようだ。また、赤の大陸には聞きなれない人種が数多く存在していることも判明した。
有尾(ゆうび)人、長腕人、高耳人、三眼(さんがん)人、鉄頭(てっとう)人、全毛人、棘肌人、羽骨(うこつ)人、無影(むえい)人、球形人などである。
尻尾があったり、腕が異様に長かったり、額に第三の目があったり、全身毛だらけだったりと、そんな人種が赤の大陸にはいるようだ。さらには、大勢の王も存在する。
恐らくではあるが、赤の大陸には多くの人種が生活していることから、人種ごとに国があり王が存在しているがために複数の国や王がいるのではなかろうか。
いざ!オルタナへ!!
無人島で遭難生活を送っていたユメたちも、K&Kの仲間との再会により、なんとか救助され生き延びることができた。このとき出会ったのが、K&Kの中で名前だけは登場していたキサラギ。
K&K海賊商会の創設者だ。
ユメのことも耳に入っていたようで、キサラギの指揮のもとようやくオルタナに戻れる算段が整ったというわけだ。
オルタナへの戻るにはK&Kの本拠地があるエメラルド諸島から、自由都市ヴェーレよりさらに南に位置するズイバから、オルタナへと帰れるよう手配してくれた。
ズイバまでの航海はキサラギが責任をもって連れいってくれるという。さらにモモヒナも同行、そんな中、航行中の船内で思いがけない人物に遭遇したユメ。
レンジとの意外な再会!
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ 十文字青
レンジといえばハルヒロの同期にして、一番の有望株。レンジ・チームはどうやら赤の大陸へ行ってきた帰りらしいのだ。K&Kとは知り合いらしく船に乗せてもらっていたという。
ムキムキのバッキバキに鍛え上げられた肉体、そして無数の傷、彼もまた確実にレベルアップしているのが簡単に分ります。
ただ、レンジの様子がどこかへん。
ユメとは同期なものの、そこまで親しくはない、そのため、意外な場所で遭遇したとはいえ、レンジの反応が微妙なのは仕方がないと思いきや、実際はそうではなかった。
「サッサって覚えているか」
「女の子やんなあ。レンジのパーティに入ってた」
「俺の名前は出てこなかったくせに、サッサはおぼえてんのかよ。まあいいや、サッサがな」
「どう、・・・・したん?」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ 十文字青
レンジ・チームの一人ロンが言うには、仲間だったサッサという女の子が赤の大陸で死んでしまったという。レンジは仲間を失ったことを引きずっているようなのだ。
この反応はちょっと意外だった。
サッサが死んだことでレンジに心境の変化があったのは確か。ユメはレンジたちと行動する中で、レンジなりの仲間への優しさを見せていました。
そしてレンジ、ユメの一行は念願のオルタナへと到着します!!
オルタナの異変と戦争の幕開け
ユメがオルタナに到着したその日、連合軍による襲撃を受けていました。これは前回14+でのランタ編と同じ展開で終わっています。
14+を振り返ると、人間と連合軍との間で戦争がはじまったことが明らかになっていました。ランタと共に行動していた灰色エルフのヴェルゼが話していました。
「・・・不死族やらオークやらは、また戦争をおっぱじめようとしている。そういうコトかよ?」
「勘違いを、するな。・・・狼煙を上げたのは、人間たちだ」
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ 十文字青
しかも戦争は人間側から狼煙を上げたという。ユメがオルタナに戻ってきたとき、町の様子が変だったのはこのためでしょう。
たとえば、オルタナ城壁にある看板が新しくなっていたり、レンジの帰還に兵士たちが異様などよめきをみせていたのもそのためでした。
さらに、現在の戦況も明らかになります。
ブリトリーによれば、寂し野前哨基地とリバーサイドは持ちこたえているものの、デッドヘッドは陥落したという。どうやら戦況は人間側が不利らしい。
なぜこのタイミングで人間たちが戦争を仕掛けたのか不明な点は多いものの、連合軍による攻撃によってオルタナもかなりヤバイ状況に追い込まれているようです。
オルタナの城壁破られる!
14++巻のラストではオルタナに連合軍が攻め込んでくる様子が描かれています。しかも、襲撃してきたのはフォルガン!となれば隻腕の男タカサギの姿もあります。
それだけでなく、タカサギがいるところにアイツもいるはず。そう、
ランタ
です!!
ユメがオルタナに戻ってきたときには、すでに三年もの月日が流れていましたが、それでもハルヒロたちは未だオルタナには帰還してはいなかった。
その代わり、ユメが再開したのはかつての仲間ランタ。敵に襲われているユメを救ったのがランタです。ランタらしくないカッコイイ登場でしたwww
そしてこのときのユメの反応!
ユメはもう一人ではなかった。彼がいる。仲間が。
出典:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ 十文字青
フォルガンに入団するために仲間を裏切ったランタをみたユメは、なんの疑いもなく仲間とすぐに認めていたのは、すごくよかった場面。ランタとユメがようやく合流し、残るはハルヒロたち。
次回15巻にてその真相が明らかになってほしいところ。
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