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リゼロ レムの「純愛」とは言い難いスバルへの想い

レムはスバルのことを愛している、愛しているんですが、純愛ではないと思うんです。もちろん、あくまでぼくの読み方。

ただ、3章からのヒロインは誰かと聞かれれば、間違いなく

レムです!レムたんです!!

とだれもが口をそろえて答えるはず。でもですね、ストーリーが進むにつれてどうもレムのスバルへの愛がタダならぬ気配を感じてならない。しまいには呪いなんて言っちゃてますからね。

なので、ここでレムの気持ちというものを一緒に考えていきたいと思うわけです。ただし、二人の読みどころはたくさんあるので、ここでは3つのシーンから考えていきます。

扱う巻は7巻まで。白鯨戦も一段落してレムが王都で治療を受けるため一時フェードアウトするところまでを取り上げています。

それではいってみましょうか。

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ウルガルムとの戦い

2人の関係がいっきに好転したイベントは、ウルガルム討伐をクリアしたとき。これまで姉様の代替品としてでしか自分の存在を確認できなかったレムが、スバルの言葉によって新たな一歩を踏み出す勇気をもらう。

そう、レムたちの故郷が魔女教に襲われたあの日から。

「俺の故郷じゃ、『来年の話をすると鬼が笑う』っつーんだよ。だからさ」
何も言えず、されるがままのレムにスバルは首を傾けて言葉を続ける。
出典:Re:ゼロから始める異世界生活3 長月達平

このスバルのセルフが、のちのレムがスバルの告白を断る伏線になっていくわけですが、このやり取りでレムはスバルに対して特別な存在として意識するようになっていくわけです。

ただし、この段階ではレムの想いははっきりとは描写されていません。そこでより詳しく心情を知るために次の場面になるわけです。

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特別な存在

リゼロ レム
出典:Re:ゼロから始める異世界生活5 長月達平ほか

3章王選編へ突入し、スバルのダメっぷりが目立つ序盤。王選出の儀でのスバルのセリフ

彼女が、特別だからだ
そう答えた。
その答えを受けて、ユリウスは少しだけ驚いたように目を見開いた。しかし、過った感情の波は、すぐに取り繕った表現の下に隠された。
出典:Re:ゼロから始める異世界生活5 長月達平

スバルのエミリアへの想いを口にする場面。エミリアへの一途な愛を匂わすも、エミリアには残念ながら彼の真意は届きませんでした。

そして、スバルのこの答えと同じセリフを発した人物がいました、レムですね。ここでちょっと振り返ってみます。

「どうして、卿はそこまでナツキ・スバルに尽くせる?」
寄り添うスバルとレムを見て、クルシュは琥珀色の眼から感情を消している。
「卿とナツキ・スバルの関係は、私やフェリスのように主従の関係ではない。だが、卿の眼差しと働きは男女のそれと断ずるのももどかしい
出典:Re:ゼロから始める異世界生活5 長月達平

精神が崩壊し廃人と化したスバルに献身的に尽くすレムの行動に対して、思わず出てしまったクルシュの質問、文庫でいえば5巻。主従とも恋愛関係とも違う感情がレムの中にあることを指摘するクルシュ。

このときはまだ判明していませんが、クルシュは嘘を見破る加護「風見の加護」を持っていることから、レムのスバルへの想いは純愛とは言い切れない感情を胸に秘めていることは明らかです。

そして、このときのレムはどう答えたのか。

クルシュが疑問に思うのも当然だ。レムの中に存在する『それ』は、一秒だって同じ形をしていない。刻一刻と、大きさも熱も強さも変えて、レムの中に根付いている。

はっきり言葉にしたくない。はっきりとは言葉にならない。けれどあえて、レムの中の形のないものを他者に伝えようとするなら。
スバルくんが、特別だからでしょうか
出典:Re:ゼロから始める異世界生活5 長月達平

レムの真意は、スバルのエミリアに対する想いとは違うものなのは明らかですが、このときレムは自分の想いを言葉にしたくないといいます。あるいは、まだ言葉で整理できないレムがいるのかもしれません。

しかし、レムの感情が次巻、6巻で明らかになっていく。

呪い

リゼロ レム
出典:Re:ゼロから始める異世界生活6 長月達平

レムの感情がぶっちゃげたのはスバルの自己否定発言からのリスタートとなる6巻でのこと。こともあろうにスバルに「一緒に逃げよう」と告白されたときでした。

「だって」
「―――――――」
「未来のお話は、笑いながらじゃなきゃダメなんですよ?」
泣き笑いのような表情で、レムは、かつてスバルが語った言葉を口にしたのだ。
出典:Re:ゼロから始める異世界生活7 長月達平

リゼロってジャンルで言えば「ラノベ」になるんだろうけど、心理描写の描き方は頭一つ抜き出てる。

ここであのときのセリフ持ってきますか・・・やりますな達平さんは。さらにここからのレムとスバルのやりとりからレムの想いを紡いでいく。

「止まっていた時間を、凍りついた心を、スバルくんが甘やかに溶かして、優しく動かしてくれたんです。あの瞬間に、あの朝に、レムがどれだけ救われたのか。レムがどんなに嬉しかったのか、きっとスバルくんにだってわかりません」
出典:Re:ゼロから始める異世界生活6 長月達平

唸らせますな。そして、ダメ押しのこのセリフ。

スバルが彼女にかけた『呪い』の数々が、彼女の口から語られる。その『呪い』は深く優しく、彼女の心を信頼という名の鎖で雁字搦(がんじがら)めにして、今もこうして固く固く縛りつけている。
出典:Re:ゼロから始める異世界生活6 長月達平

レムの想いを「呪い」という言葉で表現したスバル、いや、作者。含みがあるのもいい。魔女との関係あるのかな?なんて考察もできますからね。

ただ、このあとのスバルのセリフがうけつけない!!!!

レムに一世一代の「スバルくんを愛しています」と言わせておきながら、

「俺はエミリアが好きだ」
「はい」
スバルの告白に、レムはすべてわかっていたような微笑みまで頷く。
出典:Re:ゼロから始める異世界生活6 長月達平

さっきまで「一緒に逃げよう」っていってた奴が何言ってんだか、鬼畜ですな、作者のドSが最後の最後で出てしまった。

ちなみに、その後レムは「私第二夫人でもいい」発言をすることになる・・・やはりこれはラノベでしたか。

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